最新!専門診療所で、病院内診療科で、クリニックでオンライン併用で 訪問診療の仕事スタイル

少子高齢社会を背景に〝住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らしたい〟という人々の願いを支える地域包括ケアシステム。その構築において「訪問診療」は極めて重要な位置づけにある。そこで、在宅医療に関するこれまでの動き、現状や展望を踏まえながら、在宅専門診療所や在宅療養支援病院、外来と訪問を両立する診療所||それぞれの特徴や診療体制、課題やビジョンについて各スタイルの先駆的実践者に聞いた。

  • 専門診療所

機能強化型“チーム在宅医療”で業界をリードし
当直支援で“持続可能な診療体制の確保”を目指す

医療法人社団悠翔会
理事長・診療部長
佐々木 淳
1998年筑波大学医学専門学群卒、三井記念病院・内科入局。2003年東京大学大学院医学系研究科博士課程入学。同大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団 哲仁会 井口病院 副院長、金町中央透析センター長等を経て、06年在宅療養支援診療所「MRCビルクリニック」を開設。08年法人化により医療法人社団悠翔会に改名し、理事長に就任。24時間365日対応可能な機能強化型在宅医療ネットワークとして首都圏で11クリニックを展開する。

佐々木 淳氏 写真

総説

新たな担い手の支援策により
訪問診療は量から質の時代へ

院生時代に訪問診療を経験し“支える医療”に魅力を感じた医療法人社団悠翔会・理事長の佐々木淳氏。在宅医療に本格参入した06年は、診療報酬改定で『在宅療養支援診療所』が創設された年でもある。「後期高齢者や要介護、がん死の増加が見込まれるなか、何としても訪問診療の担い手を確保したいとの期待を痛いほど感じた。そして実際地域に出て行くと、我々の存在そのものが感謝された時期でもあった」と当時を記憶する。その後、機能強化型や在宅療養支援病院の新設、在宅医療専門診療所の制度化、施設訪問における医学総合管理料の見直しなど、在宅医療推進策は“量から質”へと大きく舵を切る。しかし依然として在宅診療所のない基礎自治体もあり、需要に応えきれていないのが現状だ。佐々木氏は「とくに大都市は今後も後期高齢者が増え続け、在宅医療のニーズは団塊の世代が要介護に至る30〜40年にピークを迎える」とみる。こうした“人口構成の変化”に対し“新たな医療とケアのしくみ”が求められているが、佐々木氏は「一人の医師がより多くの患者を診られるよう、遠隔・オンライン診療を導入したり、医師以外の専門職の役割を広げることも方向性の一つ」と考える。一方で、「老年症候群やマイルドな認知症など“穏やかに弱っていく人たち”は最期までかかりつけ医が診るのが基本という空気を醸成し、地域に定着させたい」との思いから、法人外の診療所に対しても、在宅医療普及の障壁である休日・夜間対応のバックアップを行なっている(資料1)。

体制

きちんと働きしっかり休んで
最高のパフォーマンスを発揮

悠翔会は“チーム在宅医療”をキーコンセプトに現在、一都三県に11の機能強化型在宅療養支援診療所を展開する。各診療所の基本構成は医師、看護師、ソーシャルワーカー、医療事務、ドライバーの5職種だが、リハビリ職や歯科医、精神科医や緩和ケア医を置く拠点もある。

医師と看護師、運転手が3人一組で概ね資料2のような日程で行動し、居宅中心であれば1日に10〜15人、延べにして年間約12万件(施設も含む)を訪問する。休日・夜間は専従医による当直体制を敷いており、診療圏の南北に医師と事務各1名を待機させ、何かあればそこから往診に出る。ただし、当直医を呼ばねばならない“予期せぬ体調変化”を極力減らすため、「常勤医が日中の診療に専念することで患者・家族との信頼関係を築き、急変時にも落ち着いて対応できるよう病状説明や必要な薬の手配を怠らないことが大切」(佐々木氏)として、常勤医を当直からはずし、夏季・冬季休暇(各1週間)や年次有給休暇(20日間)を確保し、ワークライフバランスがとれるよう配慮している。“かかわったすべての人を幸せに”は、患者・家族だけでなく、スタッフも対象となる法人の基本理念だ。

