岐阜大学医学部附属病院 整形外科 先輩医師に聞く 医局員の日常
外傷から専門的治療まで充実した研修が魅力
仕事と子育ての両立は、医師にとっても大きな課題です。臨床で経験を積みながら社会人大学院生として研究にも取り組む浅野博美先生に、整形外科を選択した理由、周囲のサポートや働きやすさについて伺いました。
臨床と研究の両立に向けて
充実したサポート体制が魅力
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岐阜大学医学部附属病院
整形外科 医員 - 浅野 博美 先生
後期研修先に岐阜大学医学部附属病院の整形外科を選んだ理由を教えてください
私は2011年に岐阜大学医学部を卒業後、岐阜県関市の中濃厚生病院で初期研修を修了しました。中濃厚生病院は大学の関連病院ではないのですが、中濃医療圏の基幹病院でありながら規模が大きすぎず、診療科間の垣根が低いと感じたところが選択の理由です。
医学部を卒業した当時は内科系に進むことを考えていたのですが、初期研修で各科をまわっていくなかで整形外科に関心を持つようになりました。そのきっかけとなったのが、骨折などで動けない患者さんが手術で劇的に回復するのを目の当たりにしたことです。初期研修でまわった他の科にはない経験で、強く印象に残りました。外科系は大変そうなイメージもありましたが、初期研修で実際に経験すると、それほど体力的負荷は大きくないと感じました。手術も1日かかるようなものは少ないですし、私にもできるのではないかと思ったのも整形外科を選んだ理由です。
後期研修先を選ぶときには、初期研修先に残るかどうか迷いましたが、出身校である岐阜大学医学部附属病院を選びました。知っている先輩に勧誘していただいたことも大きかったと思いますが、最終的な決め手となったのは、馴染みのある環境の方が働きやすいと考えたからです。
後期研修で印象に残っていることはありますか?
岐阜大学の整形外科は各グループで専門性の高い医療を提供しており、後期研修では、1年目に大学で関節、脊椎、腫瘍などの専門的な治療を学びました。その後に関連病院で骨折や外傷などの症例をたくさん経験して、7年目の後半に再び大学に戻りました。大学に戻ったときに、関連病院での学びを経て、後期研修1年目で学んだことがより身についていることを実感でき、バランスよく学べる充実した研修プログラムであることを改めて感じました。
整形外科の医局の雰囲気を教えてください
現在は若手医師が増えていますが、40歳代以降の指導的立場の先生も多く、私と同世代の医師は少なめです。最近では後輩に聞かれることも増えてきました。
自分のやりたいことがあれば、それに特化して勉強できる環境でもありますし、先輩、同期、後輩も含めて、とても雰囲気がいい医局です。気になったことはすぐに先輩に相談できる環境で、親身にいろいろ教えていただいています。働く環境としてはとてもよいと思っています。
また、女性医師の場合はライフイベントも専門を決めるうえでひとつのポイントになると思います。私は関連病院での研修中に産休を取りましたが、妊娠中は放射線業務から外してもらうなど、十分なサポートをしていただきましたし、当初は産休もフルで取得する予定でした。病院側からではなく、私自身が長く仕事から離れることが不安で、当初の予定よりも少し早く職場復帰しましたが、いま思えば産休をフルで取っても遅れを感じるようなことはなかったと思います。復帰後も待機や当直を外していただくなどのサポートをしていただきました。
私は2017年の秋に大学院への入学を機に関連病院から大学に戻りましたが、今も当直の免除や、保育園のお迎えの時間も理解していただくなど、勤務体系で無理がないように配慮していただいています。
大学院ではどのような研究に取り組んでいますか?
私は、臨床を続けながら大学院に進みたいと希望していたので、2017年7月に育児休暇を終えて復帰し、その年の秋入学の制度を利用して大学院に入りました。私は、専門領域が肩関節なので、肩の動作解析をテーマにしました。
肩関節を専門に選んだのは、純粋に面白そうだと感じたこともありますが、関節鏡など、力をあまり必要としない手術が多かったのも理由のひとつです。また、比較的低侵襲な手術が多いので術後の合併症も少なく、病棟業務もやりやすいのではないかと思いました。
肩関節の領域は、最近では高齢の患者さんも増えていますが、他の専門領域に比べると比較的患者さんの年齢層が低く、元気な人が多いのが特徴です。10~20代の患者さんの手術を担当することもあり、幅広い年齢層への対応が求められる領域です。手術は肩関節に絞って週1~2回担当しています。子どもがいますので、できるだけ日中に研究が進められるように時間もやりくりしています。
整形外科領域のおもしろさは、手術や治療の効果が目にみえてわかるところだと思います。これだけ肩があがるようになった、歩けるようになったなど、機能が明らかに改善したことがわかり、医師としても非常にやりがいを感じます。
1週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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午前 | 外来* | 外勤 | 外勤* | 手術 or 研究* |
手術 | 休 | 休 |
午後 | 病棟 (研究) |
病棟 (研究) |
病棟 (研究) |
病棟 (研究) |
休 | 休 |
*カンファレンス
今後の目標を教えてください
当面の目標は整形外科専門医の資格を取得することです。当初は2018年1月に受験予定でした。しかし、その間に産休に入ったこともあり、期間が足りなかったので2019年の1月に受験予定です。残り少しがんばって専門医資格を取りたいと思っています。
その先の目標としては、岐阜では肩関節の領域を専門にしている人が少なく、専門性が高いので、自立して手術まで担うことができるようになることです。大学院を修了して学位を取り、さらに臨床にも活かしていきたいと思っています。
最後にメッセージをお願いします
私もそうでしたが、女性の医学生は、女性医師が多い診療科に関心が向きがちだと思います。しかし、実際に臨床で経験をしてみると、どの診療科でも決して無理ではないと思いますし、整形外科でも女性だからできないということはほとんどありません。興味を持っているのであればぜひ飛び込んでほしいと思います。
2018年6月掲載
研修医のための大学医局紹介一覧
大学医局でのキャリアについて、それぞれの特色を教授・医局長・先輩医師に伺いました。
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- 岐阜大学医学部附属病院 整形外科
- 教授/秋山 治彦 先生
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- 杏林大学医学部付属病院 整形外科
- 教授/市村 正一 先生
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- 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科)
- 教授/神山 信也 先生
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- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 乳腺科
- 教授/齊藤 光江 先生
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- 藤田保健衛生大学病院 総合消化器外科
- 教授/宇山 一朗 先生
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- 北海道大学病院 脳神経外科
- 診療講師/医局長/長内 俊也 先生