医師のためのメンタルヘルス

メンタルヘルス不調者のいる割合を産業別に見た場合、「医療・福祉」は76.6%で最多である(2016年労働安全衛生調査)。今年1月、厚生労働省は医師の負担を軽減するための緊急対策案として、医師の出退勤時間の記録、36協定の自己点検、既存の産業保健の仕組みの活用などを示したが、実現にはまだまだ時間を要しそうだ。医師のメンタルヘルスを守るために、今、病院に求めたい対策と、医師個人として心がけるべきセルフケアについて取材した。

保坂サイコオンコロジー・クリニック院長 聖路加国際病院 診療教育アドバイザー
保坂 隆
1977年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。米国カリフォルニア大学留学。東海大学医学部教授を経て、2010年、聖路加国際病院にて精神腫瘍科を開設。同リエゾンセンター長、同精神腫瘍科部長としてがん患者の心のケアにあたる。2014年より同大学臨床教授、京都府立大学客員教授などを兼任。2017年、聖路加国際病院を定年退職し現職。

保坂 隆 写真

  • 実態ととるべき対策

医師は他者に相談しにくいパーソナリティー。
それでも〝相談できる環境づくり〟が喫緊の課題

30人に1人の医師が
自殺リスクにさらされている

「責任感が強く、常に完璧であろうとする。困ったことも他者に相談せず、自力で解決しようとする。この医師特有のパーソナリティーが、メンタルヘルス上、難しいのです」

保坂サイコオンコロジー・クリニック院長、聖路加国際病院診療教育アドバイザーの保坂隆氏はこう語る。

保坂氏は日本医師会に自ら提案し、2008年から勤務医の健康支援に取り組んできた。保坂氏が委員長を務めた「日本医師会 勤務医の健康支援に関する検討委員会」にて15年に実施した調査(※)では、医師の6・5%が中等度以上の抑うつ症状で、0・9%が重度のうつ病にあった。さらに3・6%の医師に自殺リスクがあるという結果が報告された。

この調査は、09年に初回を実施し、改善活動を行った後、15年に2回目を実施している。初回に比べると改善傾向(図表1)にはあったが、依然、医師の30人に1人が自殺を考えているという現状は、事態の深刻さを物語る。

医療機関でも、近年はさまざまな対策をとっている(図表2)。結果、「半年以内に不当なクレームを経験」は44・4%から35・6%に、「当直日の平均睡眠時間が4時間以下」は45・6%から39・1%に減少するなど、医師の働きやすさは向上している。それでも「自分は健康ではない」と感じている医師の割合は21・5%から20・1%と、ほぼ変らなかった。

また、15年調査では「労働能力障害」(プレゼンティーイズム。出勤しても業務のパフォーマンスが低下した状態)についても解析している。

「欠勤(アブセンティーイズム)より重大ではないと思われがちですが、トータルの労働生産性の損失には、労働能力障害のほうが大きく影響するという報告もあります」

医師全体に占める労働能力障害の割合は13・9%だが、20代では33・3%、30代では17・3%と若い世代は特に多い。労働能力障害と転職・退職・配置転換念慮は強い相関を示し、自殺リスクとも相関している。

働きやすい環境とともに
中立的な相談先の整備を

今だ深刻な状況にある医師のメンタルヘルス。有効な対策はあるのか。

図表3は、医師の就労状況改善のためのアクションと、うつ症状や労働能力障害のリスクとの関係を示している。「快適な休息室や当直室の確保」や「学会や研修の機会の保証」は、うつ症状と労働能力障害のリスクを大きく低下させていた。既にこれらを実施している医療機関は多く、施設側ができる有効対策だといえる。

一方、次にうつ症状や労働能力障害のリスクを低下させている「地域医療施設との連携」と「短時間雇用等の人事制度の導入」は未実施の割合が高い。医師不足などで難しいことがうかがえる。

また保坂氏は、これらの体制整備の重要性を説きつつ、同時にとても大事なのが「相談しやすい環境づくり」だという。一般企業では、産業医が従業員の相談に応じているが、医療機関では、副院長など院内の上長が産業医を兼務していることが多い。これだと医師は評価などを懸念し相談がしにくい体制であり、中立的な相談先を設定したいところだ。

