近森病院は高度急性期の救命救急医療に特化した病院です。独自の経営ノウハウを持ち、“救急医療の多くは赤字部門”と一般にいわれている中にあって、収益をしっかり確保しながら、大きくなってきた全国的にも珍しい病院です。
新しい試みも、ずいぶん行ってきました。回復期リハビリテーション病棟の診療報酬や、NST加算の創設などは、近森会の実践をベースに作られたものです。既存の診療報酬に対応するだけでなく、一歩先行して自ら新しい医療を作り出す。そんな試みを続けてきたからこそ、今の近森会があるのだと思っています。
高知は、全国有数の高齢県で、しかも貧乏県です。人口あたりの病床数の多さ、在院日数の長さ、一人当り入院医療費は全国最高レベルにあります。まさに10年後、20年後の日本の医療がおかれるであろう状況が、現在の高知にまるごと詰め込まれているのです。そこで最も適応した病院こそ、超高齢社会を迎える日本の病院に求められる姿になるでしょう。
キーワードとなるのは“選択と集中”です。病院は救命救急医療に特化して、地域医療連携を徹底すると同時に、回復期リハビリや在宅医療との有機的な連携を進めています。病院だけでなく、病棟や医療スタッフもそれぞれの機能を絞り込み、医療の質をあげながら生産性を高めています。そうやって未来の日本に適合した、極めて戦略的な病院を作り上げてきたという自負を持っていますし、今後もさらに進化させ続けていきたいと考えています。