埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科) 先輩医師に聞く 医局員の日常
自分の判断で手術ができる医師に
豊富な臨床経験が自信につながる
研修医が後期研修先を選択する際、どのようなことが決め手となるのでしょうか。脳神経外科を希望した経緯や現在のやりがいなど、当科に入局した先輩医師に伺います。
脳神経外科医として
開頭手術から
カテーテル治療まで
高い技術を習得できる環境
- 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳卒中外科・脳血管内治療科)助教
- 柴田 碧人 先生
初期研修、後期研修をどこで受けられましたか?
私は埼玉医科大学出身で、初期研修も埼玉医科大学病院で修了しました。学生時代から急性期医療に携わりたいと考え、なかでも血管障害の治療に関心がありました。
外科志望となった1番の決め手は、心血管障害も脳血管障害も、内科で診ている患者さんを外科にコンサルトした際、断られてしまうと治療の選択肢がなくなるケースがあるという点でした。それならば自分で治療ができる外科に進もうと考えたのです。
また、外科の領域では、これからより一層カテーテル治療の役割が重要になるだろうと考えていました。カテーテル治療を先行して学ぼうと、当科をはじめ放射線科や心臓血管外科など、カテーテル治療を行っている診療科をまわりましたが、当科は症例数が非常に多いことが魅力でした。
脳血管内治療を学ぶ前に脳卒中外科で手術のトレーニングを受けました。いざやってみると手術が非常に面白く、ますます脳神経外科領域への興味が深まりました。心臓血管外科もやりがいのある診療科ですが、 “脳神経外科はまだまだこれから発展できる領域だ”と感じたことも当科を選択した理由のひとつです。
脳卒中外科での後期研修の特徴を教えてください
私たちの世代がメインとなる頃には、脳神経外科医は開頭手術ができればいいという時代は終わっていると思います。高度専門医療を提供する大学病院では開頭手術に専門特化するのもひとつの選択肢ですが、やはり重要なのは、脳神経外科医として治療の選択肢を広げ、それが提供できる技術を持っていることだと思います。
私がシニアレジデントとして入局した年は、脳卒中外科と脳血管内治療のどちらも学べる環境が整ったところでした。その第一期生として、脳卒中外科と脳血管内治療科の両教授と相談し、ローテーションすることになりました。
すでに脳外科手術自体の数は減少傾向にあり、そのなかで開頭手術、脳血管内治療の両症例を確保することは非常に難しいと思います。シニアレジデントの専門研修プログラムでは、いくつかの病院をまわりましたが、いずれも国内トップクラスの医師の手技を間近にみることができ、非常に勉強になりました。
なかでも2015年から1年間学んだ国立循環器病研究センターは、脳卒中と心臓病の高度専門医療施設ということもあり、全国の大学からレジデントが集まっていました。同期とは様々な意見交換、討論をし、非常に刺激を受けましたが、私の臨床での経験は同期のなかでも圧倒的で、改めて恵まれた環境で学んでいると感じました。
医局の雰囲気などを教えてください
当科は、私と同様に“手術をたくさん経験したい”という動機で集まるシニアレジデントが多いです。脳卒中外科の栗田教授と脳血管内治療科の神山教授が就任され、国際医療センターに移転して以降、手術件数が増えたことがその一因かと思います。
なかでも5~7年目のレジデントは、同期に負けたくない、いずれは地元に戻って脳神経外科医として活躍したいなど、それぞれに野心を持ったメンバーが集まっていると思います。多少我が強くないと圧倒されてしまう雰囲気があるかもしれません。私自身も“同期より一症例でも多く経験したい、負けたくない”という気持ちが強いです。
ただ、先輩後輩が非常に仲良く、ファミリー感のある医局でもあります。見学に来た初期研修医も積極的に食事に行って話をするようにしています。
脳神経外科は救急も担うので本当に多忙ですが、イキイキと笑顔で、スタッフにも患者さんにも接するように心がけています。
現在はどのようなことを学んでいますか?
現在、私の所属は脳卒中外科ですが、2017年8月に日本脳神経外科学会の専門医資格を取得することができました。それ以降は次のステップである脳血管内治療学会の専門医資格取得に向けてトレーニングを積んでいます。当科は症例が豊富なので、1年を待たずに学会が定める専門医資格取得の必要症例数を経験し、来年度に取得する予定です。さらに次のステップである指導医資格取得を目指して症例を積み重ねていきたいと考えています。
いまは指導医のもと手術を経験していますが、3〜4年後には指導医に頼らず、自分の判断で自信を持って手術や治療に臨めるようになりたいと思っています。
1週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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午前 | 手術 | ICU | アンギオ 検査 |
外勤 | アンギオ 検査 |
アンギオ 検査 |
休 |
午後 | 病棟 | 病棟 | 病棟 | 外勤 | 病棟 | アンギオ 検査 |
休 |
最後にメッセージをお願いします
当科はやる気のある医師ばかりで、後輩のレジデントからも「柴田先生、もっと早く前に行かないと追い抜きますよ」というプレッシャーを感じるほどです。やる気がある人であればあるほど成長できる医局ではないでしょうか。もちろん研究や教育もありますが、特に臨床に浸かりたいと考えている人にはその環境は十分あると思います。
2018年3月掲載
研修医のための大学医局紹介一覧
大学医局でのキャリアについて、それぞれの特色を教授・医局長・先輩医師に伺いました。
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- 岐阜大学医学部附属病院 整形外科
- 教授/秋山 治彦 先生
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- 杏林大学医学部付属病院 整形外科
- 教授/市村 正一 先生
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- 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科)
- 教授/神山 信也 先生
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- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 乳腺科
- 教授/齊藤 光江 先生
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- 藤田保健衛生大学病院 総合消化器外科
- 教授/宇山 一朗 先生
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- 北海道大学病院 脳神経外科
- 診療講師/医局長/長内 俊也 先生