埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科) 教授に聞く 教育方針と未来

一流の脳血管内治療医を育成
豊富な症例数により最短1年で専門医資格が取得可能

埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科は、脳脊髄腫瘍科、脳卒中外科、脳血管内治療科の3科からなっており、診療のみならず研修制度においても各科が連携。臨床経験と専門医取得に向けた研修プログラムに定評があります。

学閥や年齢、経験を問わず
脳神経外科医の
“実力”を磨く場に

埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科)
教授
神山 信也 先生
1991年
防衛医科大学医学部卒業
1991-1999年
航空自衛隊に所属、防衛医科大学校病院などで勤務
2001年
米国コロンビア大学附属病院に留学
2003-2004年
自衛隊中央病院などで勤務
2005年
埼玉医科大学脳神経外科助教
2007年
埼玉医科大学国際医療センター 脳血管内治療科助教
2011年
独立行政法人医薬品医療機器総合機構勤務
2013年
埼玉医科大学国際医療センター脳血管内治療科准教授就任
2017年
同大学教授、診療部長就任

埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科の特徴について教えてください

脳神経外科は、脳脊髄腫瘍科、脳卒中外科、脳血管内治療科という専門特化した3つの診療科が1つのグループになっているのが特徴です。もうひとつ、当センターには包括的がんセンター、心臓病センター、救命救急センターという3つのセンターが集約されているという特徴もあります。脳と脊髄の腫瘍全般を扱う脳脊髄腫瘍科は包括的がんセンター、脳卒中の開頭手術に特化した脳卒中外科と、カテーテルなどによる脳血管内治療に特化した脳血管内治療科は、救命救急センターの脳卒中センターに含まれています。さらに脳卒中センター内には脳卒中内科やリハビリテーション科もあり、脳卒中外科、脳血管内治療科を含む4科連携のもと、治療にあたっています。

それぞれは独立した診療科ですが、診療科間の壁はありません。診療においてはお互いの信頼関係が重要で、例えば脳血管内治療を検討していた症例が、実際には開頭手術が必要だったというケースもあります。脳卒中外科には信頼できる医師がおり、すぐに依頼ができますし、その逆、あるいは開頭手術とカテーテル治療を同時に行うハイブリッド手術にも迅速に対応できるのが強みです。また、脳腫瘍の摘出術前腫瘍塞栓術も、脳脊髄腫瘍科と連携して数多く行っています。組織は少し複雑ではありますが、お互いに専門性を理解し、診療実績や高い技術力をそれぞれが保有しているからこそ、患者さんの病態に応じて最適かつ柔軟な選択肢が提供できると考えています。

研修の特徴と強みは何ですか?

脳神経外科領域では、開頭手術からカテーテル治療までをひとつの診療科で行っていることが多いと思いますが、当科の後期研修では、研修医(脳神経外科専攻医)は3つの診療科をローテーションする方式を採用しています。これによって、脳神経外科領域の各診療科の治療、手技を幅広く、より専門的に身につけることができます。
特に重視しているのは、臨床に強い医師を育てることです。そのため当科では、日本脳神経外科専門医の取得後、日本脳神経血管内治療学会の専門医、指導医、博士号取得、留学までを1つのセットとして考えています。

脳血管内治療科で最も特徴的なのは、最短1年で専門医、2年で指導医の資格が取得できる点です(ただし、資格取得において基本学科の専門医取得及び4年以上の学会登録期間は必要です)。もちろん資格は取ればいいというものではなく、そこに実力が伴わなくてはなりません。当科では一流の専門医、指導医を育てる、患者さんを治せる医師を短期間で育てることができる研修体制を整えています。

それを可能にしているのは、症例数の多さです。当センターは、埼玉県秩父地域を中心に幅広い地域をカバーしていることに加えて、病診連携による紹介患者さんが多いのが特徴です。脳血管内治療については国内トップレベルの症例数であるとともに、単独診療科の強みを活かして集中的に症例を経験できます。

