自らの仕事見直しから、勤務形態変更、転身まで 自前の働き方改革で満足を手に入れる

医師の働き方改革が進行中だが、望むタイミングで自分に合った働き方をしたい場合は “自前の働き方改革”が有効かもしれない。そこで本特集では読者調査を3月に実施し意見等を伺うとともに、医師自身やリクルートメディカルキャリアのCA(キャリアアドバイザー)へ“自前の働き方改革”実践例を取材した。その後COVID-19により医療界は非常事態となり、平時と状況は変わったが、自身の働き方の根本的な課題解決の参考にしてほしい。

  • 意識&実態

約77%が「自分には“働き方改革”が必要」と回答。
当直、オンコール、休日確保の是正を求める声多数

転職や労働時間管理の工夫で
自分の働き方を改革する

国主導の「医師の働き方改革」によって、2024年から医師の時間外労働に上限規制が設けられる(原則年960時間以下、暫定特例年1860時間以下)。加えて、タスクシェアやタスクシフト、ICT技術を活用した効率化などが求められる。個々の医療機関と地域医療構想が連動して医療機関の機能分化や連携、集約化・重点化の推進に取り組むことなども重要とされる。制度の詳細は厚生労働省の検討会で議論中だ。

本誌読者の医師にアンケート(回答者数105人)を実施したところ、国の働き方改革において特に必要だと思う項目(Q1:業務・働き方面)は「休日の確保」(57・1%)と「負担の少ない当直体制」(56・2%)が上位に挙がった。Q2の環境・体制・制度面では「患者対応体制の整備」(54・3%)、「医師以外の職員の人員増」(49・5%)が上位だった。自由回答では「夜間のシフトを一般企業並みにする事が必要」(一般内科・40代後半・男性)など、具体的な指摘があった。

ただ、国の施策が医療現場に浸透するまでは時間がかかる。そんななか、自分に「働き方改革が必要だと思ったことがある」医師は77・1%もいた(Q3)。理由(Q4)は、「体力的につらかったため」(70・4%)が圧倒的多数だった。

Q5「ご自身に働き方改革が必要だと思ったのはどんな点ですか?」には、「当直・オンコールの削減」(60・5%)、「休日の確保」(59・3%)が上位だった。一にも二にも、就労時間の短縮が必要である様子がうかがえる。

この結果を踏まえ、リクルートメディカルキャリアで医師の転職を支援しているCAはこう話す。

「すでに医師の働き方を改善している病院は、ほぼ例外なく人的リソースを増やしています。ある病院は、育児などで時間的制約のある医師を多数組み合わせてシフトをつくり、全体の負担を軽減しました。こうした抜本的な改革は一朝一夕にはできませんし、国の施策によって実現するかは未知数です」

自分に合った働き方をするには、医師自身による“自前の働き方改革”が必要なのかもしれない。Q6で働き方改革のために自身で行動したこと(行動しようと思っていること)を訊ねたところ、「転職」「自分で時間管理を改善・工夫」がともに42・0%で上位だったが、 「勤務先に改善提案(受け入れられた)」は、わずか、6・2%に留まった。

フリーコメントでは「当直の引継ぎ時間を明確にし、お互いに早く帰れるようにした」(産婦人科・30代後半・男性)など成功例が寄せられた一方、「常に主治医が呼ばれる職場だったが、他の医師もそうだったので我慢した」(精神科・40代前半・男性)との声も。病院側の変化を待っていては働き方の改善が難しいこともある。場合によっては、医師自身が能動的に“改革”することを検討してはいかがだろうか。

