兵庫医科大学を卒業して以来、大阪府済生会中津病院をはじめとした急性期病院において、消化器外科の専門医としてのキャリアを積んできました。当院へ移って来たのは7年ほど前のこと。直接のきっかけは医局人事だったのですが、結婚や妻の出産などプライベートに大きな変化があった時期でもあり、急性期病院で働く体力的な限界をまさに感じ始めていた頃でもありました。20代の頃は体力が有り余っているため、多少無理をしても問題はありません。しかし30代を超えると、自然と将来のことを考えるようになって…。自分自身のキャリアを俯瞰したとき、療養型病院での勤務は非常に魅力的な挑戦に映りました。実際こちらに来てからは、家族サービスに費やすことができる時間が増えましたね。もちろん現状で院内に消化器外科のスペシャリストは私1人だけですので、今まで以上に大きな責任感を持って日々の業務に臨んでいます。
診療の際に心掛けているのは、患者さん1人ひとりの背景を読み取ること。例えば同じ検査結果でも、年齢や仕事の有無、独居か家族と同居しているのかによって、お伝えする言葉は必ず違ってくるはずです。特に当院のような療養型病院の場合、患者さんと接する時間、期間も自然と長くなります。この病院に移ってきてから、患者さんの「背景」については、今まで以上に意識するようになりましたね。