非常勤で働く医師の給与相場

非常勤を希望する医師が最も重視するのは「給与」

リクルートドクターズキャリアのアンケートによると非常勤勤務を希望する医師が最も重視する項目は「給与(40.3%)」となっています。次に重視する「勤務内容(39.3%」で約8割を占めています。定期非常勤の時給相場は1万円前後(全国平均の約9600円)で、報酬の相場は、地域や科目などによって若干異なります。

医師不足のエリアでは報酬が髙くなる傾向に

エリア別にみると、関東エリアでは医師からの人気の高い東京23区や神奈川県・横浜市では、時給1万円が相場です。患者に対する医師数で地域間の格差のある栃木県や群馬県など北関東の他、東京から少し距離のある千葉県や埼玉県の一部エリアで時給がやや高めで、時給1万~15000円になります。また、特に外科系は高めになる傾向があるようです。
甲信越・北陸エリアの時給1万円程度が相場で全国平均より若干高めになっています。長野県、静岡県は同エリアの相場よりも高く時給1万円以上の求人が多くみられます。、患者数に対しての医師数不足かつ世代交代の時期にあたり、人材確保のために給与水準が高いようです。
東海エリアの平均時給は1万円ほど。三重県が同エリアでは最も高く、1万1000円超になっています。静岡県では内視鏡のスキルがあれば、日給10万円+交通費などの条件で求人があり、神奈川県の医師がアルバイトをしているケースもあるようです。愛知県は相場なみかそれよりも若干低めになっています。
関西エリアではの平均約9000円、大阪府の報酬相場は時給9500円ほど。兵庫県・京都府は同エリアの相場とほぼ同水準です。奈良県、和歌山県は、医師不足もあり関西エリアでは若干高めで大阪府並みになっています。
中国・四国エリアでは、広島県、岡山県は報酬が中国・四国エリアの平均約8800円より高く平均では時給9200円。より高報酬を求めて関西エリアでアルバイトをする医師も少なくありません。
九州・沖縄エリアの時給の平均は約8800円。医師の人気が高いのは福岡県ですが、非常勤の医師求人数は多いのは鹿児島県。医師不足数は118人で全国で3番目に多い数字となっています。報酬も、鹿児島県が九州・沖縄エリアでもっとも高く時給約9400円になっています。
北海道・東北エリアは報酬が高く平均時給が約1万円ほど。その中でも北海道・宮城県が若干高くなっています。これは、患者数に対する医師の人数が不足しているため、人材確保の一環として高めの報酬が設定されていると考えられます。

科目別の傾向は3つ

診療報酬が高い科目が報酬が髙め

科目別にみると、もともと報酬が高い麻酔科は別にして、比較的に時給が高いのは、診療報酬が高い整形外科や居宅への訪問診療と言われています。東京を例ににみると、眼科、精神科、小児科なども相場の時給1万円よりもやや高めの設定になっています。また、総合病院より、クリニックの方が好待遇の傾向があるようです。

未経験歓迎の科目での求人数が増加

科目別の募集数でみると、内科や整形外科の外来が圧倒的。医師数も多く、マッチングしやすい状況です。
リクルートドクターズキャリアの募集情報によると、AGA(男性型脱毛症)外来の求人が増加しています。未経験者歓迎の科目で、知識やスキルの獲得のためや好条件に魅かれて参入する医師も増加中です。マニュアル化されたdo処方が多い業務にため。精神的にも肉体的にも負担が軽く、勤務地が東京なら新宿や渋谷などターミナル駅に多いことも魅力でしょう。
募集が増えてきているのは訪問診療です。2014年に施設訪問の診療報酬が大幅に引き下げられた時は、募集数が減少しましたがすぐに募集が復活しました。40代後半~50代のベテラン医師が多く勤務しているようです。コミュニケーション能力に長けた内科医が歓迎されやすいのが、施設訪問。外科系の医師へのニーズが高いのが、居宅での訪問診療の場合。胃瘻や人工呼吸器などの扱いができるためです。皮膚科医は、褥瘡の処置のために募集されています。美容皮膚科を希望しつつも募集が少なく、訪問診療にシフトする医師もいます。
精神科クリニックでは、通院しなくなったアルコール依存症患者宅への定期的な訪問診療などの求人が増えています。患者は会社員多いため週末の勤務を求める求人が多いようです。

人気は高いが募集数が少ない消化器内科や美容皮膚科、産業医

スキルが磨けるため医師に人気が高いが、募集数が少なくなく、競争が激しい科目は、内視鏡が扱える消化器内科や未経験での美容皮膚科などとなっています。
産業医も同じ傾向で、求人はかなり少なく、常に医師が待っている状態です。会社員の心の病の増加などで業務が忙しいにもかかわらず、産業医を希望する医師が増えています。
同じく人気の高い健診の定期非常勤の場合は、1人の医師が担う仕事が多く、企業などの健診にスポットで入るより経験が問われる領域です。問診、聴打診に加え、読影(胸、胃)と心電図への対応が求められ、ダブルチェック体制なものの、見落としのないよう細心の注意が必要になります。

まとめ

定期非常勤には即戦力が求められますので、人気の高い科目の医療機関が自院で募集せず、スキルの高い医師を求めて紹介会社に依頼しているようです。
紹介会社をうまく利用するには、優先順位を明確にすることがコツ。キャリアドバイザー(CA)にできるだけ自分の希望や情報を開示すると希望に近い求人情報を得られます。たとえば、「収入アップ」が目的で、常勤で担当している科目以外の科目や希望のエリアから少しだけ離れた勤務地で通勤時間が変わらない求人情報を探し、提示してくれるはずです。定期CAは、非常勤を希望する医師の味方でありパートナーですので、とにかく何でも相談するとよいでしょう。