• 私はこうしています 1

持てる限りの情報を駆使して最適化。新たな働き方の提案もしていきます。

リクルートドクターズキャリア キャリアアドバイザー 岡本宏美

頭の中に、独自の病院マップがあるに違いない」と言われているのが、キャリアアドバイザーの岡本宏美氏。長年、医療機関を担当し関係を築いてきた実績から、現場の情報に精通している。独自に病院のプロフィールをとらえているだけでなく、持ち前の明るく率直な性格で、医療機関の採用担当者の懐に深く入り込み、どの診療科に力を入れようとしているのか、救急体制はどうかなど、密に病院に連絡を取って、情報を日々アップデートしている。
岡本氏の強みは、その病院情報と医師からの転職希望を「編集して提案するチカラ」だ。表面に出てこない病院の隠れたニーズも読み取り把握しているからこそ、医師の希望や強みを最大限にアピールできる場を感知。新たな働き方さえ考え出して提案している。

岡本 宏美

岡本 宏美
医療施設担当を経て、キャリアアドバイザー担当5年目。
3人の男の子の母でもあり、抜群のバイタリティと集中力は「子育ての中で培われているのかも」と朗らかに笑う。
その医師にとって一番良い道は何かと考える思考法と病院への積極的なアプローチで、社内外から頼りにされる存在だ。

ハードデータではわからない見えない情報を探り出します

私が心がけているのは、集めた情報を常に見直し、数字や言葉の背景を読み取っておくことで、ドクターと病院にとって価値のある情報を提供することです。
たとえば病院なら各科の医師の年齢構成や出身大学、休日の消化状況、生活圏やお子さまのための教育環境などの情報を収集。さらに、どんな手術を年間何件実施しているのかを調べれば、導入している医療機器のおよそのレベルがわかります。エリア情報を読むことで、その地域でどの診療科が不足しているのかということも把握できます。そういう一つ一つの情報の積み重ねが、先生に納得と満足のいく入職をしていただくために役立つと思っています。

求人がなければ提案してでもドクターの可能性をお手伝い

求人がなければ提案してでもドクターの可能性をお手伝い

N先生は地方大学の医局に所属する内科の女性で甲状腺がご専門です。40歳を前に、将来を考えてご実家のある首都圏へ戻りたいと登録されたのです。
先生のご登録時のご希望通りに内科募集の病院をご紹介する方法もありました。でもそれでは、せっかくのご専門がプラスに働きません。キャリアを最大限に活かしていただく道はないのか……。甲状腺は比較的女性に多い病気ですから、ご実家から通える地域のなかで婦人科に力を入れていこうとしている病院はどこか、同じ医療圏内に甲状腺外来がないところはどこかを考えました。
思い至ったのが、来年90床の増床予定があり、婦人科部門を持つ総合病院でした。部長・医局長以外は30代前半の医員が多く学閥もなし。診療科間の垣根も低く、N先生が入ってお力を発揮しやすい環境です。
実は、この時点では病院からの内科や婦人科の求人はありませんでしたが、求人がなくても『病院にとってもメリットになること』であれば、提案してみようと私は考えています。さっそく、N先生の能力とお人柄を匿名の状態で病院にお伝えし、甲状腺外来を設けませんか、と提案しました。事務長を通じて院長から前向きな回答をいただいたのは、それから間もなくのことでした。甲状腺では乳腺とのかかわりも多く、N先生も婦人科にも興味をお持ちだったことから、すぐに入職も決まり、双方から喜んでいただいています。
男性医師で印象深いのは呼吸器外科のT先生です。40代半ばで大学病院で活躍していらしたのですが、「このままハードに働き続け、自分がメスを置くころには、子どもは大きくなってしまう。親を必要としている時期に、もっとかかわってやりたい」と、転職を希望されたのです。
お子さんと過ごす時間が作れることが最優先とはいえ、現状からのギャップが大き過ぎても、先生の意欲がそがれるのではないかと考え、リハ病院をご紹介しました。予定入院中心のため、朝子どもを幼稚園に送ってからの出勤が可能です。先生のキャリアも活かせ、リハ専門医取得も可能な施設でした。呼吸器リハをきちんと担う施設はそう多くありません。先生ご自身も、新たなチャレンジに意欲を感じてくださいました。病院からも大変喜ばれました。
医師の希望がかない、病院にもプラスになる転職を成功させるために、時には先生に新たなご専門領域を提案したり、これまでにない働き方での受け入れを病院に依頼するなど、キャリアアドバイザーだからこそできる視点で、win-winとなる転職を、これからも追求していきます。

