医師の履歴書の書き方
1.医師にとっての履歴書とは?
履歴書は、応募者のプロフィールをより詳細に採用側へ知らせるための書類であり、 一読しただけで応募者の医師としての「経験+能力+人柄」が伝わる内容であることが望ましいでしょう。とはいえ、長々と書くことはできないので、ポイントを押さえた内容を目指す必要があります。
2.履歴書の書き方の基本
1日付 |
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3電話番号 |
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4学歴・職歴 |
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5写真 |
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6資格 |
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7志望動機・志望理由 |
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3.例文付き!志望動機の書き方
(科目別・施設形態別)
前職と診療科や施設形態が同じ(似通った)ところを志望するのであれば、「あえてここに転職したい理由」を力強くはっきりと示す必要があります。
- Case1: 麻酔科専門医/一般病院→一般病院
- 「勉強会でお会いした貴院の○○先生から、貴院では術前のカンファレンスから患者さんへ麻酔計画の説明、術後のケアまでをチーム医療における麻酔医の通常業務として確立していること、執刀医をはじめとするスタッフ間のコミュニケーションも非常に円滑であることを伺いました。そうしたチームの一員として、私の持つ知識や経験を十分に活かし、手術を受ける患者さんに心からの安心・安全を提供してまいりたいと思っております」
- Case2:放射線科専門医/一般病院→一般病院
- 例文:「放射線科医として7年間の経験を積み、現在はIVR専門医の資格取得を目指しています。貴院の医療理念の一つでもある『人々の快適な暮らしに貢献』するためにも、IVRを用いた侵襲性の低い治療を提案する機会はますます増えていくことと思います。IVRの設備やシステムが整備されている貴院でスキルを磨き、新たなチャレンジを通して地域医療に貢献できるよう研鑽してまいる決意です」
診療科そのものや業務内容を大きく変える比較的チャレンジングな転職の場合は、おのずと理由が明確になっていると思われます。相手が理解しやすいようにエピソードを交えて、その理由を伝えましょう。
- Case1:産婦人科医/大学病院→不妊治療専門クリニック
- 例文:「産科も婦人科も幅広く経験してきましたが、妊婦や新生児を抱いた産婦があふれんばかりの笑顔であるのに対し、その隣で不妊治療に来られた女性が沈んだ表情をしていることを日々切なく感じていました。心身への負担が少ない効果的な不妊治療を専門に実践されている貴院でキャリアを磨き、生殖医療専門医の資格取得も目指し、自身の持てる知識や技術で不妊に悩むご夫婦を全力でサポートしたいと思っております」
- Case2:内科専門医/一般病院→精神科専門病院
- 例文:「一般内科に勤務しておりましたが、患者さんの多くはご高齢であり、その何割かは認知症を伴っていました。認知症特有の症状に困惑する本人やその家族に接するうち、身体疾患だけではなく、精神疾患についても学びたいという思いに駆られました。貴院は、地域の患者さんを幅広く受け入れながら、精神疾患を集中的に学ぶ環境を整え、資格取得を目指す医師をサポートしていると伺いました。そうした理想的な環境で思いきり学んでみたいと考え、志望いたしました」
ブランクが空いていると「不利になるのでは?」と不安になるかもしれませんが、理由を隠すことがかえってマイナスになることも考えられます。事実は事実として明かした上で、ブランク期間をプラスの経験値として伝える工夫が必要です。
- Case1:内科専門医/大学病院(出産を機に退職)→内科クリニック
- 例文:「貴院には医師の立場ではなく、一患者として出会いましたが、一人ひとりに時間をかけ、通常の内科診療の中で、糖尿病患者への食事や運動など生活改善の指導にまで熱心に取り組まれている姿勢に感動しました。そして、家庭人として日々を送り、夫や子どもの健康を気遣ううちに、医師としてもう一度患者さんのQOL向上に貢献したいという思いを強く持つに至った次第です」
- Case2:消化器外科医/総合病院(→大学院)→がん専門病院
- 例文:「がん診療に携わる中で、悪性腫瘍の分子生物学に関する知識の掘り下げが必須であるという考えに至り、6年目に帰学を決意いたしました。4年間、大学院生として基礎医学の視点から悪性腫瘍を学んだことで、臨床医として視野が開けたという手応えを得ております。そのことを胸に、今後はがん診療のリーディング・ホスピタルである貴院で、良き臨床医として力を発揮したい と願っております」
転職回数が多い場合は、その理由を面接で問われること必至です。一貫性のあるスキルや前向きな姿勢を前面に押し出し、職歴をポジティブにアピールすることがポイントとなります。問題を他責にする傾向がある人物は敬遠されるので、人間関係や待遇などに関するネガティブな理由を出すのは避けましょう。
- Case1:整形外科専門医/一般病院→回復期リハビリテーション科併設クリニック
- 例文:「これまで整形外科専門医としていくつかの病院で勤務し、さまざまな環境でスキルを磨くうち、外科的処置ばかりではなく、患者さんの社会復帰までをトータルで支援したいと思うようになりました。リハビリ施設が整った貴院に入職できた暁には、リハビリテーション科専門医の資格取得も目指しつつ、これまで培った整形外科医としての経験を活かして精いっぱい尽力いたします」
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4.履歴書にまつわるQ&A
- 用紙はどのサイズが良いですか?
