当院に入院される患者さんで多い疾患は統合失調症とうつ病です。その他の疾患も含め、入院された患者さんには内服による薬物療法だけでなく、患者さんごとに適切な精神療法を行っていきます。入院の適応は食事や睡眠をとることができないなど、日常の基本的な生活に支障が出ている場合、それから治療の必要性はあるものの患者さん自身ではその必要性が理解できない場合や、症状が著しく不安定で自傷他害の恐れがある場合などがあります。
ほとんどの患者さんが一定期間、精神療法や薬物療法を行うことで症状がよくなります。精神科の治療で重要なことは、症状を把握するだけではなく、症状の原因や生育歴、生活背景を知ることです。家庭環境や仕事、人間関係など患者さんごとにストレス要因は異なるため、診察を重ねながらそれを特定していきます。また、「今の治療でどのような効果があるのか」「次にできることは何があるのか」ということを常に念頭に置きながら治療を行っています。
退院後、自宅や地域社会で生活していく際にもっとも身近で寄り添うのはご家族ですから、ご家族にも症状や悪化に繋がるストレス要因について深く理解していただくことが大切です。入院中にどれだけ患者さんの状態が改善しても、生活環境が以前のままでは再発を繰り返すことに成りかねないですからね。