悠翔会では毎年10%ずつ患者数が増えているが、それに見合った安定的な成長が図れるよう、診療と経営を完全に分離している。医療専門職は医療法人に所属して診療に専念し、事務やソーシャルワーカー、ドライバー、経営企画、総務や経理などの職種はMS法人に籍を置いて診療支援や経営効率の向上に努める。

在宅医に必要な資質とは||「在宅医には栄養ケア、褥瘡、緩和ケア、スピリチュアルケア、家族ケアなど病院では他の職種に任せていた部分への主体的な関わりが求められます。また、患者さんの生活や社会参加を考えたときに、我々が診るべきフィールドは自ずと家の外へと広がります。都市環境や交友関係が人々の健康状態に大きく影響することはすでに大規模研究が明らかにしています。つまり、在宅医には“より広く・浅く地域を支える”視点が求められています」(佐々木氏)

施設概要
拠点 11か所(東京都7カ所、埼玉県2カ所、千葉県1カ所、神奈川県1カ所)
対象エリア 拠点から概ね都内は半径3km、郊外は半径6Kmを目安
人員体制 医師・歯科医師 49人
看護師 39人
ソーシャルワーカー 15人
その他医療専門職 14人
診療サポート 58人
その他(管理・システム) 30人
患者数 約4000人
関連法人 株式会社ヒューマンライフ・マネジメントなど4社
悠翔会HPより掲載。人員体制は関連法人含む。
資料1● 休日・夜間の診診連携による他施設バックアップの実績
資料2● 1日のスケジュールイメージ
出典:悠翔会HPより掲載。
「チーム在宅医療」を目指し「在宅医療カレッジ」などを実施
法人内の勉強会を「在宅医療カレッジ」として外部に開放し、専門性の枠を超えた学びの場を提供し、顔の見える関係作りを目指す
写真:悠翔会HPより
  • 病院内診療科

各科専門医、24時間対応、病院救急車の活用など
二次救急病院の強みを生かした訪問診療を展開

医療法人社団永生会 南多摩病院
診療部部長 総合内科・循環器科部長
関 裕
1997年聖マリアンナ医科大学卒、国立国際医療研究センター(内科研修医、循環器内科レジデント)、国立病院機構災害医療センター・循環器科、東京西徳洲会病院・循環器科、東京医科歯科大学医学部附属病院・救命救急センター、国立国際医療研究センター・総合診療科勤務を経て、2012年、救急棟の新設にあたり南多摩病院に入職し、救急科・循環器科部長として地域の二次救急医療の充実に尽力する。17年より現職。

関 裕氏 写真

体制

「救急から在宅まで」を
外来と訪問診療の二刀流でカバー

八王子市の西部に位置する南多摩病院は、19の診療科、170病床を有する急性期病院で、都指定の二次救急医療機関でもある。“24時間365日断らない医療の実践”を掲げる救急医療センターは、年間約5千台の救急搬送を受け入れている。

1年半ほど前、同院は訪問診療科を立ち上げ、在宅療養支援病院として名乗りを挙げた(資料1)。診療部部長兼総合内科・循環器科部長の関裕氏はその背景をこう説明する。

「高齢化が一つの要因ですが、とりわけ当院のような比較的病床数の少ない救急病院では、軽症者の入院の受け入れが困難なため、“自宅のベッドを入院ベッドとして活用できないだろうか”というのが始まりです」

八王子市は都心ほど交通網が発達しておらず、坂道も多く、エレベーターのない古い団地も少なくない。病状として通院は困難だが入院はしたくない人、病状として通院は可能だが老老介護などの社会的背景によって通院できない人などが増えるにしたがい、“何とかしたい”との思いが高じ、取り組みにつながった。

訪問診療は月〜金曜の午前と午後に行なわれ、医師と看護師などの二人体制で回る。診療を担当するのは訪問診療科の専属医2名と各診療科の7名の医師だ(資料2・3)。

「たとえば呼吸器内科のA医師は外来が月曜の午前中と火曜の午後、水曜日の午前中で、木曜の午後は訪問診療というふうに、外来と同じように訪問診療の枠を受け持つイメージです」(関氏)

同行する看護師も同様に、HCU・救急外来所属の8人でシフトを組む。1件あたり10〜15分で、移動距離を含めて半日に収まるよう予定が組まれ、移動距離が短ければ6〜7件、遠ければ4件程度を回る。

