1992年に近畿大学医学部脳神経外科の医局に入局し、いろいろな病院で勤務をしてきました。前職はりんくう総合医療センターの脳血管外科部長として、医療過疎モデルとされた泉州地域で脳卒中診療の整備に携わっていました。2013年春に医局からの辞令を受けて、脳神経外科に力を入れている当院へ出向しています。約半世紀にわたって住之江区を中心とする大阪市南西部で救急を担っている病院でしたので、私としては脳卒中を中心とする脳神経疾患の中核病院にすることが責務であると考えています。
あるきっかけから人の生命を救う仕事をしたくて志した道ですが、医師人生の半分を過ごした大学病院では難易度の高い目の前の手術を無事に終えることに精一杯で、患者さんの生活まで心配りができていなかったように思います。ところが、2006年に出向した市立泉佐野病院で地域医療として外来やリハビリにまで携わるようになり、日常や術後の支援がいかに重要なものかを身を持って知りました。患者さんの回復は手術した自分(医師)の力だけではなく、看護師やセラピストなど多職種の方々の注力があってこそなのだと気付くことができたのです。それから脳卒中後の後遺症に悩む患者さんの手助けができればと思い猛勉強をして、リハビリテーション専門医の資格も取得しました。
当院に来てからは、若い医師に付いて脳外科手術の指導を行いながら、脳血管内治療を用いた手術は自ら行っています。脳血管内治療は開頭しないぶん回復が早いですし、高齢者にも適応を広げていける。患者さんにとってメリットの多い治療法で当院でも手術件数は増えてきていますが、まだまだ一般的には認知度が低く、啓蒙が足りないなと感じています。