保坂氏が過去に、200人超の医局員を抱える教室の外部産業医を担った際、自身のメールアドレスで直接相談に応じたところ、予想以上に多くの相談が寄せられたという。

「病院がメンタルクリニックなどと提携し、医師が、中立的な立場にある外部に気軽に相談できるしくみをつくる意義はあると思います」

一部の病院では、若手医師向けに、メンター制度を導入している。保坂氏によると、若手医師のメンタルヘルス対策として非常に有効だという。

また前出の15年調査では、社会保険労務士の介入が、医師の早期離職を予防するのに有意に役立っていた。

「医師が残業時間などの件で病院と対峙する際、労務の専門家が介入することの安心感は大きいのでしょう」

1人で困難を抱え込まないことは、メンタルヘルスケアの大原則である。各医療機関の取り組みが待たれる。

図表1 勤務医の就労環境(主な調査項目に関する前回調査との比較)
2009年(n=3,879) 2015年(n=3,166)
■勤務状況
8)最近1ヵ月間で休日なし 8.7% 5.8% -2.9%
9)自宅待機・オンコールが月8回以上 20.1% 17.9% -2.2%
10)平均睡眠時間5時間未満(当直日以外) 8.6% 9.1% +0.5%
11)当直回数が月4回以上 26.4% 22.5% -3.9%
11a)当直日の平均睡眠時間4時間以下 45.6% 39.1% -6.5%
12)半年以内に不当なクレームを経験 44.4% 35.6% -8.8%
■健康状況
13)主観的健康観(健康でない・不健康) 21.5% 20.1% -1.4%
14)他の医師への健康相談あり 45.9% 55.1% +9.2%
29)自殺や死を毎週/毎日具体的に考える 5.7% 3.6% -2.1%
18-33)抑うつ症状尺度QIDS 中等度以上 8.7% 6.5% -2.2%
18-33)抑うつ症状尺度QIDS 重度以上 1.9% 0.9% -1.0%
出典:図表1~3:「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関する アンケート調査報告書」(平成28年6月)/日本医師会 勤務医の健康支援に関する検討委員会
図表2 改善のためのアクションとその実施状況(n=3,166)※
NO アクション 実施状況
あり 部分的 なし/不明
1 勤務医負担軽減の責任者を選任して委員会を設置している 12.6% 12.8% 74.6%
2 診療補助者(医療クラーク)を導入し、医師は診療に専念する 27.2% 43.7% 29.1%
3 当直の翌日は休日とする 4.4% 19.7% 76.0%
4 予定手術前の当直・オンコールを免除する 3.5% 10.0% 86.5%
5 採血・静脈注射及び留置針によるルート確保を医師以外が実施する 70.5% 21.0% 8.5%
6 退院・転院調整について、地域連携室が組織的に対応する 64.4% 25.2% 10.4%
7 医療事故や暴言・暴力等に施設として組織的に対応する 54.2% 32.2% 13.6%
8 医師の専門性確保とキャリア支援のため、学会や研修の機会を保証する 58.7% 32.0% 9.3%
9 快適な休息室や当直室を確保する 42.9% 42.2% 14.9%
10 短時間雇用等の人事制度を導入して、就労形態を多様化する 22.1% 38.7% 39.2%
11 地域の医療施設と連携して外来縮小等を行い、特定の医師の過剰な労働負担を減らす 10.3% 27.7% 62.1%
12 大学や基幹病院の医局、医師会、自治体等の協力を得て、病院の医師確保支援を進める 24.0% 45.1% 30.9%
13 時間外・休日、深夜の手術・処置実施に応じて医師に手当を支給する 38.0% 32.5% 29.5%
14 女性医師が働き続けるために、柔軟な勤務制度、復帰のための研修を整備する 17.7% 34.7% 47.5%
15 社会保険労務士等の労務管理の外部専門家を活用する 7.1% 12.2% 80.8%
※回答でそれぞれの項目で「特定なし」は集計から除く
図表3 うつ症状リスクと労働能力障害(高度)リスク
うつ症状リスク:症例定義=QIDS にてうつ症状が中等度/重度/極めて重度に該当する者
労働能力障害(高度)リスク:症例定義=WFunにて高度労働機能障害に該当する者
NO アクション うつ症状リスク 労働能力障害(高度)リスク
実施状況 実施状況
あり 部分的 なし/不明 あり 部分的 なし/不明
1 勤務医負担軽減の責任者・委員会の設置 1.0 1.8 2.2 1.0 1.5 1.6
2 医療クラークの導入 1.0 1.9 1.8 1.0 1.7 1.3
3 当直の翌日は休日 1.0 1.7 2.5 1.0 0.9 1.3
4 予定手術前の当直・オンコールの免除 1.0 1.2 1.9 1.0 0.9 1.2
5 採血・静脈注射のルート確保を医師以外の実施 1.0 1.5 1.7 1.0 1.3 1.3
6 退院・転院調整の地域連携室の組織的機能 1.0 1.7 1.6 1.0 1.8 1.7
7 医療事故や暴言・暴力等への組織的対応 1.0 2.1 1.8 1.0 1.8 1.9
8 医師の学会や研修の機会の保証 1.0 2.6 3.3 1.0 2.0 2.6
9 快適な休息室や当直室の確保 1.0 2.2 4.1 1.0 2.2 3.3
10 短時間雇用等の人事制度の導入 1.0 2.0 2.8 1.0 2.2 2.6
11 地域医療施設との連携 1.0 2.5 3.7 1.0 2.1 2.2
12 病院の医師確保支援 1.0 2.3 3.2 1.0 1.8 2.5
13 時間外・休日、深夜手術の手当の支給 1.0 1.3 1.6 1.0 1.9 1.6
14 女性医師への柔軟な勤務制度、復帰研修整備 1.0 1.5 2.0 1.0 1.4 1.8
15 社会保険労務士の外部専門家の活用 1.0 1.0 1.6 1.0 0.9 1.5
※網掛けは有意差あり
図表4 勤務医の健康を守る病院7カ条
1 医師の休息が、医師のためにも患者のためにも大事と考える病院
2 挨拶や「ありがとう」などと笑顔で声をかけあえる病院
3 暴力や不当なクレームを予防したり、組織として対応する病院
4 医療過誤に組織として対応する病院
5 診療に専念できるように配慮してくれる病院
6 子育て・介護をしながらの仕事を応援してくれる病院
7 より快適な職場になるような工夫をしてくれる病院
出典:日本医師会 勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会

