新潟県立十日町病院 病院長 塚田 芳久 写真

840平方kmの地域全体を診ています

新潟県立十日町病院

新潟県立十日町病院 病院長
塚田 芳久

  • 1979年
    新潟大学医学部医学科卒業、新潟大学医学部第三内科医員
  • 1994年
    新潟大学医学部講師(医局長)
  • 1995年
    新潟県立新発田病院 内科部長
  • 1996年
    新潟市民病院 消化器内科副部長
  • 1999年
    新潟県立新発田病院 内科部長~診療部長
  • 2005年
    新潟県立十日町病院 病院長

医師27名。増え続けているがそれでも不足

医師27名。増え続けているがそれでも不足

 昨年度、会計基準が変わったために初の赤字となりましたが、十日町病院は、それまで開業以来ずっと黒字経営を続けてきました。十日町市、津南町、長野県栄村、合わせて約840平方kmをカバーし、救急・急性期医療を中心に行う地域中核病院として、地域に強く必要とされてきた結果が健全経営につながっていると考えています。

 医師は現在27名で、長く働き続ける医師が多いのが特徴です。全員が前向きに働ける環境が整っているからだと自負しています。例えば、外科には7名の医師がおり、2大学の出身者が交ざっていますが、実に仲良く運営している。それというのも、普段から互いに仲間として助け合う関係ができているからです。十日町市は豪雪地帯で、冬の夜は自動車が満足に走れないことがある。必然的に、ほとんどの医師が病院から徒歩圏内に住み、救急時には大雪のなかを長靴で歩いて診に来るのです。そうした日々を経るなかで、自然と連帯感が育まれていきます。ほとんどの救急車を断らず、年間2000台ほどを受け入れられるのも、こうした医師同士の密接な関係がベースにあるからです。

 現在は新たな外来棟、入院棟を建設中で、それに合わせて総合診療科などを新設予定です。当院で働く医師は着実に増え続けていますが、それでも必要数に対しては不足しており、今後に向けて新たな力を求めています。

一次医療から三次医療まで、多様なニーズに応えています

 十日町病院の強みを簡潔に語るなら、「総合診療」と「高齢者医療」です。この地域には開業医が少なく、訪問看護も難しいため、私たちには「地域全体を診る」役目があるのです。スタッフ全員にその自覚があり、あらゆる症例に全員で協力して当たっています。救急車をほぼ断らない理由もそこにあります。ドクターヘリの活用にも積極的ですし、必要ならピックアップ型ドクターカーを使って救急診療に出向きます。救急隊や警察とも密接にコミュニケーションを取り、いつも動きやすい体勢を取るよう心がけています。

●胃の手術しかできない外科医は、十日町病院にはいません

 総合診療に注力する病院ですから、どの医師も自分の専門だけでなく、外科なら外科、内科なら内科全体を担当する力があります。胃の手術しかできない外科医は、十日町病院にはいないのです。ここでは対応が難しい患者さんを、基幹病院や県下の専門医に送る決定も各医師が迅速に判断します。その際、循環動態を安定させてから運ぶといったことにも十分に気をつけています。特定の科が強いということはありませんが、あえていえば、外科は全身麻酔を年1000件ほど行っており、総合入院体制加算の前提要件を十分に満たすレベルの実績があります。

●総合診療や高齢者医療の力を磨きたい方には、格好の環境

 救急・急性期の二次医療が中心ですが、風邪などの一次医療もありますし、ときには三次医療を担当することもあります。実は、十日町市は、新潟市に行くのと同程度の時間で東京都心に出られるため、なかには都心で高度医療を受診される患者さんがいらっしゃいます。例えば、東京のがんセンターに通われた後、十日町病院でがん治療を続けられる方がいらっしゃるのです。こうした方には私たちも三次医療を提供する必要がある。地域の方々に求められれば、できる限り対応するのが十日町病院のスタンスなのです。幅広い医療の経験を積みたい、総合診療や高齢者医療の力を磨きたい若手医師の方には、格好の環境ではないかと思います。

新病院建設とともに、地域包括ケアを拡充します

新病院建設とともに、地域包括ケアを拡充します

 隣の魚沼医療圏に三次救急医療を担う基幹病院ができたこともあり、十日町病院は今後、急性期を中心とした二次医療を担うとともに、療養医療や在宅医療・介護への移行を援助できる幅広い診療機能を備えた、未来志向で、地域中核病院のモデルとなる病院を目指します。

 具体的には、いま新たな外来棟、入院棟を建設しており、ここに「回復期リハビリテーション病棟」と「緩和ケア病棟」を新設し、亜急性期の患者さんにもシームレスに対応できるシステムを作ります。また、高規格救急車及び救命士が常駐し、救命士の病院実習拠点となる「救急ステーション」、ドクターヘリ専用の「ヘリポート」も設置。総合医、家庭医、看護師確保のために、家庭医の育成に必要な後期研修プログラムを導入し、ゆくゆくは看護学校も設立したいと考えています。「地域を診る」をより一層追求するため、介護を含めた地域包括ケアを拡充していく。これが私たちの方針です。

この施設に関するお問い合わせや
転職のご相談を無料で受け付けております。
キャリアアドバイザーに相談する

※2015年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございますので、予めご了承ください。

先頭へ戻る