「訪問先は病院を起点に車で20分以内が望ましいが、厳密に“ここまで”という決まりはない」(関氏)が、現在、訪問件数は月に500を数える(施設概要)。

「この規模の救急病院で常勤医がこれほど多い施設はまれ。その利点を活かし、各自が少しずつ時間を持ち寄って、在宅から2・5次救急くらいまでをカバーする、というのが我々の目指すところです」(関氏)

特徴

専門性、24時間対応、入院
――救急病院の強みを生かす

医師が常駐し、救急外来を備える病院であれば、休日・夜間のバックアップ体制を維持することはそう難しくはない。また、肺疾患、心不全、脳梗塞、パーキンソンなどの神経疾患、がんの末期、変形性膝関節症や股関節症といった整形外科領域の疾患まで、幅広い疾患・病態に対応可能で、基礎疾患に合った専門家の管理を受けることもできる。

関氏は、「退院間近になると食事が摂りにくい、褥瘡の治りが十分でないなど若干問題点が残ることがあるが、退院後も訪問の形で診療の継続が約束されれば、家族も安心して退院を受け入れられる。医師も、経過が思わしくなければ“入院”という手段がとれるので、少し余裕をもって家で診られる」と双方のメリットを捉える。入院や検査が入ることで、主観で進みがちな在宅医療に客観性を持たせることが可能になり、情報や評価を共有できる。

高齢救急患者対応の一環として同院が導入した病院救急車も在宅療養を支える。たとえば、「訪問時に血液を採取して“もしこの数値が高ければ入院しましょう”と伝えておいて、結果が出た時点で病院救急車で迎えに行くことも可能」(関氏、写真)だ。

展開

訪問診療に活躍の場を広げ
医療従事者の意欲を高める

“断らない”は『永生会』の基本理念であり、訪問診療件数も予想を超える勢いで増え続けている。とくに施設等からの依頼の伸び幅が顕著で、全体の6割強を占めるように。そこで19年4月、訪問を中心に行なう診療所を新たに開設し、そこでは認知症や皮膚科など比較的軽い症例を中心に受け持ち、院内の訪問診療科では症状の重い症例を担当するなど、地域や病状等で棲み分けをはかる。

「病態が大きく変化したり、人生の最終段階に入ってから“家では看取れない”と家族の気持ちが揺らいだりしても受け入れられるよう、病院では自宅での看取りを希望される方を中心に、と考えています」(関氏)

訪問診療科の立ち上げは、医師以外の医療従事者のモチベーションを高める目的もある。同院では、日本慢性期医療協会の『看護師特定行為研修』を履修し、これまで医師にしかできなかった診療行為の一部を単独で行うことのできる看護師を養成している。また、病院が行なうと医療保険が適用されるため採算に合わないリハビリについても、訪問診療に積極的に採り入れる予定だ。

「リハビリスタッフにその能力を最大限に発揮してもらいたいし、何より患者さんが彼らと接する時間を持つことは精神面でプラスの効果が期待できます」(関氏)

適性

“対患者+対家族”の視点が
求められる在宅医療の現場

病院の訪問診療科の医師には何が求められるのだろうか。

「外来では多くの場合、医師|患者関係で完結し、病気が主語で、“元気で長生き”がゴールです。一方、在宅医療は“治らない”“亡くなる”ことが前提であり、そこには本人のニーズと家族のニーズがあります。その思いを汲み取りつつ、なるべく不利益を被らない方法でその意向を叶えたり、ときには“したくないことのなかでメリットがあること”を上手に伝え、より良い方向に導くことが在宅医には求められます。そう考えると、在宅医の適性は、個人の性格や考え方に依存する部分が大きいと言えるかもしれません」(関氏)