※日本医師会会員の医師1万人を対象に調査。有効回答率は09年調査41%、15年調査31.7%。

  • 医師自身が実行したいメンタルケア

自分のストレス状態を自覚し、上手く発散を。
睡眠とメンタルの関係性は再認識したいポイント

5時間以上の睡眠を確保し、
家族の指摘には耳を傾ける

メンタルヘルスを守るためには、医療機関の対策だけでなく、医師それぞれのセルフケアも欠かせない。

「まずは自分のストレス状態を正しく自覚し、自身に合った発散方法を身につけることが大切です」と保坂氏は語る。

労働安全衛生法の改正によって、15年12月より、従業員50名以上の全事業場にストレスチェックテストの実施が義務付けられた。医療機関も例外ではない。実際に、テストを受けたという医師も多いことだろう。

厚労省推薦の「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」がよく用いられるが、正確に答えない人が多いそうだ。職場についての選択項目に「部署内で意見のくい違いがある」「職場の雰囲気は友好的である」とあったり、自分の状況について「活気がわいてくる」「怒りを感じる」とあったりして答えにくいのだ。

「テストの結果は人事担当者に開示されないことになっていますが、それでも不安を感じる人が多いのです」

そこで、保坂氏が開発したチェックシートを試してみてほしい。自身の行動パターンから、起こりがちなトラブルや適したストレス発散方法を手軽にチェックできる。

「ストレスの発散方法の代表は運動とリラクゼーションですが、最近では両者を組み合わせた方法が注目されています。一手法ですが、5分間のウォーキングののち、立ち止まって周囲の景色をただ眺める。そして5分たったらまた歩き出すことを繰り返すのです。身体的負荷が軽く、効率的にストレスを発散できます。常に頭を働かせている医師は、このようにして意識的に思考をストップさせることが非常に大切です」