- 特に指定がない場合は、いずれでもかまいません。転職の場合は、ある程度用紙の大きさが必要な職務経歴書に合わせて履歴書もA4判にそろえると見栄えが良く、扱いやすくなることから、A4判を選択する人が増えています。
- やはり手書きのほうがよいですか?
- 特に指定がない限り、手書きでもパソコン作成でも問題ありません。昨今はパソコン作成の履歴書が主流になってきていますが、字を書くことが得意なら、スキルの一つとして丁寧かつ美しい文字をアピールするのもよいでしょう。手書きの履歴書の場合は、コピーして提出することや、修正テープや二重線を用いた訂正はNGであり、黒のボールペンや万年筆で記入します。また、パソコンで作成してプリントアウトする際の用紙は、市販の履歴書に見劣りしないよう厚手の上質紙を使用するとよいでしょう。
- 郵送する際は履歴書を折っても大丈夫ですか?
- 二つ折りまでは問題ありませんが、それ以上折ることは基本的にNGです。送付する場合は、送付状、履歴書、職務経歴書などをクリアファイルにまとめ、封筒に「履歴書在中」と明記して郵送します。持参する場合も同様ですが、宛名を書いたり送付状を付けたりする必要はありません。封筒の持ち運びには気を配り、折れや汚れのない状態を保ちます。手渡しする際は、相手が文字を読める向きにして、両手で差し出しましょう。
5.最後の確認!チェックリスト
- 記入漏れはありませんか?
- 誤字や脱字、不用意な略語はありませんか?
- 写真ははがれないようにしっかりと貼れていますか?
- 医療機関名などの固有名詞が略称になっていませんか?
- 入学/卒業、入職/退職、資格取得の年(年度)は正確ですか?
- 文章に常体(だ・である調)と敬体(です・ます調)が入り混じっていませんか?
- 志望動機に過剰な脚色やゼロからの創作が含まれていませんか?
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転職の仕方詳細
転職を成功させるために、履歴書・面接・手続きそれぞれのポイントをご説明します。
履歴書編
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- 履歴書の書き方
- 医師の転職環境もかつてと変わり、採用する医療機関から履歴書を求められることはごく普通となりました。履歴書の記入の仕方を記入例と合わせてご紹介します。積み上げてきた経験・業績を、ドクターの人柄とともにイメージよく伝えましょう。
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- 職務経歴書の書き方
- 職務経歴書には履歴書に書ききれなかったスキル・実績などをまとめます。職務経歴書は自らを売り込む「企画提案書」です。ドクターご自身のセールスポイントを採用側の事務方、経営者の誰が見ても理解できる内容にわかりやすくまとめるとよいでしょう。
面接編
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- いよいよ面接
- 面接に臨む上での心得をご説明します。面接は採用する医療機関とのお見合いのようなものです。転職にあたり、自身の本音を伝えるとともに施設の情報を堂々と尋ねることのできる貴重な機会として、面接に臨みましょう。
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- 面接の前再確認
- 面接前に再確認しておきたい基本をご紹介します。身だしなみ、挨拶、名刺の受け方、視線といった事項は、基本的ですが重要です。良い第一印象を与えられるよう、改めて確認しておきましょう。
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- 面接は余裕を持って
- 面接の際に意識したいポイントについてご紹介します。面接では会話によるコミュニケーションでお互いに理解を深めることが重要です。自己紹介の仕方、退職理由の伝え方、志望動機の伝え方、質問への答え方など、余裕を持って進めるためのポイントもお伝えします。
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- 面接のお手伝い
- リクルートドクターズキャリアでは、面接のアドバイスや条件交渉もさせていただきます。経験豊富な医師専門のキャリアアドバイザーが、ドクターのキャリアやお人柄に合わせてアドバイスをさせていただくとともに、年俸や給与、研究日や学会費用などの交渉をいたします。
手続き編
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- 退職の手続き
- 円満に退職するための手続きについてご説明します。医局に所属している場合としていない場合とで、退職までのステップを順を追ってご説明します。退職時の引き継ぎや挨拶も、円満な退職のためには重要なポイントです。
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- 年金の手続き
- 退職・転職・開業時の年金の手続きについてそれぞれご紹介します。経済的に安定した老後を送るためにも、複雑な年金制度の体系を理解し、誤りのないよう手続きを進めましょう。
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- 労働保険の手続き
- 万が一に備えて、労働者保険についてもチェックしておきましょう。基本的には労働保険・雇用保険は事業主が手続きするため、自ら手続きをすることはほとんどありませんが、知識として押さえておきましょう。
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- 健康保険の手続き
- 医師に最も身近な健康保険(医療保険)制度。退職・再就職・開業時に必要な健康保険の手続きについてご紹介します。勤務医としての転職では「被保険者証カード」の返却や受け取りのみですが、開業時には手続きが必要です。
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- 税金の手続き
- 転職において必要な確定申告などの手続きについてご説明します。6種類ある所得税の確定申告用紙についてご紹介するとともに、退職時・再就職時に必要な手続きをケースごとにご説明します。複数箇所から給与所得があることの多い医師は要注意です。