私は人工関節をメインとする整形外科医になって10年目ですが、まだまだ症例経験を増やしてキャリアを積み上げたいという気持ちが強くあります。そのため、当院に入職する前、開業医をしている先輩医師と連携して、新たにオープンベッドシステムを取り入れることのできる環境を模索していました。そこへ「経営法人の変更に伴い、手術ができる整形外科医を探している病院がある」という情報が耳に入ってきたので、すぐに自分から連絡を取ったのが転職のきっかけです。
このようなシステムを導入したいと思ったとき、すでに仕組みができあがっている病院では医局との関係性が変わってしまうことになるため、ゼロからの立ち上げに近い環境は理想的なものでした。面接で、オープンベッドシステムのメリットである「予定オペでスケジュール管理ができること」などをアピールしたところ、当時の院長の理解がいただけたことで入職に至りました。今では、整形外科に関しては、オープンベッドシステムの患者の術前術後の管理と、私が直接担当する患者の手術を、すべて自分自身が主治医となって担当しています。
外来では、まずは患者の話をしっかりと聞いて、相手の立場に寄り添った誠意ある対応を心がけています。当たり前のようですが、これはとても大切なポイントです。有名な大学病院などであれば“看板”だけで患者が来てくれるかもしれませんが、地域の市中病院ではそうはいきません。「ここへ来て本当に良かった。また何かあったらここへ来よう」と思っていただくためには、一人ひとりの医師の姿勢が重要。地域社会では口コミの影響力も絶大ですから、常に緊張感を持って接しています。
ここへ来て1年半になり、種をまいてきたものが少しずつ収穫でき始めています。着実に、手術件数や外来患者数が増えてきている実感がありますね。