保坂氏が作成に関与した、日本医師会の「医師が元気に働くための7カ条」(図表5)の最初の項目は「睡眠時間を充分確保しよう」だ。

「うつ症状を発症するリスクは、睡眠が6~7時間の人を1にすると、睡眠が5時間以下では2倍以上になります。ある500人規模の企業で私が関わった調査では、うつ病と関係する因子は4つ。うち1つは残業時間でしたが、ほか3つは睡眠に関係していました。寝付きがいいか、目覚めた時に満足感があるかなどを自身で確認するだけでも、ストレス状態を把握できます」

15年の調査では、「当直時の睡眠が4時間以下」の医師が39・1%にのぼった。当直中の睡眠時間が短いほど自殺リスクとの関連性が高い。さらに、当直以外の日の睡眠時間が5時間以下の医師は9・1%で、09年調査よりも増加している。睡眠の重要性は、日頃、患者に指導していることかもしれないが、医師自身のメンタルヘルスのためにも今一度、意識したい。

とはいえ、日々の過重労働で睡眠不足から逃れることができず、自身のストレスについて考える余裕のない医師もいるかもしれない。そんな場合も心がけてほしいことがある。

「医師は他人に相談しにくいものですが、最低限、家族や身近な人の指摘には耳を傾けることです。そこから自身のストレス状態に必要な対処法が見えてくる場合があります」

図表5 医師が元気に働くための7カ条
1 睡眠時間を充分確保しよう
最低6時間の睡眠時間は質の高い医療の提供に欠かせません。
患者さんのために睡眠不足は許されません。
2 週に1日は休日をとろう
リフレッシュすればまた元気に仕事ができます。
休日をとるのも医師の仕事の一部と考えましょう。
3 頑張りすぎないようにしよう
慢性疲労は仕事の効率を下げ、モチベーションを失わせます。
医療事故や突然死にもつながり危険なのでやめましょう。
4 「うつ」は他人事ではありません
「勤務医の12人に1人はうつ状態」。
うつ状態には休養で治る場合と、治療が必要な場合があります。
5 体調が悪ければためらわず受診しよう
医師はとかく自分で診断して自分で治そうとするもの。
しかし、時に判断を誤る場合もあります。
6 ストレスを健康的に発散しよう
飲んだり食べたりのストレス発散は不健康のもと。
運動(有酸素運動や筋トレ)は健康的なストレス発散に最も有効です。
週末は少し体を意識的に動かしてみましょう。
7 自分、そして家族やパートナーを大切にしよう
自分のいのち、そしてかけがえのない家族を大切に。
家族はいつもあなたのことを見守ってくれています。
出典:日本医師会 勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会
  • あなたはどのタイプ?

ストレス解消スタイルチェックシート

ストレス解消スタイルを、ABCDEの5つのタイプに分けています。各タイプの質問に答えてください。
答えは、「まったくない」=1点、「ほとんどない」=2点、「ときどきある」=3点、「よくある」=4点、「いつでもある」=5点から選び、タイプごとに小計を出してください。

まったくない=1点 ほとんどない=2点 ときどきある=3点 よくある=4点 いつでもある=5点
A 1 仕事上のミスやプライベートのトラブル、あるいは現在の様子に満足していないのは、自分の努力が足りないからだと思う。
2 ストレスを感じたら、積極的に解消しようと頑張る。
3 仕事で予想以上に抜擢されれば、自分自身を高めるチャンスだと思う。 小計
4 仕事で行き詰まりを感じたときは、一息つくより、今まで以上に頑張る。
B 1 嫌なことや悲しいことがあると、すぐ友人や周囲の人に話す。
2 自分が今、何にストレスを感じているか、はっきりさせたい。
3 思うように物事が進まないときは、理由をよく考えて分析する。 小計
4 胃が痛い、気分がよくないといったときは、ストレスのせいだと思う。
C 1 衝動的に、高い買い物をすることがある。
2 休日には、映画を観たり、スポーツをしたり何かをしようと思う。
3 職場の仲間や家族と出かけたり、食事に行ったりすることが多い。 小計
4 今までしたことがない、新しいことを始めるのが好き。
D 1 今の生活に満足はしていないが、変えることもできないと思う。
2 仕事で抜擢されても、「もし失敗したら」と最悪のケースを考えてしまう。
3 「学生の頃はよかった」など、楽しかったときをぼんやり考えてしまう。 小計
4 「もっとこうしたらよかった」と、過ぎてしまったことを思い悩む。
E 1 面倒な仕事や煩わしい対人関係などは、考えないようにしている。
2 周囲の人と一緒に行動したり、話をしたりするのを避けようとする。
3 体の調子が悪くても、できれば病院に行きたくない。 小計
4 ストレスを感じると、タバコ・酒・食事の量が増えてしまう。