資料1● 南多摩病院の訪問診療の特徴
サービス内容
  • 緊急時の往診(24時間対応)および訪問診療
  • 在宅酸素療法指導管理
  • ターミナルケアおよび緩和ケア
  • 人工呼吸指導管理
  • 看取り
  • 自己導尿指導管理
  • 認知症高齢者の日常生活自立支援
  • 自宅での腹膜透析指導
  • 糖尿病患者などの自己注射指導管理
  • 悪性腫瘍の指導管理
  • 経管栄養指導管理
  • 褥瘡の管理
  • 中心静脈栄養指導管理
  • 膝の関節注射
検査内容
  • 採血
  • 心電図
  • 検尿
  • 超音波エコー検査
出典:南多摩病院HPより
訪問診療概要
拠点 東京都八王子市
対象エリア 八王子市内のみ。半径5km圏内が多い
人員体制 医師 常勤は専属2人
各診療科と兼務7人
その他非常勤も
看護師 救急外来と兼務で約8人
その他スタッフ 事務スタッフなど
患者数 約500件/月
緊急時は自院の救急車で病院へ搬送
「八王子市在宅療養患者救急搬送支援システム」を支える病院救急車
資料2● 1日の訪問診療体制
担当 人員体制
全体 責任者(医師)1人
午前 医師①/看護師
医師②/救命救急士
午後 医師③/看護師
医師④/救命救急士
緊急往診 当番医師+もう1人
※緊急往診は土日も対応。それ以外は平日のみ。
資料3● 責任者・訪問診療医の役割
責任者 訪問診療医
院内待機:マネージメント 受け持ち患者の状態把握
電話応対 自分が往診に出ていない日の電話指示・応対
往診医手配 書類記載
診療相談 入院した場合の対応
トラブルシューティング サービス担当者会議などへの出席
当番日のすべての患者把握 その他関連業務
  • クリニックでオンライン併用

外来診療+訪問診療+オンライン診療によって
“患者の人生を責任もって最期まで診る”を実践

医療法人社団ONIKURA
鬼倉循環器内科クリニック
院長
鬼倉基之
1976年千葉県生まれ。2001年3月に福岡大学医学部を卒業後、駿河台日本大学病院・循環器内科、東京臨海病院・循環器内科、日本大学病院・循環器内科にて勤務。13年、父の逝去に際して祖父の代から続く診療所を継承し、鬼倉循環器内科クリニックを開設する。18年11月に医療法人社団を設立。八千代市医師会の理事として、学校保健、公衆衛生、危機管理対策を担当。自身も小学校や高校の学校医を務めるなどして地域住民の健康管理に貢献している。

鬼倉基之氏 写真

体制

平日の昼休みを有効活用し
外来診療と訪問診療を両立

千葉県北西部に位置する八千代市は戦後まもなく人口増加率が日本一を記録し、日本初の大規模住宅団地が建てられた場所でもある。

鬼倉基之氏は、祖父が開いた診療所を5年前、急逝した父からバトンを受け取る形で継承した。患者・家族はその多くが3世代、4世代に渡って通ってくる人々だ。

「いままで通院していたおじいちゃん、おばあちゃんがだんだん足腰が弱ってきて、通うのが難しくなってきたからといって、祖父の代からの患者さんを “うちは往診はしていません”と切り捨てることなどできません」(鬼倉氏)。鬼倉氏は躊躇なく、訪問診療を始める決断をした。

訪問は平日の昼休みを中心に行なっており、現在、約40名の在宅療養を支えている。当初は、休診日の木曜午前中に訪問していたが、外来時間を、勤労世代が受診しやすいよう月〜水曜の夜8時までに延長したことで体力的にきつくなり、また患者数も増えてきたため、木曜日を完全に休みにして、平日の2時間弱の昼休みを有効活用する方法へと変えた。

訪問には常勤看護師3名が交代で同行し、事務スタッフと共に診療に向かう。1件にかける時間はおおむね20〜30分なので、昼休みの時間帯に回れるのは多くて3〜4軒。予定件数が多いときはややピッチをあげる。月曜午前は後輩の医師が往診を中心に手伝い、木曜に外来のある呼吸器内科医も、午前中最後の枠や午後最初の枠を使って、呼吸器疾患の患者を中心に訪問を行なう。

夜間はまず電話で対応するが、循環器疾患は一刻を争うことが少なくなく、症状や状況を確認した上で救急車の要請を指示することもある。近隣には東京女子医科大学八千代医療センターや東邦大学医療センター佐倉病院、日本医科大学千葉北総病院があり、連携医療機関に登録されているので、高次医療が必要な場合の受け入れ体制も万全だ。

