藤田医科大学病院 総合消化器外科 先輩医師に聞く 医局員の日常

肝臓移植のスペシャリストを目指して
志高い先輩医師の姿に学ぶ

医師としての将来の目標から逆算して、今何をすべきか。医局のバックアップを受けながら、目標に向かって着実に歩みを続ける先輩医師に伺います。

臨床経験を積み重ねながら
大学院での研究に注力

藤田医科大学病院
総合消化器外科 助手
三井 哲史 先生

藤田医科大学病院を研修先に選んだ理由を教えてください

初期研修先は、学生時代からお世話になっていた総合消化器外科の杉岡篤教授の勧めもあって当院で研修しました。一般に時間外外来での経験を多く積めることが市中病院での研修のメリットと言われています。当院は大学病院ですが一次救急から三次救急まで幅広い疾患の患者さんが時間外外来に来院され、救急車も全て受け入れますので、大学病院でありながら多くの症例を経験できました。

総合消化器外科への入局を決められた理由を教えてください

もともと医学部に入ったのは救急医療に興味があったからですが、
学生時代に杉岡教授の手術を見学するようになって、杉岡教授が他施設で断られた患者さんを受け入れて、一生懸命治療をしている姿に感銘を受け、教授の専門である肝臓外科に興味を持ちはじめました。私自身も医師として限界までやりたいという気持ちがあり、目標とする医師がいたことの影響は自分のキャリアを考えるうえでも非常に大きかったと思います。

私が初期研修を受けていた間に、臓器別診療科が総合消化器外科に統合されたため、最終的な専門を決めずに総合消化器外科に入局しました。医局が1つになったことで、いろいろな先生からお話を伺えますし、多くの刺激を受けながら楽しく仕事ができていると思います。

現在は総合消化器外科の医局に在籍し、他の外科領域をローテーションしていますが、医局の先生とも顔を合わせたときに声をかけてくれますし、頻繁に連絡してくれる“里親”の先輩医師もいますので、相談しやすい環境を整えてくれていると感じます。

外科は忙しいイメージがありますが、手術がないときもありますし、就業終了の17時ちょうどに帰宅できる日もあります。私は最近ジョギングが趣味となっているので、仕事終わりに走ってストレスを発散しています。

1週間のスケジュール

午前 カンファ
レンス
手術
手術 手術 病棟 外勤 手術
午後 手術 手術 手術 カンファ
レンス
外勤 手術

今後、どのようにキャリアを積んでいきたいと考えていますか?

総合消化器外科は上部、下部、肝胆膵と広く学べますが、1番興味があるのは肝臓外科で、なかでも肝臓移植を専門にしたいと思っています。

その思いに至ったきっかけは、生体肝移植の手術を見学したときのことでした。肝機能が低下して全身状態が悪化した患者さんが移植を受けたことで快方し、最後は歩いて退院されたのが強く印象に残っています。また、いずれ肝臓移植が必要となる病気を抱えているお子さんを持つ知人がいるのですが、そのお子さんが移植を受けて笑顔で成長していく姿を見たいと思ったのも、肝臓移植を専門にしたいと思った理由です。

肝臓移植の専門医として活躍するのは15-20年後の目標ですが、今はその目標をおおまかに捉えて、いまから7年後にはどこまでできていないといけないか、そのためには3年後にはどこまでできていないといけないか、逆算して自分のキャリアを考えています。

現在は外科専門医取得を目標に、日々の臨床では、手術で独り立ちできるようになりたいと思っています。また、7年後を見据えたときには、海外留学も必要だと考えています。そのためには語学力を身につけなければなりませんし、学位取得も目指さなくてはいけません。

大学院には、初期研修の2年目に入学しました。今は消化器外科以外をローテーションしているので、比較的時間が取りやすい業務後に研究も進めています。術前の患者さんの栄養状態が再発率や予後に影響することはすでにいくつかの論文で示されていますが、当院ではどうなのか、そのデータを解析して発表したいと思っています。他科ではありますが、当院には栄養管理に力を入れている先生がいますので、コラボレーションしながら研究を進められればと考えています。

最後にメッセージをお願いします

私は医局の“勧誘隊長”をやっていて、1学年下は4人が入局しました。そのうち2人が女性医師です。私の妻も内科医なのでよくわかりますが、今後、医局をさらに充実させるためには、ワーク・ライフ・バランスを考えた働きやすい環境がとても大事だと思います。

女性医師の場合は産休や育休で現場を離れると、「同期との差がつくのではないか」と不安に思ったり、「家庭との両立ができないのではないか」と感じたりすることもあると思います。しかし、当科の医局は家庭のことも大事にしている先生が多く、女性医師の産休や家庭との両立にも理解があると思います。私自身、これから後輩も増え、女性医師も入局してきますが、何かあればサポートできる先輩でありたいと思っています。

また、後期研修だけでなく、初期研修をどこで受けるのかを悩んでいる人もいると思います。私自身の経験から言うと、“初期研修修了後の専門領域をどこで学ぶか”を念頭に初期研修先を決めることが大切だと思います。

初期研修はどこで受けたとしても自分次第で密度の濃いものにできると思いますが、本当に大事なのはその先の長い医師人生のなかで、何をするかだと思っています。そのときに自分が目標とする先生がいて、その背中をみながら学べることはとても重要なことです。私自身、宇山教授や杉岡教授をはじめ、「手術で患者さんを治す」という外科医としての使命感を持つ志の高い先生方から、多くのことを学んでいます。長い目で研修先を選んでみてください。

2018年5月掲載

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