医師の診療科偏在に関する実態調査 医師の8割超が「診療科偏在」を実感

記事公開日:2026年5月13日

株式会社リクルートメディカルキャリアは、「医師の診療科偏在」に関する調査(※)を実施しました。本調査では、診療科偏在について、現場で働く医師の認識や経験をもとに、その実態を明らかにしています。

(※)「リクルートドクターズキャリア」に登録している全国の医師318名を対象に調査を実施。
実施期間:2025年11月28日(金)~2025年12月5日(金)

医師の8割超が、診療科偏在を実感

医師数の総数は年々増加している一方で、医療現場では診療科ごとの医師数の偏り、いわゆる「診療科偏在」が従前より課題として指摘されています※。こうした背景を踏まえ、リクルートメディカルキャリアでは、全国の医師318人を対象に、診療科偏在に関するアンケート調査を実施しました。本調査では、診療科間の医師数の偏りに関する認識をはじめ、診療科選択の理由や偏在が生じる要因、是正に向けて求められる支援や取り組みに関する意見を収集し整理しました。
※出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436723_00015.html

医師に対し、現在の勤務先やこれまでの勤務経験の中で、診療科によって医師数に偏りがあると感じたことがあるかを尋ねたところ、「ある」と回答した医師は67.9%に上りました。また、「時々ある」を含めると84.0%となり、多くの医師が診療科偏在を実感していることが明らかになりました。
診療科区分別に見ると、「ある」または「時々ある」と回答した医師の割合は、内科系で83.5%、外科系で85.2%、その他の診療科で83.5%となり、診療科を問わず、多くの医師が診療科偏在を実感していることが明らかになりました。

あなたの勤務先やこれまでの勤務経験の中で、診療科によって医師数に偏りがあると感じたことはありますか 【診療科区分別】あなたの勤務先やこれまでの勤務経験の中で、診療科によって医師数に偏りがあると感じたことはありますか

※本調査における診療科区分は、以下の通りです。

  • 内科系
    • 一般内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、脳神経内科、糖尿病内科(代謝内科)、血液内科、感染症内科、心療内科 など
  • 外科系
    • 一般外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、乳腺外科、泌尿器科、産婦人科・婦人科、小児外科 など
  • その他の診療科
    • 小児科、精神科、救急科、麻酔科、放射線科、病理診断科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、リウマチ科 など

次に診療科偏在をどのような場面で感じたかを自由回答で尋ねたところ、当直や救急対応時などの日常の診療体制の中で実感しているという意見が多く挙げられました。

また、少人数体制で診療が行われている診療科や、特定の診療科で医師が不足しているといった現場の声も寄せられています。

どのような場面で診療科偏在を感じたかについての自由回答

※回答を一部整文しています

内科系医師からのコメント

  • 外科系医師不足(内科系/一般内科)
  • 産婦人科医員の減少で分娩休止、小児科医員の減少で小児救急休止など(内科系/消化器内科)
  • 当科2人体制ですが、主治医として受け持っている入院患者の数が多い医師の上位2人が当科だったとき(内科系/血液内科)

外科系医師からのコメント

  • 科によって当直回数が大きく異なる(外科系/一般外科)
  • 麻酔科は人が多く、勤務もほぼシフト制であるのに対し、外科系の医師は業務の引き継ぎという概念がそもそもないという場面。例えば、一つの手術中でも麻酔科医は時間になると当然のように医師が代わるが、外科医はそのようなことがない(外科系/心臓血管外科)
  • 他科が、院外で昼食事を取っているのを知ったとき(外科系/脳神経外科)
  • 地域によっては専門医が少なかったり、標榜科のある病院が少なかったりする時(外科系/脳神経外科)
  • 最近は比較的選択者が少ない診療科に進む人が多くなったと感じます(外科系/産婦人科・婦人科)

その他の診療科の医師からのコメント

  • 早く帰れる診療科とそうでない診療科。脳外の人数が少なくて冬にオペざんまい、ドクターがフラフラなのに、救急外来から緊急オペが回ってくる(その他/リハビリテーション科)
  • 内科が多くて外科が少ないので外科当直が回らない(その他/病理診断科)
  • 小児科が少ない(その他/小児科)
  • 余裕のある診療科は夏休みと年休を組み合わせて夏休みを2週間取っていたが、医師1人の科は体調不良の時でもほとんど休みを取れなかった(その他/病理診断科)

勤務負担や働き方に関わる項目が上位に 医師が考える「診療科偏在の要因」

診療科偏在の要因として最も大きいものを1つ選択してもらったところ、「診療科ごとの勤務負担の差(当直や緊急対応、体力的負担など)」が53.1%で最多となりました。続いて、「診療科ごとの勤務条件や待遇の違い」(17.6%)、「診療科ごとの医療行為の特性やリスク負担(医療訴訟リスク、高リスク業務の負担)」(16.0%)という結果でした。そのほかの項目では「診療科ごとの今後の需要見通し(開業のしやすさ・需要の持続性など)」が5.3%、「研修制度・専門医制度の仕組み」が3.8%、「キャリアの選択肢が増えたから(企業勤務など)」が2.5%となっています。
上記結果から、本調査回答者においては、診療科偏在の要因として制度や将来見通しよりも、日常の診療や働き方に直結する要素を選択する傾向がうかがえました。