診療

オンライン診療の導入には
家族の絆を強める効果も

クリニックではオンライン診療システム「YaDoc(ヤードック)」を導入し、訪問診療を補完している。導入の検討対象は、“病態は落ちついているが通院が困難な人、自己管理ができる(高血圧であれば、家庭で血圧を測って血圧手帳にきちんと記録できる)人、なおかつ信頼関係が築けている人”だ。

オンライン診療導入の一番の理由は、往診数の増加を予想してのことだが、たとえばがんの終末期の患者家族から“様子が昨日と違う”と連絡を受けても、外来中ですぐに駆け付けられない場合もある。「本システムはバイタルサインが把握できるので、外来の合間などにご家族とオンラインでつないで、バイタルの変化を確認したり、画面を通して患者さんの状態を確かめて、適切な対応を指示できる」(資料1・2)など、外来メインの診療所ならではの活用方法もある。さらに意図しなかった副次的な効果をも実感している。

「日中は勤労世代が不在で、オンライン診療日に合わせて遠方に住むお孫さんが曾孫を連れて遊びに来て操作をサポートし、お昼ご飯を一緒に食べてから帰る||オンライン診療が家族の集まる貴重な機会となり、絆を強めるケースを経験してからは、家族背景なども考慮して導入を検討するようにしています」(鬼倉氏)

かかりつけ医と呼ばれる診療所の多くが在宅に関わらざるを得ない状況のなか(資料3)、オンライン併用で道を切り開く鬼倉氏の姿勢には学ぶところが多そうだ。

展望

志を同じくする仲間とともに
診療体制の強化・充実を図る

鬼倉氏は今後の課題に「医師の数も含めた体制の強化・充実」を掲げる。現在、消化器内科医や超音波専門医、高血圧治療のスペシャリストなど、クリニックの診療をサポートする医師は10人にのぼる。

「専門的な治療が必要と考え、大学病院を紹介すると言っても、それを望まない患者さんは少なくありません。そうした地域の実情に理解を示す仲間が手伝いに来てくれ、患者さんからは“ベッドがないだけで大学病院と変わりない”との評価をいただくこともあります」(鬼倉氏)

今後はより多くの領域がカバーできるように仲間を増やしたいと、18年11月に法人化を果たした。

「ご縁をいただいたからには、“その方の人生を責任もって自分が診る”との覚悟をもって向き合うこと、その方が亡くなるとき “先生に診てもらって幸せでした”と思ってもらえること」が、鬼倉氏の求める“かかりつけ医=在宅医”像だ。

信念

多くの人に必要とされるよう
一人の人間としても成長を

休日はスペイン語教室に通い、筋トレをして、頭をリフレッシュする。

「月に一度、数十分しか顔を合わせることのない患者さんに元気を分け与え、何らかの刺激となる存在であるためには、自分自身が体力的・精神的に余裕をもち、医者としても人間としても成長し続けることだと考えています」(鬼倉氏)

訪問診療概要
拠点 千葉県八千代市勝田台
対象エリア 拠点を中心に佐倉市、花見区なども
人員体制 医師 常勤1人・非常勤2人
看護師 3人
その他 事務スタッフ2人
患者数 約40人
クリニックの待合室
待ち時間が苦にならぬよう趣向を凝らす。特注タイルが彩るカウンターは鬼倉氏自身のデザイン
オンライン診療も診察室で
訪問もオンラインも、患者さんのためになることは積極的に採り入れる
資料1● オンライン診療時の画面例
資料2● モニタリング可能な項目
主訴 睡眠の質 むくみ / 息切れ(労作時) / 息切れ(安静時) / 倦怠感 / 服薬遵守
バイタル 血圧 / 脈拍 / 血糖値 / 体重 / 体温 / SpO2 / HbA1c
生活記録 食事記録 / 水分摂取量 / 喫煙本数 / 飲酒量 / 歩数 / 消費カロリー
資料1・2出典:
YaDoc(運営・株式会社インテグリティ・ヘルスケア)のHPより
資料3● 一般診療所の在宅医療サービスの状況
[在宅医療サービスを実施する一般診療所の施設数]
出典:平成26年度医療施設調査(厚生労働省)(特別集計)
[訪問診療を行っている患者の受診経路別割合]
出典:診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成28年度)
出典:厚生労働省「平成30年度診療報酬改定の概要」(平成30年4月11日)