
記事公開日:2025年6月25日
目次
株式会社リクルートメディカルキャリアは、「医師の地域偏在」に関する意識調査を実施(※)しました。本調査では、地方での勤務意識や実際の勤務経験、国の偏在是正策への評価について幅広く意見を収集しています。
(※)「株式会社マクロミル」に登録している医師モニター838名を対象に調査を実施。
実施期間:2025年2月18日~2月25日
地域偏在を「感じたことがある」医師は8割超
医師の過剰集中が都市部で起きている一方、地方では深刻な人手不足が続いています。実際に「医師の地域偏在を感じたことがある」と答えた医師は83.5%にのぼり、「医師が集まらない」「紹介先が見つからない」「地方に専門医がいない」といった声が多く寄せられました。

どのような時に「医師の地域偏在」があると感じたかに関するフリーコメント
- 地方は医師求人で人が集まらない。(50代・男性)
- 自分の地元は県自体が医師募集に躍起になっているのに、首都圏は自治体が主体となってまで必死に医師を求めていない。(50代・男性)
- 地方の病院には医師不在の科がある。(40代・男性)
- 都心は病院や医院が多く専門性も高いが、地方は専門医がいない。(70代・女性)
- 地方に健診に行ったとき、紹介先がない。(60代・男性)
- 紹介しようにも満床で断られ、地域のサポートも受け入れる場所がない。(60代・男性)
- 都会の医師の多さに驚いた。(40代・男性)
- 都市部には規模の大きな病院が存在する。(40代・男性)
地方勤務に関心を持つ医師は24.2%、30代では45.4%
地方勤務に前向きな医師は全体の約4人に1人(24.2%)にとどまりましたが、30代に限るとその割合は45.4%と倍近くに上昇。一部の若手層では、地方勤務にポジティブな傾向が見られました。

勤務意欲の理由として最も多かったのは「地域医療に貢献したい(38.9%)」という声。一方で、関心がない理由のトップは「交通の便が悪い(36.9%)」で、関心のある医師でも地方勤務を想定した際の不安要素として「交通の不便さ(32.0%)」が挙げられており、インフラ整備の重要性が浮き彫りになっています。



現在地方で勤務中の医師の約半数が「地元」だから
すでに地方で働いている医師の勤務理由では、「地元である」が最も多く45.9%を占めました。縁のある地域で働く傾向が高いことが分かります。勤務後に感じたギャップとしては、「想定以上に忙しい」「専門外の診療が求められる」「紹介先が限られる」といった声がある一方で、「住民との一体感が得られる」といった前向きな意見もありました。

実際に勤務してみて感じたネガティブなギャップについてのフリーコメント
- 想像していた以上に大変だと感じた。内科専門であるが、小児科、皮膚科、耳鼻科、眼科、外科、麻酔科の全てをこなさなければならない。(50代・男性)
- 想像以上に専門外の領域も診察する必要があり戸惑いましたし、自己流になることへの不安がありました。(40代・男性)
- ゆったりしているかと思っていたが、とても忙しい。(40代・男性)
- 通勤時間がかかる。(50代・男性)
- 勤務内容より患者の紹介先が限られる。(50代・男性)
実際に勤務してみて感じたポジティブなギャップについてのフリーコメント
- 地域密着型病院なので、住民と一体感を得られる点が良い。(70代・女性)
- 給与の増加。(40代・男性)
- 意外と困ることはなかった。(30代・男性)
地方勤務の魅力と課題
地方勤務のメリットとしては「地域医療に貢献できる(38.0%)」「自然環境が良い(33.5%)」が挙げられ、都市部では得がたい価値を見出す医師も少なくありません。一方で、最も多く挙げられた課題は「交通の不便さ(40.1%)」であり、現実的な生活面の支障が地方勤務を阻む一因となっています。


国の偏在是正策への期待は限定的
2024年12月に厚生労働省が発表した「医師偏在の是正策」に対し、「期待できる」と答えた医師は15.4%にとどまりました。理由としては、「現場の実態を把握していない」「強制力がない」「これまでもうまくいかなかった」など、厳しい声が多く聞かれました。

「期待できない」と回答した理由のフリーコメント
- 机上の空論で実態をきちんと把握していないと思うので。(60代・男性)
- ある程度の強制力がないと難しいと思う。(40代・女性)
- 今までうまくいったことがないから。(60代・男性)
- 対策をまとめたかもしれないが、私は知らない。だから効果があると思えない。(40代・女性)
- 具体的に給与アップやなんらかのメリットがないと変わらない。(50代・女性)
医師が考える地域偏在対策:「給与・報酬の改善」に注目
自由回答では、「給与の引き上げ」や「診療報酬による地域間格差の是正」など、金銭的なインセンティブを求める声が多く挙がりました。また、「へき地での研修支援」「専門科の偏在是正」「医師の配置制度の強化」など、実効性ある施策を求める声も寄せられています。ただし、配置の強制などがキャリアの選択肢を狭めないよう、バランスの取れた支援が求められます。
医師が考える「医師の地域偏在を解消するために必要な対策」
に関するフリーコメント
- 給与待遇の大幅な改善。(40代・女性)
- 医師が少ない地域の保険点数を上げる。(50代・男性)
- 専攻科を定数制にする。(60代・男性)
- 直美などの規制。(40代・女性)
- へき地での研修をもっとやりやすくする。(60代・男性)
- 資格を取ったり、維持したりすることが田舎でもできるようにした方が良い。(30代・女性)
この調査により、医師の大多数が地域偏在を実感しており、特に地方の医師不足や専門医の不在が深刻な問題であることが分かりました。
地方勤務に関心を持つ医師は一定数存在するものの、交通の不便さや勤務環境への不安が大きな障壁となっています。
また、政府の偏在是正策には厳しい声も多く、実効性ある支援やインセンティブの拡充が今後の鍵といえます。
医師の転職サポート歴40年のリクルートドクターズキャリアでは、専任のキャリアアドバイザーがお一人お一人に伴走し、ご自身のキャリアを自ら主体的に考え、自律的に歩んでいけるようサポートしています。満足のいく転職、そして思い通りのキャリアを実現するためにも、リクルートドクターズキャリアの活用をぜひご検討ください。
※本調査の詳しい調査結果は、こちらからご覧ください
https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news250328.pdf
この記事を読んだ方に
おすすめ

幅広く求人を検討したい方
非公開求人を紹介してもらう転職全般 お悩みの方
転職のプロに相談してみる
働き方を考える最初のステップとして、
現在の勤務時間を見直してみませんか?
常勤先での勤務や非常勤先のアルバイト時間を通算して勤務時間を確認し、
ワークライフプランナーとしてご利用いただけます。