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医師と病院の双方の満足をめざし 数百件の医療機関に当たることも

リクルートドクターズキャリア キャリアアドバイザー 池上善之

池上善之氏の持ち味は「フットワークの軽さと粘り抜くチカラ」だ。首都圏担当を経て、地域医療圏担当になったが、毎週のように出張して担当エリアの病院の採用窓口と接点を作るとともに、地元情報を収集。大学医局の影響が絶大で、求人が少ないエリアでも、可能性のある数百もの医療機関リストを洗い出して、医師の輝ける場所を探し出す。その粘りは上司からも一目置かれるほどだ。
医師の入職希望日が1年先の場合、転職会社の多くは少しでも早く入れる施設を紹介しがちだが、池上氏は“希望の時期に入職できる最善の施設”を探し出すことに全力を尽くす。紹介する側の都合ではなく、医師と医療機関の双方の気持ちを最優先する誠実な対応に信頼は厚く、入職後も双方との長いお付き合いが続いている。

池上 善之

池上 善之
医師転職にかかわり3年目。
担当医師が輝ける場所を探し出すために、数百の医療機関に総当たりすることも厭わない。
愛読書は『己を修め人を治める道』(伊與田覺著)。
折に触れ、『四書五経』の一つを解説したこの講話集を読み返しては自分を見つめ直す。

地域性の違いに思いを持って対応します

地域医療圏と首都圏の転職の違いにはいろいろありますが、一番の違いが準備期間の長さです。首都圏なら半年後の転職を考える先生が多いのに対し、地方では1年半前に動き出す先生もいらっしゃる。地方の場合、希望エリア内にある医療施設は多くありません。お子さまの進学など家族のことを考えると生活環境も限られるため、一度転職を決めたら失敗できないというプレッシャーが大きく、準備期間も長くなるのです。
もう一つは、地元大学医局の影響力が、地域によっては絶大だという点です。このように、大都市圏に比べれば、不利とも言える2つの特徴が地域医療圏にはあります。そのなかで転職を決意された先生を最大限支援するために、何ができるのかを常に考えてご提案しています。
たとえば同じ太平洋側なら隣県でも通勤圏であることもあります。また地元大学医局とのつながりがなくてもスキルや症例を積める病院も、総当たりをすれば見つけ出せます。そこで求人がなければ、あとは(病院と)直接交渉するのみです。

先生のキャリアパス形成の力になりたい

地方出張は最低でも週1回。担当エリアを飛び回っている。
地方出張は最低でも週1回。
担当エリアを飛び回っている。

A先生は地方の大学医局に在籍され、脳神経外科の臨床と研究をしていらしたのですが、転科を希望されての登録でした。お話を伺うと、医局の意向で数年ぶりに大学に戻ったものの、医局員の減少もあって、あらゆる雑用を押し付けられる日々で、精神的に追い詰められてしまったのだそうです。転科して、もともと興味のあった精神科で指定医を取りたい、地元を離れたいとのことでした。
そこで先生にもなじみのある隣接県に焦点を当てて、精神科の指定医が取れる全医療機関をリストアップ。総当たりで求人を問い合わせていきました。その結果、これまで弊社とはお付き合いのなかった病院から面接の機会をいただけたのです。面接後はスムーズに入職が決まり、年収もこれまでの1,000万円から1,500万円になりました。
32歳のT先生は、将来は地元で地域医療に貢献したいという夢をお持ちで、訪問診療のクリニックに在籍していました。しかし、後期研修は泌尿器科で、そのあとすぐに訪問診療に携わったため、内科のスキル不足をお感じになられ、療養型病院への転職希望をされたのです。
療養型病院の求人は手元にあったのですが、そのままご紹介することにはためらいがありました。T先生のこれからの医師としてのキャリアを考えたときに、内科をきっちり勉強できる急性期病院を今のうちに経験しておくことも必要ではないかと考えたのです。そこで療養型病院で週4日勤務とし、1日は研究日をもらって急性期病院で非常勤勤務をするという新たな働き方をご提案しました。先生から「できるものなら、そうしたい」とのお返事をいただき、急性期病院に交渉開始です。「即戦力でない医師を週1日では受け入れられない」との回答が多かったのですが、療養型病院で年収を確保する分、給与を調整することで非常勤の受け入れ先も決まりました。
私の仕事は、医師がキャリアパスを形成し、理想の転職をしていただくための、お力になること。医師が求める施設を探し出すために、これからも全国を駆け回っていきます。