私は10年前、当院の院長に就任しました。一貫して考えてきたのは、「この病院を国内有数のテーマパークにしよう」ということでした。その真意は「リピーターを増やす」ことです。テーマパークは質の高いサービスを提供し、顧客の期待に応えるために多大な努力をしています。その考え方や方法は医療機関であっても絶対に通用すると考えました。ですから、当院が目指すのは、「病気を治して患者さんを幸せにし、安心して自宅に帰ってもらえる病院になる」ということ、この一点だけです。
これまでスタッフの意識改革などを進めてきましたが、ハード面においては、2015年7月に開設した新病院がその集大成とも言えるものでした。周囲の自然と調和させた「病院らしくない病院」にするために、建物はもちろん、アメニティにもこだわりが詰まっています。たとえば、スタッフの動線はテーマパークと同様にオンステージ(患者さんが利用する場所)とバックステージ(スタッフが利用する場所)とに分けるなど、細部にわたる工夫を凝らしました。
近年ではどの病院においても最先端の医療機器やICTを導入し、診断効率、治療成績の向上をはかっています。同じことをしているだけでは患者さんに選ばれる病院にはなりません。差が出るのは、”マインド”という付加価値だと考えています。
当院の自慢のひとつは、「やれと言われたらすぐにやる」風土の醸成であり、それは私が10年かけて当院に根付かせたものでもあります。患者さんを幸せにするためにスタッフ一人ひとりが何をすべきかを理解し、一丸となれる強力な組織ができたと実感しています。