緩和ケア病棟医長 田 直子 写真

子どもからお年寄りまで、地域の人々に寄り添い続ける家庭医でありたい

東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院

緩和ケア病棟医長
田 直子

  • 2005年
    東海大学医学部 卒業
  • 2005年
    王子生協病院
  • 2014年
    王子生協病院 緩和ケア病棟医長

プライマリ・ケア認定医、プライマリ・ケア指導医、家庭医療専門医

患者さんの近くで力になれるのが家庭医

患者さんの近くで力になれるのが家庭医

 私が医師を目指したきっかけは、祖母の存在でした。物心ついた頃、祖母は小児科の勤務医として活躍していて、凛とした白衣姿が印象的で多くの子どもたちを助ける力強さに対して憧れを持ちました。祖母のような医師になって格好よく生きていきたいと思い、医学部へ進学。6年生になる春、当院に実習に来た際に家庭医の仕事を知ったことで、地域の人たちの身近な存在である家庭医になろうと決意しました。
 私を含め、現在当院には多くの家庭医がいますが、日本全体に目を向けてみると病院に勤務する家庭医は少なく、私が入職した10年前もあまり知られていませんでした。しかし、ここで働いている先輩家庭医の姿を見て「私がやりたかった医療はこれだ」と思うようになったのです。
 先輩は患者さんの近くにいつも寄り添い、ときにはベッドサイドまで行き、ご飯の介助をすることもありました。医師が食事介助をするなんて、と私は驚きました。医療現場には適切な役割分担がありますから、慣れていない介助行為を医師が行うことにメリットはあまりないと、最初は思っていたのですが、先輩は患者さんとの時間を通して「どうやって食べているのか?」「食欲はどのくらいあるのか?」など、家庭医として大切な情報を体感していたのです。衝撃を受けた私は、この頃から患者さんのためになるのなら、どんな垣根も越えて行こうと考えるようになりました。人のために、できることはなんでもやる、という想いは新人の頃も今も変わっていません。

命の最期まで、できることを探求し続ける

 入職以来、家庭医として地域の人々の健康を見守ってきました。さらに昨年からは新設された緩和ケア病棟の医長に就任。看護師、薬剤師などの多職種とともに全人的な緩和ケアを提供する立場にもなりました。
 緩和ケア病棟は、悪性腫瘍による患者さんが自分らしく穏やかに過ごしてもらう場所です。病気と戦ってきて、でもこれ以上は治療ができないという状況で入院される患者さんが多く、命の限りが見えていることも。人の最期を看取ることが多い病棟ですから、辛い場面は少なくありません。それでも、患者さんの痛みや不安を減らすケアを行っていくことで、「ほっとできる時間ができた。ありがとう、楽になったよ」と言ってもらえると、少しでも患者さんのためになったのかと思います。ご家族からも「ここでお世話になってよかった」という声をいただくこともあり、私たちの取り組みは悲しいことばかりではなく、意義があるのだと感じています。
 緩和ケアは、他の診療科の治療と異なり、最期の瞬間までできることを模索する医療です。病状の進行に対して、手立てがもう何もない、と表現することがありますが、私は決してそうは思わない。それこそ、快適に感じる空調の温度に設定することや枕の位置を整えるなど、患者さんに寄り添いながら「何ができるだろうか?」と、日々突き詰めて考えています。
 この病棟はまだ誕生したばかり。地域の人々にとって本当に安らげる場所になるよう、患者さんとご家族のためにこれからも全力を尽くしていきたいと思っています。

互いを尊重し合い、気軽に相談できる環境

互いを尊重し合い、気軽に相談できる環境

 王子生協病院は地域に根差している医療機関。病室や外来はもちろん、病院全体が地元の人々の生活の一部として慣れ親しまれているため、医師としても穏やかな心構えで診察に臨める職場環境です。医局は診療科目による分け隔てなく医師全員が一緒の場所で過ごしています。皆が互いのことを良く知っている関係なのですが、だからといってベタベタした人間関係や上下関係の厳しさがあるではなく、プライベートを尊重し合えているところも、私にとっては快適です。
 医療現場は慌ただしいところが多いと聞きますが、当院では医師同士が上手に連携を図ることで休日をしっかりととることができています。オンコールの数もあまり多くありません。お互いのワークライフバランスに皆が配慮し合っているので、ママさんドクターもしっかり活躍しています。男性医師で育休制度を活用した方もいるなど、医師の労働環境に恵まれている実感があります。
 また、当院は医師同士だけではなく、看護師や薬剤師など職種を越えたスタッフも相談しやすい雰囲気です。医師が治療方針をすべて決めて進めるのではなく、多職種連携を行うことで「本当に患者さんにとってより良いケア」を探っていくことができます。周囲の人が自分の力を引き出してくれていると感じます。だから私も、できるだけ話しやすい、相談できる医師でいることを心掛けています。

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※2015年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございますので、予めご了承ください。

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