Q1 国による「医師の働き方改革」で、特に必要だと思う項目 (複数回答)
Q2 国による「医師の働き方改革」で、特に必要だと思う項目 (複数回答)
Q3 過去、ご自身に「働き方改革(改善)が必要だ」と思ったことがありますか?
Q4 ご自身に「働き方改革(改善)が必要だ」と思ったのは何故ですか? (複数回答)
Q5 ご自身に「働き方改革(改善)が必要だ」と思ったのはどんな点ですか? (複数回答)
Q6 働き方改革(改善)のためにご自身で行動したことや、これから行動しようと思っていること (複数回答)
フリーコメント 国による「医師の働き方改革」へのご意見、お考え
  • 当直やオンコールへの報酬増や、翌日の勤務時間短縮などは必要(放射線科・30代前半・女性)
  • 患者啓蒙を政府主導で行わず、全て現場に丸投げしているのが現状。医療費高騰で診療報酬も担保されず、このままでは有望な人材から敬遠される職種となり、医療崩壊も目前である(泌尿器科・40代前半・男性)
  • 医療も普通の仕事として扱われることが必要で、健康保険制度に大きな矛盾と問題がある。もう制度疲労が生じている(一般外科・50代後半・男性)
  • 夜間は病院の集約化が必要であり、当直ではなくシフト制とすべき(腎臓内科・40代後半・女性)
フリーコメント 自前の働き方改革(改善)のための行動
  • 日常的な時間の使い方をGoogle Calendarに記録して見直していった(精神科・50代後半・男性)
  • 通勤時間が長いので勤務時間を短縮してもらった(消化器内科・60代前半・女性)
  • 時間管理を工夫していたが、深夜の呼び出しが続いていた。その後出産し、(中略)自宅近くの病院に転職した。それでもやはり子育て中の負担は大きかったため、非常勤になって何とかやりくりした(一般内科・40代後半・女性)
  • 夜間のシフトのない職場に転職した(一般内科・40代後半・男性)
  • 提言しても改善されないので勤務日を減らした(消化器内科・50代後半・男性)
アンケート概要
調査方法:
リクルートドクターズキャリア会員登録者へのインターネット調査(2020年3月)
有効回答数:
105人(男女比/男性87.6%:女性12.4%)
年齢
勤務先種別
勤務形態
医師とキャリアアドバイザーに取材した「自前の働き方改革」成功実例集

▼医師に取材

  • 仕事効率化

書類業務を事務職にタスクシフト。
他科からの患者紹介も調整した

過重労働を是正しても
売上げは落ちなかった

「同じ問題意識を持つ医師と意志統一することによって、過重労働を是正できました」

ある大学病院の呼吸器内科に勤務するA医師はこう振り返る。同院では医師の超過勤務が常態化し、業務効率化も未達成でいた。だが、19年頃から研修医の働き方を改善する動きがあり、「ならば科全体として取り組もう」と考えた。

まず、書類業務は医師事務作業補助者に任せ、17時以降の診療業務は当直医に委ねることを徹底したという。さらに特筆すべきは、院外や他科からの患者紹介を可能な範囲で制限したことだ。

「レントゲンで肺に影がある場合はまず放射線科医に読影してもらい、それでも解決しない場合に呼吸器内科でコンサルテーションを受けます。通常の抗生物質投与で経過観察可能な一般的な肺炎では、できるだけ紹介元の科で診てもらいます」

場合によっては他科からの反発が起きかねないように思われたが、好意的な反応が得られた。

「実は、他科の医師も同じように課題を感じており、お互いさまの状況でした。院内にいい流れができたと思います」

病院経営陣からは当初、呼吸器内科の売上げが落ちる懸念を示されたそうだ。しかし、それで改善を中止する意見には至らなかった。

「長時間労働のままでは、いずれ医師が離職し、病院は経営破綻します。そうならないように、現時点で可能な限りの売上げを直視してほしいと言いました。病院の許可を得て働き方を変えるのではなく、自分たちから主張し、自分の身を守ることが大切だと思います」

前述の取り組みを数カ月続けた結果、呼吸器内科の売上げは変わらなかった。同科の医師は自由な時間が増え、やりがいも増した。

プロフィール
年齢・性別 40代前半・男性
科目 呼吸器内科
勤務先種別 大学病院
勤務形態 常勤(週4日以上)
家族構成 シングル
  • 改善実行

主治医制からチーム制への転換。
業務効率化で、当直時の負担も軽減

女性医師も男性医師も
働きやすい環境を目指した

B医師の勤務する二次救急病院の産婦人科では、完全主治医制ではなくチーム制を採用している。

「産婦人科医が逮捕された『大野病院事件』が起きた2000年代半ば、当時の部長が働き方改革に熱意があり、働き方を変えました。事件により産婦人科医が減少し、チーム医療の確立が急務でした」

チーム制を採るには、業務の効率化が必要になる。B医師の職場では、メンバーが力を合わせて業務の進め方を変えたようだ。

「17時半に全て当直医に引き継ぐと決めました。朝、仕事が開始すると、皆で『どうやって17時半のデッドラインまでに終わらせるか』を考え、チームで協力しながら仕事をしていきます。外来や病棟、手術室のどこか終わっていないところがあると、自然に声を掛けて助けるようにしています。

