当院は、2005年、つくばエクスプレス開業に合わせて松戸市から新築移転しました。建物の老朽化が主な理由ではありますが、この移転を機に、組織を見直し、急性期病院として経営方針を明確にしたのです。新しい街で、地域住民の健康を守る役割を担い、地域の皆さんにこの病院を育てていただきたいという思いを持って再出発しました。
この地域は多くの人が都心に通勤をしており、医療に求める水準は都心並みの高さです。しかし、私自身が東大病院や国立がんセンターにいた頃から、医療の進歩に追いついていない地方との医療格差を感じることが少なくありませんでした。それによって助かる生命が助けられないということだけは避けなければならないとの思いがあり、きちんとした医療をやりたい、そのための態勢を整えなければならないと考えました。
そこで24時間365日救急患者の受け入れを行い、スタッフの教育にも力を入れました。
ただし、あらゆる救急搬送に対応するのは、相当な人員と設備が必要であり、そのすべてを当院が担えるわけではありません。すべてを受け入れることによって、助けられない生命があってはならないというのが私の考えです。ですから当院では、外科系のなかでも消化器外科、整形外科、循環器系に特化し、専門医の資格を持ち、大学の医局などで実績を積んだ医師を揃えることで、受け入れた患者さんには高い水準できちんとした医療を提供することに力を入れました。