理事長 大田 泰正 写真

脳神経疾患医療で、備後エリアに貢献したい

社会医療法人 祥和会 脳神経センター 大田記念病院

理事長
大田 泰正

  • 1993年
    島根医科大学卒業、大田記念病院 神経内科勤務
  • 1997年
    大津市民病院 脳神経外科勤務
  • 1998年
    大田記念病院 脊椎脊髄外科勤務
  • 2005年
    岡山大学神経内科 臨床講師
  • 2006年
    特定医療法人祥和会 理事長、福山市医師会 救急担当理事、
    日本病院脳神経外科学会 理事
  • 2009年
    社会医療法人祥和会 理事長、福山・府中二次医療圏MC協議会会長
  • 2011年
    日本クリニカルパス学会 評議員
  • 2012年
    NPO備後脳卒中ネットワーク 理事長
  • 2012年
    日本脳卒中協会 広島県副支部長
  • 2012年
    広島県病院協会 常任理事

3つの柱で、地域が求める医療の社会インフラを構築

3つの柱で、地域が求める医療の社会インフラを構築

 福山市を中心とした備後エリアにおける脳神経疾患のセンター的な専門病院。それが今の大田記念病院を端的に表す言葉でしょう。2014年は、DPCデータにおける当院の脳神経領域の地域シェアが福山・府中二次医療圏で69%、福山市に限れば89%を占めています。中でも、脳卒中診療の症例数は2014年には1,143件と、国内有数の症例数を数え、専門性の高い脳神経疾患医療が、まず、当院の柱となっています。
 患者さんが病気する時、医療を必要とする時は、朝も夜も土日もありません。そういう意味で、24時間の急性期医療と365日リハビリテーションも当院の特長です。2014年は救急車の受け入れ台数3,293件と過去10年で2番目に多い数となりました。リハビリも盆暮れ土日祝に関係なく7~9人のスタッフが出勤していて、必要なら入院・手術をした当日から超早期の介入を行います。2014年の入院後3日以内のリハビリ開始率は、全国平均の54.9%を大きく上回る92.3%となり、治療・回復に大いに貢献しています。
 さらにその先、退院後の在宅医療支援も重要です。備後エリアの76の医療機関、28の介護施設と地域連携を行い、私たちは地域包括ケアシステムのコアホスピタルとなって役割を果たしたいと考えています。全体としては、これら3つの柱によって、超急性期の治療から急性期リハビリ、在宅レベルまでをカバーするセーフティーネットを築くこと、つまり地域が医療に求める社会インフラを築くことが当院の方針であり、役割でもあると考えています。

脳血管の疾患に対し、脳神経外科、脳神経内科が連携

●脳神経外科
 脳神経外科は開院以来、最先端の医療を追求し、高いレベルの治療成績を誇ってきました。開頭術はもちろん、血管内治療も、ガンマナイフも、術中MRI・ナビゲーションも、すべてができる病院は、私の知る限り日本で5つもありません。これによって、患者さんの治療の選択肢が広がります。たとえば動脈瘤に対して、開頭してクリッピングを選択するのか、あるいは血管内治療のコイリングを選択するのか。状況に応じて最適な処置が選べることが、重要になります。当院の脳神経外科の場合、トップの大田部長がどちらも同じ高いレベルで手術ができるという非常に希少なオールマイティな医師であり、そのおかげもあって、バランスの良い治療が可能となっています。

 最近、注目されているハイブリッド治療の症例数が多いことも特長です。これは、梗塞の血栓溶解療法(t-PA)後に効果が見られなかった症例に対して血管内治療を追加する方法ですが、日本でも対応できる病院は少なく、備後エリアの患者さんには良い医療を提供できていると思います。

●脳神経内科
 疾患頻度に応じて、認知症をはじめ、神経難病であるパーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などさまざまな患者さんが当院に来院されます。ALSに対応した電気生理学的診断や、筋肉・末梢神経系を診る筋電図など、本格的な診断ができる希少な設備が整っていますし、脳波治療、ボツリヌス治療など、オールマイティな対応ができることが強みです。このエリアの中核病院として、診断と予防指導・治療を重要な使命と考えて患者さんに向き合っています。

 また、代表的な症例である脳卒中にも脳神経外科と分業・連携をとって積極的に関わります。血圧や糖尿病といった全身状態のリスクファクターが診られる神経内科医ならではの良さが出るケースもあるでしょう。脳卒中の多くは若手の神経内科医が担当しており、さらに血管内治療については、積極的に参加できる体制になっています。

脳神経センターから、バスキュラセンターへ

脳神経センターから、バスキュラセンターへ

 当院において代表的な症例はやはり脳卒中になりますが、脳卒中患者さんの5人に1人は心臓の病気を合併しているというデータがあります。どちらも脳と心臓の血液の流れに起因するものであり、血管病変のカテゴリーに分類されます。今後の大田記念病院は、脳血管障害だけでなく全身の血管障害まで広く受け入れ、脳はもちろん心臓から腎臓、下肢までをカバーする「バスキュラセンター」に進化させていく構想を持っています。現在はその準備として、循環器系医師の増員を行ったところですが、その先はこれからの検討事項。理想の医療体制を描きながら、一歩一歩進んでいこうと考えています。
 加えて、力を注いでいこうとしているのが、在宅医療支援の分野です。病院中心のこれまでの医療体制では、急増する高齢者への対応に限界が来ることは明白です。「ときどき入院、ほぼ在宅」という言葉があるように、生活の場である地域や在宅中心に支える方向への転換が急務です。私たちは国が目指す「地域包括ケアシステム」の中で、患者さんの来院を待つのではなく、こちらから出向いていく医療を強化しながら、当院ならではの役割をしっかりと担っていきます。

この施設に関するお問い合わせや
転職のご相談を無料で受け付けております。
キャリアアドバイザーに相談する

※2015年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございますので、予めご了承ください。

先頭へ戻る