腎・泌尿器科の年収事情

腎・泌尿器科は、日頃よくみられる尿失禁、尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大などから、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、慢性腎不全、性感染症などに至るまで、泌尿器科領域の専門的な治療を担う診療科です。疾患の特性上、男性患者がかなり多いという特徴があります。急性期病院に勤務する腎・泌尿器科医は手術などもあってハードワークですが、人工透析を行う透析医療機関でワークライフバランスを保ちながら働く方も増えています。職場によって仕事の忙しさに振り幅があり、それに応じて年収も左右されるでしょう。

腎・泌尿器科で働く医師の年収事情を紹介

年代毎の年収事情――内科系診療科の中で高い水準

30代で約半数(48%)が「1,000万円以上~1,500万円未満」に到達し、その後も順調に伸びていく傾向です。「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合は40代で70%、50代で60%になっており、内科系診療科の中で年収水準は高めだといえるでしょう。急性期病院や透析医療機関でのニーズの高さが反映されているのかもしれません。

地域別の年収事情(常勤)――年収水準から働く地域を選ぶ手も?

このデータに関してはサンプル数の都合で明確なことは言えませんが、一般的には医師不足の北海道・東北や中国・四国で年収水準が高くなる傾向にあります。これらの地域では腎・泌尿器科医も充足しているとはいえないため、年収面を重視して働きたい方は、一度これらの地域を検討してみてはいかがでしょうか。

医療施設毎の年収事情(常勤)――クリニック等の年収水準が高め

病院の場合、「1,000万円以上~1,500万円未満」は規模(病床数)を問わず40%台となっています。200床未満の病院については、「1,000万円未満」から「2,000万円以上」まで幅広く分布しており、施設ごとの差が大きい印象です。「クリニック・その他」の場合、「1,500万円以上~2,000万円未満」がボリュームゾーン(50%)で、3割弱の医師が「2,000万円以上」に達しています。

性別毎の年収事情(常勤)――男性優位が明確な結果に

データ上、性別による年収水準の違いがはっきりと表れています。ボリュームゾーンは男女とも「1,500万円以上~2,000万円未満」ですが、男性はそれより上の「2,000万円以上」が23%いる一方、女性は0%です。女性の場合、「1,000万円未満」も14%います(男性は0%)。出産や育児の都合で、常勤の範囲内で働き方を調整する女性医師が少なくないのかもしれません。

腎・泌尿器科で働く医師の希望年収(常勤)

腎・泌尿器科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(48%)、次いで「1,000万円以上~1,500万円未満」(34%)、「2,000万円以上」(16%)の順となっています。

全体として見れば、腎・泌尿器科医の希望年収と実際の年収に大きな乖離はなく、それなりに満足できる水準にあるといえるのではないでしょうか。ただし、前述のように腎・泌尿器科では職場によって忙しさが大きく異なり、急性期病院で手術や術後管理に追われる方などは、もっと報酬面で評価してほしいという思いを持っているかもしれません。自身の働き方や責任の大きさに見合った年収を得られているか、この機会にあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

腎・泌尿器科で働く医師の年収事例を紹介

年収例1<常勤(週4日以上)のみ・愛知県・40代>

研修医時代
600万円未満
20代
1,000万円~1,200万円未満
40代
1,800万円~2,000万円未満
Q1.研修時代~現在に至るまでの年収満足度を教えてください。
研修医時代は非常に苦しかったですが、常勤になってからはまずまず満足しています。
Q2. 今後、どのようにキャリアを伸ばし年収を上げていく想定ですか?展望をお聞かせください。
待遇面の条件が良く、勤務環境も良い病院が見つかれば転職しようと考えています。

年収例2<常勤(週4日以上)のみ・栃木県・30代>

研修医時代
600万円未満
20代
800万円~1,000万円未満
30代
1,000万円~1,200万円未満
Q1.研修時代~現在に至るまでの年収満足度を教えてください。
自分のキャリアにおいて、いつの時代も平均程度の年収なので、せめて平均を超えたいと感じています。
Q2. 今後、どのようにキャリアを伸ばし年収を上げていく想定ですか?展望をお聞かせください。
高く評価してもらえる病院へ転職することだと思います。

年収例3<常勤(週4日以上)のみ・東京都・40代>

研修医時代
600万円未満
20代
600万円~800万円未満
40代
1,200万円~1,400万円未満
Q1.研修時代~現在に至るまでの年収満足度を教えてください。
妻子を養うだけの給料はもらっていますが、アルバイト代が半分を占めている現状です。
Q2. 今後、どのようにキャリアを伸ばし年収を上げていく想定ですか?展望をお聞かせください。
アルバイトの頻度を増やすことでしょうか。

※自社調べ

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