私は大学卒業後、新潟県内の病院をいくつか経験し、直近は新潟大学で呼吸器内科の研究・診療に携わっていました。そこで、大学の先輩から十日町病院に誘われたのです。以前、近くの病院で働いており、対応の難しい患者さんをよく十日町病院に紹介していました。十日町病院は、その頃から地域医療のすべてを担う病院で、最後の砦という印象。医師の方々も、地域のあらゆる患者さんを診る「医者らしい医者」というイメージで、その一員になれるのは嬉しく、喜んでやって来ました。実際、十日町市、津南町、長野県栄村で病気になった方のほぼ全員が、いったんは十日町病院で診察されるといってもよいほど、地域の方々に頼りにされています。
私はここで専門の呼吸器内科だけでなく、内科全体を診ています。救急車はほとんど断らない病院で、内科にも多種多様な症例の患者さんがいらっしゃるからです。例えば、この辺りはマムシが多く、つい先日も、十日町市と津南町で開催されていた国際芸術祭「大地の芸術祭」を観にいらっしゃったドイツ人の方がマムシに噛まれて、運ばれてきました。こうした一次医療がある一方で、患者さんの多くは二次医療ですし、三次医療の患者さんもいらっしゃいます。幅広い経験を積める、フットワーク軽くさまざまな状況に対応できるようになるという意味では、これ以上ない環境だと思います。もちろん、他の科も状況は同じ。つまり、全員で力を合わせて「総合診療」を行っている病院です。