埼玉県の医療提供体制の推移としては、2004年に病院と診療所合わせての総医師数が9454人(人口10万人当たり134人(全国平均212人))であったところ、2018年に1万2443人(人口10万人当たり171人(全国平均245人))となり、2989人が増加しました。総医師数は14年間で3000人近く増加しているものの、人口10万人当たりでは全国平均を依然として大きく下回っており、そもそも人口が多い関東地方の典型的なパターンだといえます。医療施設の数に注目すると、2004年の病院数が363(人口10万人当たり5.1病院(全国平均7.1))であったところ、2018年に345(人口10万人当たり4.7病院(全国平均6.6))となり、14年間で18病院が減少しました。また、2004年の診療所数が3738(人口10万人当たり53診療所(全国平均76))であったところ、2018年に4328(人口10万人当たり60診療所(全国平均80))となり、590診療所が増加しました。人口10万人当たりの医療施設の数も全国平均を下回っており、病院・診療所のどちらも不足気味ですが、診療所の絶対数は比較的大きく増加しています。埼玉県は医師が充足しているとは言いがたい状況だといえ、その背景には、東京都への移動が容易なため、埼玉県内の患者が東京都で受療するケースや、医師自体が東京都へ流出するケースも多々みられることがあります。そのため、埼玉県では医療従事者の確保や育成にも力を入れています。
(出典:日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状(2020年)」)