また、自分が当直の時に『みんな仕事を残して帰ってしまった……』となることを避けるため、全員が当直医に仕事を残さない努力をしました」

働き方改革と言っても、仮に子育て中の女性医師だけの退勤時間を早くすると、ほかの医師にしわ寄せが及びがちである。B医師はそうした事態を招かないことが大切だと考えている。

「当院では皆で、日勤も当直も男性・女性にかかわらず働きやすいようにしました。うちの子どもが小さかった頃も、早く帰宅して一緒に夕食をとり、お風呂にも入れた。こうした“普通の生活”ができたことは幸せでした」

しばらく出向して戻った現在は、一部に主治医制が復活しているそうだが「医師が自分を追い込んでいるように見える」とB医師は憂慮する。「チーム制のメリットを常に確認し合い、体制を維持していくことが重要だと思っています」

プロフィール
年齢・性別 30代後半・男性
科目 産婦人科
勤務先種別 一般病院
勤務形態 常勤+非常勤
家族構成 配偶者・子ども・親と同居

▼キャリアアドバイザーに取材

  • 勤務先変更

過重労働の末に体調を崩し転職へ。
メスを置き、無理のない働き方に

脳神経外科の経験を
在宅クリニックで生かす

大学病院の脳卒中センターで、脳神経外科医として多忙を極めていたC医師。契約上は週5日勤務だったが、週6日勤務が常態化し、さらにオンコールは週3日。緊急手術が多く、同僚の医師がバーンアウトするほどの職場環境だった。C医師も過労が重なり体調不調に。考えた末、転職による“自前の働き方改革”を決意したという。

C医師は当初、老人保健施設などでの緩やかな勤務を希望したが、CAは「より専門性を生かせる働き方」として、神経内科領域を提案。まずは神経内科クリニックへの転職を検討したそうだ。だが、診療時間の融通が利かず、C医師にとっては負担が重かった。そこで次に考えたのが在宅診療。高齢者の認知症や、若年層の神経難病などの在宅診療に力を入れているクリニックだった。

「在宅診療は訪問件数の調整で勤務時間を柔軟に変えられます。こちらの院長はC医師の気持ちを理解し、週4日勤務、オンコールも当直もなしの入職を認めてくれました。また、しばらくは院長が訪問に同行すること、わからないことがあればすぐに相談していいことなどを約束し、C医師の入職が決まりました。年収は1000万円程度で前職と同等です」

CAが分析!成功の秘訣

不安事項や要望を明確化し、
複数回の面接で慎重に交渉

「C医師は、働き方に関する不安をはっきりと言葉にしていました。また、専門性を生かせる道を私どもと話し合いながら探り、『体力的に問題がなく、キャリア形成もできる働き方』を明確化しました。さらに、クリニックの面接を複数回にわたって受け、慎重に条件をすり合わせたことも、“自前の働き方改革”の成功要因でした」

プロフィール
年齢・性別 40代前半・男性
科目 脳神経外科 → 神経内科
勤務先種別 大学病院 → 在宅クリニック
勤務形態 常勤(週6日) → 常勤(週4日)
家族構成 配偶者
  • 勤務先変更

医局への貢献が正当に評価されない。
退局し、しかるべき役職と時間を得た

自前の働き方改革で
念願の家族旅行を実現

40代後半のD医師(消化器外科)は、長年、医局に所属してきた。遠方の関連病院にも赴任し、大学病院時代はほぼ毎日、勤務していた。しかし、医局から正当な評価を受けられず、若手と同等の忙しさを余儀なくされ、体力面・精神面ともに疲弊していたという。

「別の病院に転職し、キャリアに見合う役職に就きたい。また、週1日でもいいので、決まった休みがほしいと、D医師は希望していました」(CA)

ちょうど、民間の急性期病院で消化器センターが新設される情報をCAが聞きつけた。前消化器外科部長がセンター長に就任し、部長のポストが空くという。

「同じ消化器外科医でも、前部長は消化管が専門、D医師は肝胆膵が専門のため『お互いに協力し合うパートナーになろう』と意気投合しました。医師が少ない病院ではないので、週休2日は確保できます。年収は前職の1500万円から2000万円に上がりました」