また、博士号の取得と海外留学までを含めたフルパックコースはこれまでに3名が修了しています。
博士号の取得にこだわらない研修医も増えていますが、いまは出身の医局にこだわらず、実力重視の大学が増えています。例えば、1人で脳神経外科の開頭手術や脳血管内治療がバリバリとこなせるようになり、その実力が認められて大学に招聘されるケースもあります。しかし、博士号を持っていなければ、講師以上にはなれません。研究や教育はもちろんですが、臨床医としての将来の可能性を広げるためにも博士号は必要であり、取得できる時期に取っておくことが大事だと思います。海外留学は、いろいろな考え方を学び、世界観を広げることにつながり、医師として成長する大きなきっかけとなると考えています。

脳神経外科領域における脳血管内治療の位置づけは変わってきているのでしょうか?

私は防衛医科大学出身で、救急を志望して脳神経外科に入局しましたが、なかなか手術の経験が積めなかったため、当時は誰もやっていなかった脳血管内治療を始めました。まだあまり注目はされていませんでしたが、これからは必要となる治療だと考えていました。
脳血管内治療の大きな転機は、2002年に脳動脈瘤の破裂、くも膜下出血の治療において良好な成績が示されたことでした。それまで脳神経外科領域の外科では開頭手術が主でしたが、ヨーロッパを中心に脳血管内治療が急速に普及してきました。
2005年には埼玉医科大学でも脳血管内治療が始まり、診療科の立ち上げを機に声をかけていただいたのです。

また、2015年に国際脳卒中学会で脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性が示されたことで、脳血管内治療の注目度は急速に高まり、現在は当センターでも脳神経外科手術の約1/4~1/3をカテーテル治療が占めています。いまや脳神経外科医を目指す医師にとって、脳血管内治療の技術は欠かせないものといえるでしょう。
開頭手術とは異なり、カテーテル治療で重要なのはどの道具を選び、どのタイミングでどう使うかというノウハウです。どれだけの症例を経験するか、先輩医師の手技をどれだけ目の前でみるか、それが研修医にとっての知識・技術となるため、加速的に実力がつく分野でもあります。

特に外科医の実力が問われるのは、トラブルシューティングです。治療においてトラブルは一定数あるものですが、いかに患者さんに影響を与えずにそのトラブルを解決できるかが腕の見せ所です。そのためには多くの場数を踏み、できるだけ多くの引き出しを持つことが大切だと考えています。専門医取得を目指す若手の医師に対しては、できる手術は経験させるという方針で教育していますが、それ以外にもできるだけ多くの症例に付き、指導医たちから学んでほしいと思います。

医局員は他大学出身者が多いと伺いました

現在の脳血管内治療科のスタッフ6名は全員出身大学が異なります。脳神経外科全体でも他大学出身者のほうが多いですし、もちろん学閥はありません。

特に脳血管内治療の専門医や指導医は、そのニーズに対して医師数が不足しているのが現状です。出身大学や所属医局、年齢、専門診療科を問わず門戸を広げ、次世代の脳血管内治療医を育成し、別の施設で活躍してもらうことが当科の使命でもあると考えています。そのため、短期研修や週1日の研修など、その人のバックグラウンドや希望に応じて受け入れています。

このやり方では、「医局として発展性がない」と考える人もいるかもしれません。しかし、優秀なスタッフが患者さんの管理をきちんとしてくれますし、私たちは脳血管内治療の技術を教える、いわばギブ・アンド・テイクなのです。
ここで研修を受けた医師が全国で活躍し、何かあったときには集まる、そんな仲間を増やしていきたいと考えています。研修医は本当にアグレッシブな人材がそろっていて、非常にがんばっていると思います。

また、バックグラウンドが異なる医師が集まること自体がメリットだと考えています。様々な経験を積んだ医師の手技をみることで得られるものは多く、それがチーム力向上につながります。
例えば脳血管内治療の手技ひとつをとっても、ある施設では絶対にダメだとされているものが、別の施設ではスタンダードになっている場合もあります。外科系の手技とはそういうもので、医療はエビデンスが最重要ですが、エビデンスに基づいて実践できることは、臨床のごく一部です。そのほかの部分はできるだけ多くの手技をみて、そのなかで自分自身が考え、良いものを吸収することが成長につながると考えています。

今後はどのようなことに力を入れていきたいと考えていますか?

