医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック
サバティカル休暇制度とは長期間の有給研修休暇のこと。今年、祐ホームクリニックは国内では珍しく同制度を導入した。5年間の継続勤務で1年間の休暇、または3年の継続勤務で半年間の休暇を取得できる。給料は全額支給で、休暇中の過ごし方は問わない。分院の祐ホームクリニック石巻でも同制度の導入を開始した。
導入の発端となったのは、理事長の武藤真祐氏の幼少期の体験だ。
「私が10歳の頃、大学教授だった父のサバティカル休暇について、イギリスのケンブリッジに滞在したことがありました。1年間、父は自由に研究していました。その時の印象が残っていて、忙しい日本の医師にも自由に使えるまとまった時間が必要だと思ったのです」
1年間も自由な時間があれば、医師としてさまざまな目標が達成できるはずだ。
「海外で研修を受けても、ほかの医療機関で勤務をしても構いません。あるいは公衆衛生大学院で学ぶなど、ポジティブに自身のキャリアにプラスになる時間を過ごしてもらうことを期待しています」
同制度の導入には、同院が在宅診療中心のクリニックであることも関係している。
「在宅医療はプライマリケアが中心で、元専門医の医師は『ずっとこのままなのかな』と思うことがあります。特に30代後半くらいであれば、もう一度、専門領域を学びたくなるでしょう。ぜひ休暇を使ってスキルアップしてほしいですね」
1年間、医師が不在になることは痛手になりそうだが、武藤氏は「外で学んできたことを還元してもらえばいい。優秀な人材への必要な投資です」と語っている。
今後、同院では武藤氏の母校である東京大学と連携して、在宅医療の臨床研究を始める予定だ。
「在宅医に多い悩みの1つが、なかなか論文を書けないことです。当院では、延べ2000件の症例数と、大学とのコネクションを生かして、アカデミアとの距離を近く保つことを重視しています。在宅医療の臨床を通して、有意義な研究や、論文執筆ができる環境を整えていきます」
所在地 | 東京都文京区(宮城県石巻市にも開業済) |
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診療科目 | 在宅診療:一般内科、循内、一般外科、緩和など |
医師数 | 常勤4人、非常勤23人 |
社会医療法人厚生会 木沢記念病院
医師の海外留学は減少傾向にあると言われる。一因は、公費による資金補助が減少したことだ。そうした中、木沢記念病院は2013年に「医師外国留学奨学金制度」を創設した。事務長の佐合茂樹氏はこう語る。
「当院の山田實紘理事長は国内外の交流が多く、日本の医師がもっとグローバルに活躍することを望んで留学金制度を創りました。海外で優れた知識や技術を修得し、帰国後は日本の地域医療の国際レベル化に貢献してほしいと願っています」
奨学金額は1人あたり年200万~500万円で、最長2年まで留学できる。渡航前の勤務先は問わず、帰国後は同院か多治見市民病院等で一定期間、勤務することが条件である。
「留学先での研究テーマなどに厳しい条件はなく、一般的な留学奨励制度に比べ、審査のハードルを下げているのが特徴です」
すでに30代の産婦人科医が、カナダのオタワ大学に留学している。
また、同院では2018年の病院移転予定時に、臨床・基礎研究棟(ラボ)を併設する計画がある。
「詳細は未定ですが、共通臨床研究室を設け、基礎研究員や技術員を配置する構想です。国際的な医師が、研究の面でも成長できる環境を目指しています」
所在地 | 岐阜県美濃加茂市 |
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診療科目 | 内科、外科、整形外科、脳神経外科、その他25科目 |
病床数 | 452床 |
医師数 | 常勤102人、非常勤45人 |
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院
VHJ(ボランタリー・ホスピタル・ジャパン)機構の国内留学制度は、全国45の加盟病院が相互に医師の国内留学を受け入れ合っている。相澤病院もその1つ。
「勤務医が希望すれば、加盟病院への国内留学が可能ですし、逆に他の病院からの受け入れもしてきました」(人事部・粟津原剛氏)
また、相澤病院では独自の留学規定も設けている。留学中、身分は休職扱いで給与は支払われないが、留学研修費が支給される。
「30代の医師が一人、高度な臨床を学ぶために信州大学に国内留学しています」
ほかにも、医師に限って賃貸家賃の半額補助があり、希望者を対象としたスポーツクラブや飲食店、リゾートホテルの割引など、福利厚生も充実している。
所在地 | 長野県松本市 |
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診療科目 | 救急科、内科、外科、産婦人科、その他33科目 |
病床数 | 502床 |
医師数 | 常勤137人、非常勤103人 |
一般財団法人 精神医学研究所附属 東京武蔵野病院
東京武蔵野病院は、職員の福利厚生に力を入れている。法令で定められた年次有給休暇に加えて、自由に休めるリフレッシュ休暇は年7日間。誕生月か翌月に休めるバースデイ休暇は2日間だ。人事課長の笠原洋介氏は「連続で休んでも、分割でも構いません」と言う。
病院には珍しく、財形貯蓄も導入している。一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の中から選べる。
「若いうちから始めることで効率よく貯蓄できます」
また、最近は研究日を正式な休暇として扱うことも検討している。
「明確に休暇とした方がリラックスして休めるという声があったためです」
医師の身体的、精神的負担がともに軽くなりそうだ。
所在地 | 東京都板橋区 |
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診療科目 | 精神科、心療内科、内科・外科、脳神経外科、その他7科目 |
病床数 | 686床 |
医師数 | 常勤30人、非常勤23人 |
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