D医師には2人の子どもがいる。前の職場の頃は家族と過ごす時間が少なく、「父親としてどうなのか」と自責していた。

「転職後、D医師から連絡があり、『念願の家族旅行に行けた』と嬉しそうに語っていました」

CAが分析!成功の秘訣

思い切って外に出ることで、
望む働き方、勤務先がみつかる

「医局歴が長いと『自分が退局したら大変なことになる』と思うかもしれません。それでもD医師は、自身のキャリアや体調、家族のことなどを総合的に考慮して、働き方改革を決意しました。外に出てみると、自分を求めてくれる病院があることが分かります。思い切って一歩を踏み出したことで、働きやすい環境を得られたようです」

プロフィール
年齢・性別 40代後半・男性
科目 消化器外科
勤務先種別 大学病院 → 一般病院
勤務形態 常勤(実質週7日) → 常勤(週5日)
家族構成 配偶者・子ども

▼キャリアアドバイザーに取材

  • 科目変更

医師夫婦の働き方改革。
子育てを担う夫が転科を決意

温めていた退局計画を
子どもの就学を機に実行

夫婦共に医師で、同じ大学病院に勤務。子どもが就学するタイミングで妻の時短勤務が終了するため、夫であるE医師が“自前の働き方改革”に踏み出した。当面は妻のキャリア形成を優先し、自分が子育ての中心を担うそうだ。

E医師は外科部長だったが、過重労働が続いていたことも、働き方を変える一因になったようである。実質週7日勤務で、時間外勤務や当直、オンコールも頻繁。それでいて年収は諸手当を含め1700万円ほどであることにも納得していなかった。

外科は緊急手術などがあり、仕事と子育ての両立が難しい。そのためE医師は医局を離れて内科に転科し、自宅近くの病院に転職することを数年前から計画していた。

「メスを置くことへの抵抗はあまりなかったようです。大学病院で働いてきましたから、ほかの病院の外科に移るより、きっぱり転科をした方がいいと話していました。また、内科に転科したあとは、内視鏡など新たなスキルを獲得することに意欲的でした」(CA)

転職先は比較的すぐに見つかった。自宅から車で20分ほどの場所にある病院で、週5日勤務、オンコールなし、当直は月1日の条件で入職が決まった。勤務条件は緩やかになりながらも、年収は1800万円にアップした。

CAが分析!成功の秘訣

家庭内で十分に話し合い
双方のキャリア形成を実現

「夫婦共働きで配偶者も医師の場合は、双方のキャリア形成を考慮する必要があります。E医師によると、数年後には配偶者も大学を離れて緩やかな勤務に移行する予定だそうです。ご夫婦で長期プランを話し合うことで、理想的な働き方につなげていると思われます」

プロフィール
年齢・性別 30代後半・男性
科目 一般外科 → 一般内科
勤務先種別 大学病院 → 一般病院
勤務形態 常勤(実質週7日) → 常勤(週5日)
家族構成 配偶者・子ども
  • 働き方変更

仕事と育児の両立のために退局。
子育て支援充実のクリニックで働く

専門医取得を数年延期し、
今の自分に合う働き方を優先

0歳と2歳の子どもを持つF医師(産婦人科)は、出産後、大学病院で時短勤務を続けてきた。大学は子育てに非協力的ではないが、積極的に支援するムードはない。この先も、大学病院で働くことには無理を感じていたそうだ。また、不妊治療を専門的に学び、生殖医療専門医を取得したい思いも“自前の働き方改革”につながった。

CAは、二つの医療機関を紹介した。一つは不妊治療専門クリニックで、専門医を取得可能。ただし、週4・5日以上の勤務が必要で、業務量も多かった。もう一つは、不妊治療も行う一般の婦人科クリニック。専門医は取得できないが、週4日勤務が可能。院長が、子育て中の医師の状況をよく理解しているため、手厚い支援策が用意されていた。F医師は、自身の今後のキャリアを熟考し、最終的に後者を選んだ。

「ご自身の年齢を考慮すると、専門医は子どもが就学したあとでも取得できると割り切ったようです。また、よく考えてみると一般の婦人科をもっと診たい気持ちもあったとのこと。面接時に院長が『子どもの発熱時は気兼ねなく休んで下さい』と明言したことも、決断を後押ししました」

