当院は1981年、整形外科の単科病院として設立されました。設立の目的として掲げられたのが「クオリティ・オブ・ライフ」と「ノーマライゼーション」の実現。不幸にも身体の障害を負った方の機能をいち早く回復し、もとの暮らしに戻っていただくこと。こうした事例を一つひとつ増やしていくことで、障害者と健常者の意識すらない社会を実現したいと考えたのです。
そのためにはまず、患者側の視点に立つことが大切です。今の医療の現実を考えてみましょう。急性期、回復期、慢性期、在宅…患者さんの状態で、いちいちピリオドを打ち、医療をバトンタッチしていく制度は、我々医療サービスを提供する側の理論ではないでしょうか。これに対して患者さんが本当に必要としているのは、心から信頼できる一つの病院、一人のドクターに、ずっと見守り続けてもらうことではないかと思います。
そこで当院では「疾患に責任を持つ医療」を実現しようと決めました。たとえば大腿骨骨折で来院された患者さんなら、手術を施し、リハビリを手伝い、退院後の予防まで指導して行く。すべてのケアサイクルをサポートしています。もちろんこうした体制をすべての疾患で行うことは、一つの病院では不可能です。私たちが行えるのは、整形外科、神経内科、リハビリテーション科、形成外科、循環器内科など当院にある診療科に限ったことです。当院のような医療機関が他にもいくつか集まれば、患者さんの視点に立った医療を実現できると信じています。