病院見学時のポイント

研修先を選ぶにあたり、何かと忙しい医学生や前期研修医は、情報収集にあまり多くの時間を割けないものです。それゆえ、エリアやブランドなどといった目に留まりやすい条件だけで病院を選びがちになり、結果的に失敗する方が出てきてしまいます。研修先となる病院を選ぶには、やはり見学に行って情報収集することが欠かせません。
そこでこの記事では、病院見学で必ずチェックしておきたいポイントについてご紹介。要点を押さえて見学に臨み、ぜひ失敗のない選択をしてください。

【1】職場の雰囲気・スタッフなどのソフト面

職場内の人間関係

仕事をする上で、やはり人間関係は非常に重要なポイントです。この部分を知ることは見学でしか得られない収穫なので、積極的に情報収集するようにしてください。
例えば、医局の掲示板を見てみましょう。サークル活動や、飲み会をはじめとしたイベントの様子を伺い知ることができます。仕事を離れた場での交流が盛んであることは、良好な人間関係を築けているというだけでなく、過度に仕事に偏った生活をしていないことの証明でもあります

患者さんへの対応

待合室や病棟で、スタッフがどのように患者さんと接しているかにも目を向けてみましょう。これは、病院全体の診療に対するモチベーションを知る判断材料になります。

先輩研修医の満足度

入局希望者の案内役は、研修医が担当することも少なくありません。近い未来の自分を想像するには、研修医の振る舞いは非常に有益な情報となるでしょう。先輩研修医の姿は、数年先のあなたの姿そのものとも言えます。
また、見学者への対応がしっかりしていることは、きちんと準備ができているということ、つまり「今日は見学者が来る」という情報が行き渡っているということになります。全体でしっかり情報共有できているかをチェックするポイントにもなるでしょう。

【2】機材などの診療環境

各種機材をはじめとした診療環境をチェック

CTやレントゲン、オペシステムをはじめとした機材の充実度は、診療のレベルに直結します。難症例にも対応できる環境が整っているかどうかは、必ずチェックしてください。また、機材が整っているかどうかだけでなく、そのグレードにも着目すべきです。きちんとアップデートされていれば、最新技術を積極的に導入しよう、より良い診療を追求しようとする姿勢があることがわかります。

【3】先輩医師や上司について

実績のあるドクターから学べる環境か

良い師を持つことは、効率的かつ飛躍的な成長につながります。そこで確認したいのが、先輩ドクターの活躍度です。具体的には、「専門医や指導医などの資格を取得しているか」「学会発表をするなど、毎日の診療だけでなく研究にも熱心に取り組んでいるか」など、自分の専門医取得や研究にもかかわります。

年齢分布

ドクターの年齢分布のバランスが良い病院は、非常に働きやすいと言えるでしょう。経験豊富なベテランドクターにばかり注目してしまいがちですが、自分よりも少し上の世代の先輩ドクターが一定数いることで、些細なことを質問したり、悩みを相談したりしやすくなります。高度な技術を指導してくれるトップ層と、身近なお手本となる中堅層、どちらも重要な要素であることを忘れてはいけません。
また、さまざまな世代の先輩がいると、自身のキャリアプランを明確に描くことができます。何年後に自分がどうなっているか、先輩の姿を見れば、具体的にイメージできるでしょう。

【4】教育体制

指導体制

後期研修は指導医の下で専門医取得を目指す期間であり、初期研修のように細かで明確なカリキュラムが組まれているわけではありません。どんな先輩ドクターに指導を受けるかで大きく過ごし方が変わるため、自分が希望する分野を担当するドクターの経歴(指導歴を含む)を調べておいたり、可能であれば見学時に直接話して相性を確認したりしておきましょう。
また、病院によっては後期研修であっても細かくカリキュラムを組んでいるところも見られます。これは研修医指導に力を入れている証でもあるので、積極的に選んでみると良いでしょう。

経験できる症例

豊富な症例を実際に経験できることは、確実なスキルアップにつながります。研修医のうちは、あらゆる分野の基礎をしっかりと固めておくことが大切です。多くの患者、それも一定の年齢層や特定の病気を持った方だけではなく、幅広い世代の患者を診られる環境を選ぶと良いでしょう。症例数だけでなく、その内容のバランスにも着目してください。

【5】福利厚生

給与や各種手当

研修医とはいえ、少しでも働きやすい環境、つまり福利厚生が整った環境を選ぶことは大切です。最もわかりやすいところで言えば、やはり給与でしょう。一般的に、市中病院の方が大学病院よりも、そして地方の方が都心部よりもやや給与が高くなっています。理由は、人気がある都心部の大学病院に優秀な人材をとられないようにするためです。
また、寮や家賃補助があるか、時間外手当や当直手当などの各種手当が充実しているかなども、必ず確認しておきたいポイントです。

学会参加

常に進化する医療の現場では、技術研鑽のために、学会などに参加してスキルアップを図ることが不可欠です。一人前の医師を目指す研修医ともなれば、なおさらでしょう。そこで重要になるのが、学会参加にかかる費用を補助してもらえるかどうかという点です。病院から費用の補助があれば、安心して勉強に専念できます。
なお、学会にかかる費用は、参加費だけではありません。会場までの交通費や、場所によっては宿泊費なども必要になります。トータルで補助をしてくれる病院を選べば、なお良いでしょう。

おわりに

ここまで病院見学におけるポイントをご紹介してきましたが、これに加えて大切になるのが、自身のキャリアについて事前によく考えておくことです。長い目で見て、将来自分がどんなドクターになりたいのか、どういった分野で活躍したいのかを整理しておきましょう。見学で「見るべきポイント」がより明確になます。
見学による情報収集をしっかり行って、自分に合った研修先を見つけてください。

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