CAが分析!成功の秘訣

子育て医師の働き方改革は、
就労意欲の高さが勝因になる

「専門医取得を延期し、子育てを優先すると割り切ったことで、『今の自分に合った働き方』がクリアになりました。子育て中の医師を積極的に採用する医療機関は少ない傾向ですが、F医師は仕事に対する意欲があります。面接時に、子育てをしながらもしっかり働くというスタンスを伝えることができたため、転職先の院長から歓迎されました」

プロフィール
年齢・性別 30代後半・女性
科目 産婦人科
勤務先種別 大学病院 → クリニック
勤務形態 時短勤務 → 常勤(週4日)
家族構成 配偶者・子ども
  • 働き方変更

医師であり、アスリートでもある。
競技を継続するため独特の働き方に

スポーツ整形クリニックで
午後シフトのみの勤務

後期研修医として大学病院で研修を受けながら、プロのアスリートとしても活動していたG医師(整形外科)。本来であれば専門医を取得する段階だが、「数年間は競技に軸足を置きたい」と考え、働き方を変えることにしたそうだ。

競技の時間を確保するための選択肢は3つあった。①非常勤だけで働く、②週3〜4日のフルタイムで働く、③午後シフトの常勤で働く、である。このうちG医師は③午後シフトを希望した。

「非常勤だけでは社会保障が薄く、競技引退後に医師として就職する時、履歴書上で不利になるリスクもあります。また、週3〜4日のフルタイムも検討しましたが、競技のトレーニングが午前中であることと折り合いがつきませんでした」(CA)

通常、午後シフトだけの求人は滅多にないが、タイミングよくスポーツ整形をメインとするクリニックで見つかった。

「スポーツが趣味の院長で、自身のトレーニングの時間を確保するため、勤務時間を融通できる医師を探していました。G医師は午後外来を受け持つことになりました」

勤務条件は週3・5日で、年収600万円程度。医師としては低い方だが、競技がオフシーズンの数カ月はスポット勤務をし、収入を補填しているという。

CAが分析!成功の秘訣

収入減等のリスクを承知で
競技を優先することを決意

「スポーツ競技優先の働き方は、収入減や、臨床に戻った時に上司が年下になるなどの課題があります。しかし、G医師は『アスリートとして体が動く期間は限られている』という思いが明確だったため、あまり迷わず、納得して働き方を変えることができました」

プロフィール
年齢・性別 30代後半・男性
科目 整形外科
勤務先種別 大学病院 → クリニック
勤務形態 研修医 → 常勤(週3・5日)
家族構成 配偶者・子ども
  • 科目変更

大病を患い、クリニックを閉院。
内科勤務医に転身し、無理なく働く

専門性維持のため単身赴任か
家族と過ごすため転科か?

H医師はいわゆるマイナー科の開業医だったが、大病を患ったため、やむなく閉院。勤務医に戻り、負担が重すぎない働き方に“改革”することにした。子どもの教育費を稼ぐ必要があるなどの理由で、引退の選択肢はなかったそうだ。

CAに相談したところ、H医師の診療科を持っている病院は減少傾向で、自宅近くには求人が見つからなかった。遠方の病院に求人があったため単身赴任することも検討したが、H医師の体調を心配する家族は猛反対。そこで、「自分にとって何がもっとも大切か?」を改めて熟慮し、「家族のそばにいること」という結論に至った。苦渋の選択だが、専門領域を手放して転職することになった。

自身の病気の治療のため、月数日は出勤できない日があることが、転職時のネックだった。それでも、仕事への意欲が高いことをCAが医療機関側へ説明すると、複数の病院が採用意欲を示した。

最終的に、自宅に近い一般病院の内科に転職が決まった。しばらくは他の内科医のレクチャーを受けながら、内科診療の基本を身につけた。数カ月後には一人で外来を受け持ち、療養病棟の管理も担当。年収は2000万円から1400万円に下がったが、無理をせずに働くことができているという。

CAが分析!成功の秘訣

医師としてだけでなく
人間として「何が最も大切か?」

「専門領域を手放すという厳しい選択の伴う“自前の働き方改革”でしたが、その後、H医師は『苦労はあるが、楽しく働いている』と話していました。このように納得できる働き方ができた理由は、医師としてだけでなく、『一人の人間として何が最も大切か?』を徹底的に考え抜いたためだと思います」

プロフィール
年齢・性別 50代後半・男性
科目 某科 → 内科
勤務先種別 開業 → 一般病院
勤務形態 開業医 → 常勤
家族構成 配偶者・子ども