脳卒中の血管内治療を学ぶため、大田記念病院へ入職しました。
脳卒中は死亡率こそ下がったものの、発症する人数自体が多いですし、私が担当した若い患者さんが重い後遺症のため寝たきりになったこともありました。近年ではt-PAの登場で治療成績は向上しましたが、それでも限界を感じることも多かったですね。特に重大な後遺症が出やすい太い血管が詰まった時には、t-PAで溶かしきれずに助けられなかった方もいて、悔しい思いをしていました。
t-PAに続く次の一手はないものか。ずっと探していた時に知ったのが血管内治療です。従来なら治癒の見込みが厳しいと思われた状況でも、劇的に改善されるケースが出てきました。これこそ今後の脳卒中治療の中心になるのではないか。次第にそう思うようになりました。
「ぜひ大田記念病院で学びたい」と思ったのは、まず脳卒中において圧倒的な症例数を誇る病院であり、血管内治療でも先端的な取り組みを行っていたからです。さらに、当院に勤務経験のあった同僚の医師もいたので体験談を聞いたところ、彼の学んできた環境や得られた成功体験がとても魅力的に感じられました。そこで大学に希望を伝えたところOKが出て、2015年の4月に入職できたんです。働き始めてまだ5ヵ月ですが、今は勤務時間の半分は神経内科医として外来や救急で診断治療を担当。残りの半分を検査・治療の助手という形で血管内治療の知識・技術習得に費やしています。