いまの研修プログラムを確立して、実力のある脳血管内治療専門医を複数年にわたって輩出し、実績を示していきたいと考えています。
具体的な治療成績では脳動脈瘤の手術が代表的なものですが、重篤な合併症が生じた割合は、一昨年までは約1%でした。それがこの2年間、術後1か月で生活に支障が及ぶほどの重篤な合併症がみられた人はゼロです。若手医師には多くの経験を積んでほしいと考えていますが、指導のために合併症が増えてしまっては本末転倒です。合併症を出さず、いまの成績を維持・向上させるために努力し続けたいと思っています。

最後にメッセージをお願いします

やる気がある人に来てもらいたいのはもちろんですが、多忙な診療科だからといって、とにかく働かせるということではなく、女性医師の受け入れも含め、いろいろと配慮していきたいと思っています。また、脳神経外科医のみならず救命救急医、神経内科医、放射線科医等で脳血管内治療専門医・指導医を目指す人も積極的に受け入れています。1年で専門医、2年で指導医の取得は実現させつつあるので、がんばれる人はぜひそこを目標にしてほしいと思います。たとえそうでなくても、他施設より早く資格が取れますし、実力を伴った“患者さんを治せる医師”を短期間で育てます。がんばろうと思っている人はもちろん、がんばろうと思っていてもがんばれない人も支えます。ただし、“やる気”だけは必要です。ぜひ学びに来てください。

埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科

卒業大学構成比
埼玉医科大学約20%、他大学約80%
男女構成比
男性約85%、女性約15%
活動中の主な学会
日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会、日本脳腫瘍学会、日本脳卒中学会 他

脳神経外科は、脳脊髄腫瘍科、脳卒中外科、脳血管内治療科の独立した3診療科からなる。臨地実習を重視した研修プログラムで、専門医、指導医資格の取得を支援。豊富な症例数と、高い専門性を持つ指導医のもとで脳神経外科医としての“実力”を磨くことができる。

研修プログラムの詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。 埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科 (脳血管内治療科)

埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科スタッフ紹介(2018年3月現在)

脳血管内治療科

教授
神山信也先生(診療部長)
助教
大塚俊宏先生(副診療部長)
米澤あづさ先生(臨床フェロー)
講師
水橋里弥先生
客員教授
山根文孝先生(帝京大学医学部附属病院教授)
非常勤講師
根木宏明先生(医薬品医療機器総合機構)

脳卒中外科

教授
栗田浩樹先生(診療部長)
准教授
吉川雄一郎先生(診療副部長)
竹田理々子先生(外来医長、医局長)
助教
鈴木海馬先生(病棟医長、研修担当医長)
柴田碧人先生
上出智也先生(臨床フェロー)
浦丸浩一先生(臨床フェロー)
栢原智道先生(シニアレジデント)
武裕士郎先生(シニアレジデント)
池上方基先生(シニアレジデント)
寺西亮雄先生(シニアレジデント)
鈴木隼先生(シニアレジデント)
土屋亮輔先生(シニアレジデント)
前田拓真先生(シニアレジデント)
江原拓郎先生(シニアレジデント)
非常勤講師
柳川太郎先生(水戸ブレインハートセンター医長)
佐藤大樹先生(名古屋共立病院部長)

脳脊髄腫瘍科

教授
西川亮先生(診療部長)
三島一彦先生(副診療部長)
准教授
安達淳一先生
鈴木智成先生
客員教授
柳澤隆昭先生
教授
藤巻高光先生(兼担)

2018年3月掲載

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