私は2014年に当院に入職しましたが、以前勤務していた病院には当院の循環器内科から多くの患者さんの相談や紹介があり、その縁で声をかけていただきました。現在、心筋梗塞については柏市内の3病院「柏ハートネット」というネットワークを構築しており、当院も参加しています。しかし、手を挙げた当時、当院には循環器内科しかなく、手術が必要な場合には受け入れが困難な状況でした。当科が新設されたことで、救急搬送を受けた場合にも、心血管カテーテルが必要な患者さんから、緊急で外科的手術が必要な患者さんまで、あらゆる循環器の救急患者さんに対応できるようになりました。
特に大動脈疾患は施設格差も大きいのが現状ですが、当院であれば、大動脈瘤の予定手術から急性解離、瘤破裂などの症例にも対応できます。実際、これらの症例については、多くの施設に事情を聞くと医師の手術経験が少なくリスクが高いなどの理由から、応需要請を受けても受け入れができない場合があるといいます。
また、手術が可能な施設であっても、手術室に空きがない、夜間でスタッフが集まりにくいなどの理由で緊急手術ができないこともあると思います。そんな場合に頼ってもらえる施設でありたいと考え、現在、各施設の救急外来ならびに循環器科の医師などにも連絡し、周知をはかっています。
もちろん、手術中に受け入れ要請が入ることもありますが、その場合でもただ拒否をするのではなく、心臓血管外科医同士のネットワークを使い、受け入れ可能な施設を確保したうえで、その施設に搬送してもらうという態勢を取っています。重要なのは、患者さんが最短で確実に治療を受けられる病院に搬送することであり、その役割を担うことも医師として重要な役割だと考えています。