産婦人科の年収事情

産婦人科の仕事とは、新生児から高齢者までの幅広い年齢層の女性を専門とした治療です。産婦人科の構成は、「産科」と「婦人科」の二つ。「産科」では、妊娠・分娩、産褥期まで、様々な合併症を持つ妊婦や胎児奇形の診断や管理などを行い、「婦人科」では、内分泌及び不妊と悪性腫瘍に関しての診療を行います。将来的に子供が産めなくなるなど、デリケートな問題を取り扱うケースもある反面、生命の誕生という神秘的な光景に立ち会えるのも特徴の一つです。

産婦人科で働く医師の年収を紹介

年代毎の年収事情

産婦人科の年代毎の年収は、「2,000万円以上」の割合が40代60代でそれぞれ60%強、50代で33%あるため需要の多い科であることが想像できます。産科医不足が叫ばれる中、産科医として勤務されている方は相応の給与を得ていることが結果から考えられます。30代では各年収帯に分散しており、経験のある医師が相応の年収を得ていることがうかがえます。

地域別の年収事情(常勤)※弊社調べ

産婦人科の年収を地域ごとに見ると、かなり地域差が見られます。年収面で恵まれているのは年収2,000万円以上が83%の関東で、次に年収2,000万円以上が67%の中部といったところです。一方、九州・沖縄における年収は、「600万円未満」に50%、「1,000万円~1,400万円未満」と「2,000万円以上」にそれぞれ25%とばらつきが見られ、全体として低目の結果になっています。したがって、高収入をめざす場合は関東、次に中部が有利と言えるでしょう。

医療施設毎の年収事情(常勤)※弊社調べ

産婦人科の年収を医療施設ごとに見てみましょう。病院(大学・国公立病院)の場合、年収は「1,000万円~1,400万円未満」を除く、各年収層に見られます。もっとも多い年収層は「2,000万円以上」の56%で、次いで「600万円~1,000万円未満」の22%、最後が「600万円未満」と「1,400万円~2,000万円未満」のそれぞれ11%です。つまり、年収1,400万円以上に全体の2/3が、年収1,000万円未満に残り3分の1が、二つの山を作る形で分布しています。
次に、病院(民間病院)の医師は1,000万円以上の各年収層に分布しています。もっとも多い年収層は「2,000万円以上」の44%、次に「1,400万円~2,000万円」の31%、次いで「1,000万円~1,400万円未満」の25%と、右肩上がりの分布になっています。
最後に、クリニックでは、年収600万円未満の層と1,400万円以上の層に二極化しています。もっとも多い年収層は「1,400万円~2,000万円」の50%、次に「1,400万円~2,000万円未満」の33%、「600万円未満」の17%です。クリニック医の1/6が年収「600万円未満」であり、大学・国公立病院や民間病院の医師に比べて、年収面で苦慮している様子がうかがえます。
以上のように、年収1,000万円未満の医師が年収を上げたい場合、民間病院をめざすのが得策と言えるでしょう。年収1,000万円台の医師の場合は、大学・国公立病院や民間病院で収入アップをねらう方法が考えられます。

性別毎の年収事情(常勤)※弊社調べ

産婦人科の年収を男女別に見ると、もっとも多い年収層が「2,000万円以上」で、男性の46%、女性の43%を占めています。また、年収1,000万円以上2,000万円未満が男性51%、女性43%、年収1,000万円未満が男性12%、女性14%と、他の診療科目に比べると、男女間での差はさほど目立ちません。産婦人科では患者が女性のため、女性医師が期待される分野であり、また、女性医師が活躍しやすい分野と言えるでしょう。

産婦人科で働く医師の希望年収(常勤)※弊社調べ

産婦人科の医師の希望年収は、「2,000万円以上」が68%と全体の2/3以上を占めています。医療施設毎・地域別の年収事情のパートで述べたように、年収2,000万円以上をめざす場合は、転職先の有力候補は大学・国公立病院や民間病院、地域では関東が有利です。一方で、医師の6%が「600万円未満」を希望しており、産婦人科では年収以外の要素に魅力を感じる医師がいることがうかがえます。

産婦人科で働く医師の年収事例を紹介

年収例1<常勤(週4日以上)のみ・鳥取県・30代>

年代 年収
研修医時代 600万円未満
20代 600万円未満
現在 600万円~800万円未満
Q1.研修時代~現在に至るまでの年収満足度を教えてください。
出向中は独身でもあり、金額にはおおむね満足していた。現在は子供がおり、パートなので仕方ないと思う反面、割の良いバイトの方がよいように思える時がある。
Q2. 今後、どのようにキャリアを伸ばし年収を上げていく想定ですか?展望をお聞かせください。
現在の職場を離れて、別な職場に所属、もしくは独立する。

年収例2<常勤(週4日以上)のみ・大阪府・30代>

年代 年収
研修医時代 800万円~1,000万円未満
20代 1,200万円~1,400万円未満
現在 1,600万円~1,800万円未満
Q1.研修時代~現在に至るまでの年収満足度を教えてください。
労働強度に見合っていた。
Q2. 今後、どのようにキャリアを伸ばし年収を上げていく想定ですか?展望をお聞かせください。
特に考えていない。

産婦人科で働く医師の年収は、比較的高い満足度が見られました。ただし、フルタイムで働けないなど、自身の生活環境や働く時間・雇用形態によっては、転職などによってより良い条件での勤務を探そうという考えも見られました。