呼吸器科は、気管および気管支、肺、胸膜など呼吸器の疾患を対象とする診療科目です。咳、痰、血痰、喀血、息切れ、呼吸困難、胸痛といった症状がある患者や、健康診断の胸部X線撮影で異常陰影を指摘された患者などが訪れます。呼吸器科は、扱う症状・疾患への緊急対応の必要度は比較的高くないといえますが、生命に直結する「呼吸」に関する不安や苦痛に正面から向き合う緊張感ある仕事です。人口高齢化もあり、特に在宅医療の領域でニーズが増していることも特徴だといえます。今後の年収水準のアップが期待されます。
年代毎に最も多い年収帯は、30代で「1,000万円~1,500万円未満」(75%)、40~50代で「1,500万円~2,000万円未満」(75~78%)となっています。他の多くの診療科と同じような傾向にあると考えられますが、今後のニーズの伸びを反映して、さらなる年収水準アップが期待できるかもしれません。
北海道・東北、中部において高年収帯のサンプルがみられ、その他の地域では主に「1,000万円~1,500万円未満」「1,500万円~2,000万円未満」に分布しています。関東や関西では医師確保が比較的容易である一方、それ以外の地域では呼吸科医が不足しており、高めの年収を提示して確保に努めていることの表れかもしれません。
病院でもクリニックでも「1,000万円以上~1,500万円未満」が20~30%台、「1,500万円以上~2,000万円未満」が50~60%台となっており、データ上は勤務施設による年収水準の差はあまりみられません。ただし、肺炎や気管支喘息増悪などの患者を多く受け入れる急性期病院では、慢性期病院や介護老人保健施設などと比べて年収水準が高くなるでしょう。
年収帯のボリュームゾーンは、男性も女性も「1,500万円以上~2,000万円未満」となっています。一方、女性の場合は「1,000万円未満」のサンプルもあることが目を引きます。ワークライフバランスを重視したい育児中の女性医師などは、外来診療中心の働き方とすることも多いです。キャリアを中断せず専門医として勤務できる体制は整えられている反面、外来中心の勤務となることが、女性の年収分布が低くなっている要因の一つとみられます。
呼吸器科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(49%)、次いで「1,000万円以上~1,500万円未満」(37%)、「2,000万円以上」(12%)の順となっています。
呼吸器科医は需要に対して供給が十分とはいえない現状があり(特に地方では人材不足)、そのことからすれば年収水準がもっと高くなってもおかしくないかもしれません。他の診療科に比べて低い水準というわけでもないですが、さらなる年収アップを望むのであれば、例えば呼吸器科医不足の地域で働くことを検討してみるのも一つの手だといえるでしょう。
※ご相談は無料です
科目によって異なる医師の年収事情について、アンケートを実施し現状を調査しました。