心臓外科の年収事情

記事公開日:2024年03月12日

心臓外科は循環器、すなわち心臓や血管に関わる疾患を外科的に治療する診療科です。医療機関によっては血管外科と合わせて「心臓血管外科」となっていることもあります。心臓外科手術は生命に直結する臓器や器官を治療対象に、極めて高度かつ精緻な技巧が求められる仕事です。先天性心疾患、冠動脈疾患、心臓弁膜症などの治療に加え、ペースメーカー植込み術や心臓移植などにも対応します。かつてはハードワークぶりがクローズアップされ、心臓外科を敬遠する医師が増えたともいわれますが、今ではワークライフバランスに配慮する職場も増えています。心臓外科医の年収事情を見ていきましょう。

心臓外科で働く医師の年収事情を紹介

年代毎の年収事情――年収水準アップのペースはスロー

データ上のボリュームゾーンは、30代が「1,000万円以上~1,500万円未満」、40~50代が「1,500万円以上~2,000万円未満」となっており、年収水準アップのペースが遅いようです。心臓外科の場合、第一線で執刀できるようになるまでの修行期間が長くなりがちという指摘もあり、あるいはそのことが反映された結果なのかもしれません。

地域別の年収事情(常勤)――関西で年収水準がやや高い

北海道・東北では「1,500万円以上~2,000万円未満」が100%、関東では「1,000万円以上~1,500万円未満」と「1,500万円以上~2,000万円未満」が50%ずつ、関西では「1,500万円以上~2,000万円未満」と「2,000万円以上」が50%ずつとなっています。関西でやや年収水準が高い結果となりました。

医療施設毎の年収事情(常勤)――医療施設の規模・形態ごとに明確な差

病院(200床未満)では「1,000万円以上~1,500万円未満」が100%、病院(200床以上)では「1,500万円以上~2,000万円未満」が100%、クリニック・その他では「1,500万円以上~2,000万円未満」と「2,000万円以上」が50%ずつとなっており、医療施設の規模・形態ごとに明確な差が表れています。1,500万円以上の年収を望むなら、200床以上の病院またはクリニックを選択したほうが良いかもしれません。

性別毎の年収事情(常勤)――「1,500万円以上~2,000万円未満」がボリュームゾーン

男性は「1,500万円以上~2,000万円未満」がボリュームゾーン(50%)で、その前後の年収帯にも25%ずつ分布しています。女性はサンプル数こそ少ないものの、「1,500万円以上~2,000万円未満」が100%となっています。

心臓外科で働く医師の希望年収(常勤)

心臓外科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(44%)、次いで「2,000万円以上」(37%)、「1,000万円以上~1,500万円未満」(18%)の順となっています。

調査対象となった全診療科の中で「2,000万円以上」を希望する割合が最も高いことが特徴的です。しかし、今回の調査結果を見る限り、理想と現実が乖離しているようにも思えます。心臓外科医が十分満足できる報酬を得るに値する存在であることは明らかであり、さらなる待遇アップが期待されます。


※2023年6月 自社調べ

関連コンテンツ