内科 池本 悟 写真

高齢者医療の新たな可能性を体感する毎日

医療法人芙蓉会 筑紫南ヶ丘病院

池本 悟

久留米大学医学部卒業。
研修医終了後、総合病院の麻酔科勤務医を経て、

  • 2014年
    筑紫南ヶ丘病院入職
  • 2015年
    「日本医師会認定産業医」資格を取得

プライマリーケアからターミナルケアまで

プライマリーケアからターミナルケアまで

 以前は総合病院で麻酔医として勤務していました。入院日数の短縮化が進む中、ますます時間に追われ、救急要請があれば夜間や休日でも対応。激務の中で、もっと別の医療、患者さん一人ひとりとしっかり向き合うような医療に関わりたいという思いが募りました。
 そんな思いに応えてくれたのが、ここ筑紫南ヶ丘病院でした。現在は内科医として外来、入院患者のケア、訪問診療を担当。外来は週2~3回、午前か午後のみ。それ以外の時間は、入院患者さんやご家族とじっくりコミュニケーションを深めることができます。週2回の訪問診療では、併設の老人ホームへ。「先生、待っていたんですよ」と笑顔を見せる入所者さんと会話をしながら診察。何らかの異常に気づいたら、確定診断とまではいかなくても、ある程度までの診断を下し、初期治療に対処する必要があります。「褥瘡は、自分は知らない」というわけにはいきません。
 まだ入職して1年ですが、こうした経験を重ねるごとに、医師としてのスキルが大きく広がっていることを実感しています。いわば、広く確実に。そこに高齢者医療の醍醐味があると思います。初期診断を担う役割も大きいし、終末医療に携わる部分も、同じくらい比重が大きいですね。
 急性期医療には急性期ならではの達成感、一方、高齢者医療にはジェネラリストを目指す手ごたえがあります。日々着実に、後者の可能性に惹かれていく自分がいます。

「治す」だけが医療じゃない!

 当院が担う役割は、亜急性期から終の棲家まで。救急対応で一般患者さんを診ることもあれば、ご家族と一緒に最期を看取ることもあります。私の担当患者さんの中に、昨年末から今年のお正月にかけて、穏やかに、ゆっくり、ゆっくりと、眠るように息を引き取られた方がおられました。長い闘病生活を経た、80代の患者さんでした。延命だけを目指すなら、まだ残された手だてがあったかもしれません。けれどもご家族は、それよりも、できるだけ痛みや苦しみが少ない、人間らしい尊厳ある最期を望まれました。そして数か月の間、ご希望に沿う形で最善を尽くした私に、ご家族は感謝の言葉をかけてくださいました。
 当院に来るまで、医療とは治すこと、そう信じて疑わなかった私にとって、医療における未知の可能性に目を見開かれた思いがしたものです。こうした終末期医療への対応だけが、高齢者医療の可能性ではありません。たとえば訪問診療、在宅医療、地域包括ケア病棟を軸とした地域医療全体への関与。
 医師個人としては、ジェネラリストを目指せる環境も高齢者医療の大きな魅力です。とりわけ当院の場合、カンファレンスや会議に割かれる時間が急性期病院に比べて格段に少なく、自分自身の研究や新分野への勉強に没頭できます。また医師やスタッフの意見を尊重する風土があり、離床プロジェクトなど、スタッフ独自の取り組みも成果をあげています。まさに充実の毎日です。

患者とも家族とも、より濃密な時間を共有

患者とも家族とも、より濃密な時間を共有

 今年8月、北九州市の産業医科大学で開かれた講習会に参加し、認定産業医の資格を取得しました。外来でさまざまな患者さんと接するうちに、予防医学に関するノウハウを高めたいという思いが募り、まるまる1週間の休暇をいただいて参加したのです。
 このように、当院には医師や職員の向上意欲にしっかり応えてくれる体制が整っています。学会参加の費用補助もありますし、院内外を問わず、日常的に勉強会が実施されるなど、スキルやノウハウを高める機会が豊富に用意されています。医療スタッフの自主活動も盛んで、寝たきりの患者さんの離床率向上を目指す「離床プロジェクト」では、併設の在宅型老人ホームで離床率85%という驚異的な成果をあげ、新聞にも取り上げられました。こうした取組を通じて医師や医療スタッフ個々がレベルアップすることで、患者さんお一人おひとりとのコミュニケーションもいっそう深まることになるでしょう。
 コミュニケーションといえば、当院に転職以来、家族と過ごす時間が格段に増えました。ほぼ毎日、定時の17時に勤務終了。深夜や休日に呼び出しがかかることも皆無です。以前なら考えられないことで、最初は驚きました。おかげで今は、子どもと毎日、コミュニケーションを深めることができます。医師として新たなノウハウを磨きながら、家族との絆も深まる。私にとってベストともいえるワークライフバランスです。

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※2015年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございますので、予めご了承ください。

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