診断結果

Aが高得点
正面突破タイプ
問題にバリバリと正面から取り組む積極行動型
物事に対して積極的で、ストレスにも正面から取り組むチャレンジャーである。虚血性心疾患の危険因子として知られる「A型行動パターン」である。ストレスの解消法も、「どうせやるなら仕事に役立つパソコンにしよう」、「趣味のテニスも、やるからには他人に負けたくない」などと、意欲的だったり競争意識が顔をのぞかせたりしがちである。しかし、息抜きが下手である。ある日突然、その場でバッタリと倒れてしまう危険性も。
物事や時間に追われる日常から離れ、ときにはのんびり、何もしない時間を過ごすのも大切である、という意識改革を望みたい。
Bが高得点
分析タイプ
なんでもストレスに結びつけやすい積極認知型
几帳面で、何かにつけて物事を真剣に受け止める。ちょっとしたことにも神経を使い、ストレスにも過敏である。そして、自分の状態を周囲の人に話すことで精神的な緊張を解き、同時に自分がストレス状態にあることを確認する。
友人に話をする、ストレスに関する本を読んで紹介されている解消法を実行する、など積極的にストレスの解消に取り組む。
このタイプの人は、あまり考えすぎないことが大切である。仕事が忙しくてムシャクシャするときには、忙しさを忘れられるような時間をあえてつくり、趣味に没頭したりするといいだろう。
Cが高得点
発散タイプ
ストレスをさまざまに発散する気晴らし型
カラオケ、グルメ、ショッピング、趣味、スポーツなど、手軽にできて楽しめる方法でストレスを発散しよう、というのがこのタイプ。明るく社交的な性格で、行動的といえる。
本人が楽しんでいるのだから、ストレス解消の模範的スタイルのように思うかもしれない。しかし、あくまで「発散」を目的としているため、効果は一時的である。
このタイプの人で、気晴らしをしても何となく気分がすぐれないというときには、状況をよく分析して理由をはっきりさせ(Bタイプの人のように)、問題解決の方法を探すべきだろう。
Dが高得点
ネガティブ・タイプ
落ち込みに注意したいあきらめ型
このタイプは「結局こんなものだ」「うまくいくわけがない」など、物事に対して消極的でネガティブにとらえがち。心のどこかでうまくいくことを望みながら、失敗したときのショックをまず考えてしまう。それなら最初から期待しないほうが楽だと思い、ストレスにも正面から取り組まない。こうしたスタイルを続けると、だんだん内に引きこもり、何をするのも億劫になる。状況が悪化すると、うつ病のようになることもある。
たまには友人や同僚と一緒にカラオケに行ったり、家族と出かけたり、スポーツをしたりするなど、意識的で積極的なストレス解消をするといい。
Eが高得点
否認タイプ
傷つくのが怖い人に多い回避型
残念ながら、このタイプの人は、たとえばアルコール依存やニコチン依存などに陥る可能性が高い。
悩みがあっても、誰かに相談することが少なく、パッと気晴らしをしようとハメを外すこともあまりない。自分の弱さを認めず、それを他人に知られることも嫌なために自然と内にこもり、アルコールなどで不安や緊張を解放しようとする。
このタイプの人はほかのタイプの人以上に、さまざまな種類のストレス解消スタイルをもつことが大切である。
ともかく何でもチャレンジしてみよう。