医師の働き方改革 3割の医師が収入に「影響あり、減少する見込み」~意識調査から見える改革への不安・懸念を解説

記事公開日:2025年5月15日

株式会社リクルートメディカルキャリアはこのほど、医療機関に勤務する医師2,045人を対象に、医師の働き方改革に関する意識調査を実施(※)しました。この記事では、調査結果をもとに、「医師の働き方改革」に対する医師の期待と不安について解説します。転職を検討する際にはどのような点に注意が必要か、どんな医療機関を選べばいいのかなど、判断材料の一つとしてぜひご活用ください。

(※)メドピア株式会社と共同し、メドピアの運営する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に登録する医療機関に勤務する医師2,045人を対象に調査を実施。
調査実施期間:2023年10月20日(金)~2023年10月25日(水)

2024年4月施行
「医師の働き方改革」とは?

「医師の働き方改革」とは、医療機関に勤務する医師が長時間労働を余儀なくされている現状を“改革”する取り組みを指します。そして2024年4月から、医師の残業時間に上限を設ける制度など各種改革施策がスタートします。
医師が健康に働き続けられるような環境を整備することで、患者さんに提供する医療の質・安全を確保すると同時に、将来にわたって持続可能な医療提供体制を維持していくことが目的とされています。

2024年4月から何が変わる?

「医師の働き方改革」スタートにより具体的に何が変わるのか、主な変更点をご説明します。

勤務医の時間外労働の上限規制

これまで医師の時間外労働時間には上限規制がありませんでしたが、2024年4月以降は、勤務医の時間外労働の年間上限は原則960時間までに規制されます。2019年4月から一般の労働者に時間外労働の上限規制が適用されていますが、医師を含めた一部の職種・業種についても適用が始まることとなりました。

医師の追加的健康確保措置

月の上限時間である100時間を超えて働く医師がいる場合、以下の追加的健康確保措置の実施が義務化されます。
・連続勤務時間制限28時間
・勤務間インターバル9時間(終業時刻から次の始業時刻までの休息時間)
・代償休息(休憩時間にやむを得ない理由で仕事に従事した場合は、労働時間と同じ時間の休憩時間を付与)

日本の医療は、医療機関に勤務する医師の長時間労働により支えられてきましたが、厚生労働省の令和元年度の調査では、医療機関で働く医師の約40%が月80時間以上の残業(時間外・休日労働)を行っていることがわかっています。また、その2倍に相当する残業を行っている医師も約1割を占めており、医療機関で働く医師には長時間労働の実態があります。

医療機関には「働き方改革」による適切な労務管理の下、勤務環境を改善し、長時間労働になっている医師の労働時間を短縮するための取り組みが求められています。

【医師2045人が調査対象】
医師の働き方改革に関する意識調査

医師の勤務環境改善を目的に実施される「医師の働き方改革」ですが、リクルートメディカルキャリアが行った『医師の働き方改革に関する意識調査』によると、働き方改革に対して期待だけでなく、不安を抱いている医師もいるようです。調査結果を詳しくご紹介しましょう。

医師の働き方改革への不安や懸念は
「収入減少が見込まれること」がトップ

医師2045人に、「医師の働き方改革について、不安に思うことや懸念していること」を聞いたところ、最も多かった不安や懸念は、「収入減少が見込まれること」(51.6%)という結果になりました。なお、「不安や懸念はない」という回答は15.0%にとどまっています。

医師の働き方改革について、不安に思うことや懸念していること

併せて「現在の職場に勤務し続けた場合、医師の働き方改革によって自身の収入に影響はあるか」と質問したところ、最も多かったのは「影響なし、維持の見込み」(36.7%)でしたが、次いで多かったのが「影響あり、減少する見込み」(32.2%)との回答でした。

多くの医師が収入への不安を覚えている中、働き方改革によって、約3割の医師が「実際に収入減少の影響を受けそうだ」と感じていることが明らかになりました。

収入に「影響あり、減少する見込み」と回答した方に、その要因を聞いたところ、最も多かったのは「実質労働時間は変わらず、サービス残業が増えることによる収入減少」(58.3%)でした。医療体制を維持しながら長時間労働の改善ができるのか、その実現性について多くの医師が不安や懸念を抱えていることがうかがえます。

医師の働き方改革によって収入に影響はあるか

医師が働き方改革で期待しているのは
「休日・休暇が取れる」「健康的な生活」

「医師の働き方改革について、期待していること」との質問に対して、最も多かった回答は「休日・休暇が十分に取れること」(49.6%)でした。一般企業には2019年4月より施行されている法令が、5年の猶予期間を経て医療機関にも施行されますが、医師の健康を確保し医療体制を維持していくために、働き方改革による医師の長時間労働の改善を期待する声が数多く上がっています。

「医師の働き方改革に期待していること」
●「健康的に働きたい」(30代/消化器外科)
●「とにかくきちんと休ませてもらいたい」(40代/皮膚科)
●「気兼ねなく休めて、お互い協力し合う風潮が浸透すること」(50代/一般内科)
●「仕事のオンおよびオフははっきりさせたい」(50代/一般内科)

5割の医師が
「働き方改革が働く場の選択に影響を及ぼす」と回答

「医師の働き方改革が、働く場の選択に影響するか」を聞いたところ、「影響がある」「どちらかといえば影響がある」を合わせると50.2%となり、半数の方が自身の職場選びに影響があると考えていることが分かりました。
この結果からは、今後働き方改革への対応が十分でない医療機関は、働き手である医師から職場として選ばれづらくなる可能性があると読み取れます。

医師の働き方改革が、働く場の選択に影響するか

転職で医療機関を選ぶ際の注意点

医師の働き方改革がスタートすることで、医師が健康的に働けるような環境を整備することが各医療機関の急務となっています。
優秀な医師を確保するために、人員体制の見直し、人事制度の改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)やタスクシフトといった、抜本的な改革に踏み切る医療機関も増えると見られます。

医師の皆さんが今後転職を志す際には、これらの改革がどれぐらい進んでいるのか、「実際のところ」を確認することが大切です。時間が経つにつれ、改革が順調に進み働く環境が整備されている医療機関と、対応が進まず整備が遅れる医療機関との差が開いていくことが予想されます。長く働き続けられる環境を選ぶためには、働き方改革に関する医療機関の方針や取り組み姿勢などを確認することも、ますます重要になると考えられます。

なお、医師転職支援サービスを手掛けるリクルートドクターズキャリアでは、医療業界に特化した専任のキャリアアドバイザーが医師お一人お一人に伴走し、転職活動全般をサポートします。医師の転職サポート歴40年を誇り各医療機関との取引実績も長いことから、ご案内する求人の内容も徹底的にヒアリングしているので、働く環境などの詳細も情報提供が可能です。迷いや不安なく転職活動を行うためにも、リクルートドクターズキャリアの活用をぜひご検討ください。

本調査の詳しい調査結果は、こちらからご覧ください
「医師の働き方会改革に関する意識調査 プレス発表」

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