整形外科は、骨、軟骨、筋、靭帯、神経などの運動器に関わる外傷や疾患の診断・治療を担う診療科です。運動器を対象とするため、人体の広範囲をカバーすることになります。具体的な外傷・疾患としては、骨折、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、関節リウマチなどが挙げられます。早期治療を要するものから長期の経過観察を要するものまで幅広いため、どのような外傷・疾患を多く扱うかにより、整形外科医の働き方や年収にも幅が生じやすいといえるでしょう。
30代にして約半数(53%)が「1,500万円以上~2,000万円未満」に到達し、「2,000万円以上」も約2割(21%)という早い立ち上がりを見せます。40代以降は「1,500万円以上~2,000万円未満」と「2,000万円以上」がほぼ拮抗するかたちで、全診療科の中でもかなり年収水準が高い部類に入るといえるでしょう。
「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合は関西において25%と勢いに欠ける一方、その他の多くの地域で50%を超えています。中国・四国に至っては「2,000万円以上」が約8割(78%)と驚異的な数値。九州・沖縄も「1,500万円以上~2,000万円未満」が約9割(86%)に上っています。これらの地域で整形外科医が不足しており、高い年収を提示して確保に努めている可能性が考えられます。
病院における年収のボリュームゾーンは「1,500万円以上~2,000万円未満」で、200床未満では44%、200床以上では62%に上っています。「2,000万円以上」に注目すると、200床未満では28%、200床以上では23%と、わずかながら逆転現象が起こっています。クリニック・その他については約半数(47%)が「2,000万円以上」に達しており、一般的な傾向通り、開業医優勢となっています。
データ上、性別による年収水準の違いがはっきりと表れています。男性では7%しかいない「1,000万円以上~1,500万円未満」が、女性では60%にも上っています。また、「2,000万円以上」は男性43%に対して、女性は0%です。外科領域では労働環境が厳しいため女性医師の年収が上がりにくいという指摘は以前からありますが、働き方改革などを通して女性が十分に活躍できる環境の実現が望まれます。
整形外科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(52%)、次いで「2,000万円以上」(29%)、「1,000万円以上~1,500万円未満」(17%)の順となっています。
「2,000万円以上」を希望している方が約3割というのは全診療科の中でも高い方ですが、それに見合った仕事内容であることは確かでしょう。とはいえ、「2,000万円以上」を達成するためにはさらなるキャリアアップや転職が必要になる可能性が高く、どのような道筋で目標へ近づいていくか戦略が問われそうです。
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科目によって異なる医師の年収事情について、アンケートを実施し現状を調査しました。