公的保険の手続き2 -健康保険-

ドクターに一番身近な制度です。最も医師に身近な制度「健康保険(医療保険)」。「勤務医」として転職していく場合、手続きは「被保険者証カード」を勤務先に返却するだけです。開業医になる場合は、自らが手続きをするしかないので、よく確認して、滞りなく手続きをしましょう。

健康保険「退職」「再就職」の手続き

[ 退職のとき ]
退職した翌日から5日以内に「被保険者証カード」を事業主(病院など勤務先)に返します。
被扶養者(ご家族)がいる場合、その全員分の「被保険者証カード」を同時に返します。

[ 「勤務医」から「勤務医」として、転職するとき ]
ドクター本人が、健康保険について手続きをすることはありません

事業主(病院など勤務先)が被保険者資格取得届を、採用日から5日以内に、地方社会保険事務局・社会保険事務所または健康保険組合へ提出します。

後日、「被保険者証カード」を受け取れば手続きは完了です。

「勤務医」から「開業医」になった場合

[ 退職と同時に開業するとき ]
「医師国民健康保険」に加入手続きをします。

各都道府県の医師国民健康保険組合に、被保険者資格取得届を提出します。
※ただし、医師会に所属していることが前提であり、所属しないときは、「市町村国民健康保険」に加入手続きすることになります。居住地の市区町村役場に被保険者資格取得届を提出します。

医師会に所属せず、診療所を開設し、常時5人以上の従業員を雇用する事業主となった場合は、社会保険(政府管掌健康保険)の対象になります。

[ 退職から開業オープンまで、間があく場合 ]
「医師国民健康保険」「市町村国民健康保険」に加入手続きをするか、退職した勤務先の健康保険を「任意継続」する手続きをとります。

「任意継続」を希望するときは、退職前に勤務先の人事総務担当者に相談し、手続きの指示を仰ぎます。
※例えば社会保険(政府管掌健康保険)の場合、自らが社会保険事務所に出向いて、「健康保険任意継続被保険者資格取得申請書」を退職の翌日から20日以内に提出します。 なお、社会保険の場合、被保険者期間が2カ月以上ないと継続できません。

医療保険ミニ知識 −医師のための医療保険制度一覧表−

[ 退職と同時に開業するとき ]
国や地方自治体、その他の公的団体が運営する医療保険制度には「健康保険」「船員保険」「共済組合」「国民健康保険」の4つの代表的なものがあります。

健康保険 【政府管掌健康保険】
健康保険組合がない医療法人や財団法人に勤務するドクター
●業務外の病気、ケガ、出産、死亡
【組合管掌健康保険】企業立病院に勤務するドクター 
●業務外の病気、ケガ、出産、死亡
船員保険 船医  ●業務外の病気、ケガ、出産、死亡
共済組合 【国家公務員等共済組合】国立大学法人に勤務するドクター
●病気、ケガ、出産、死亡
【地方公務員共済組合】県立・市立病院に勤務するドクター
●病気、ケガ、出産、死亡
【日本私立学校振興・共済組合】
私立大学経営の病院に勤務するドクター
●病気、ケガ、出産、死亡
国民健康保険 【医師国民健康保険組合】医師会に所属している開業医のドクター
●病気、ケガ、出産、死亡
【市町村国民健康保険】
医師会に所属せず小規模(従業員5人未満)に開業しているドクター 
●病気、ケガ、出産、死亡