診療科偏在は複数の要因が重なって生じていると考えられますが、その中で最も大きいと思う要因を1つお選びください

診療科選択では「専門性への関心」「やりがい」を重視。診療科区分による重視点の違いも明らかに

国における診療科偏在対策の議論では、研修制度や専門医制度が医師の進路選択に与える影響も論点の一つとされており、診療科偏在がキャリア形成のプロセスと無関係ではない可能性が指摘されています※。こうした背景を踏まえ、本調査では医師が現在の診療科を選んだ理由についても尋ねました。
その結果、全体では「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(50.9%)、「やりがいを感じられる」(49.1%)がいずれも約5割と高く、多くの医師が内発的な動機を重視して診療科を選択していることが分かりました。また、「社会的・医療的ニーズが高い」(25.2%)も一定数選択されています。
※出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436723_00015.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html

あなたが現在の診療科を選んだ理由は何ですか

診療科区分別に見ると、内科系では、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(51.1%)、「やりがいを感じられる」(49.6%)、「社会的・医療的ニーズが高い」(23.7%)が上位を占めました。また、「勤務条件のバランスが取れている」(15.8%)は、外科系(8.0%)やその他の診療科(11.0%)と比較して高く、診療科選択の理由として勤務条件を挙げる割合が相対的に高い点が特徴として見られました。
外科系でも、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(56.8%)、「やりがいを感じられる」(51.1%)、「社会的・医療的ニーズが高い」(19.3%)が上位となりました。一方で「勤務条件のバランスが取れている」(8.0%)は、内科系(15.8%)やその他の診療科(11.0%)と比べて低い割合にとどまっています。
その他の診療科では、「やりがいを感じられる」(46.2%)、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(45.1%)、「ワークライフバランスが取りやすそうだから」(30.8%)が上位3項目となりました。3位の「ワークライフバランスが取りやすそうだから」は、内科系(7.9%)、外科系(12.5%)と比較して高く、診療科選択において働き方に関する要素が相対的に重視されている傾向がうかがえます。
このように、診療科選択の理由には共通点が見られる一方で、3位以下を見ると診療科ごとに重視点の違いが存在することも明らかになりました。

【内科系】あなたが現在の診療科を選んだ理由は何ですか 【外科系】あなたが現在の診療科を選んだ理由は何ですか 【その他の診療科】あなたが現在の診療科を選んだ理由は何ですか

診療科偏在の是正に向けて医師が求める支援や取り組み

診療科偏在を是正するためには、どのような支援や取り組みがあると良いと思うかを自由回答で尋ねたところ、最も多く挙げられたのは、給与や評価の見直しに関する意見でした。
具体的には、当直やオンコール、緊急対応の頻度、高リスク医療行為への対応など、診療科にごとに業務負担の質や重さが異なる実態を踏まえ、業務内容や責任の度合いに見合った報酬水準やインセンティブ設計、評価制度の再構築が必要ではないかとする声が多く寄せられました。
一方で、給与・評価以外の観点からの意見も見られました。例えば、診療科ごとの医師数や専門医数の調整、医療機関の集約化など、人員配置の在り方そのものに踏み込んだ提案が挙げられています。また、柔軟な勤務体制の整備やワークシェアの推進、育児支援の拡充など、多様な働き方を前提とした環境整備の必要性を指摘する意見も寄せられました。
さらに、「具体的な有効策が思い浮かばない」「是正は難しいのではないか」といった意見も一定数見られました。

診療科偏在の是正に向けて挙がった声(要望・アイディア)

※以下は自由記述の要約であり、当社として特定施策を推奨するものではありません

給与・評価の見直しに関する声

  • マンパワーの補充が無理ならば、金銭面(特別手当、インセンティブ等)での解決しかないのだろう(外科系/脳神経外科)
  • 負担の大きい科にインセンティブをつけるべき(外科系/産婦人科・婦人科)
  • 細かな査定がなされ、労働の評価をすることが重要(外科系/脳神経外科)

人員配置・医師数の調整に関する声

  • 特定の病院への集約化で、専門医を集めて、数を確保する(内科系/一般内科)
  • 地域ごと、診療科ごとの定員を決めるべき(その他/病理診断科)

働き方・環境整備に関する声

  • 多様な働き方を認めること。給与面での差をつけて、その分多様な働き方を許容すること(その他/麻酔科)
  • 医師間でのワークシェア(内科系/糖尿病内科(代謝内科))
  • 託児や保育園等の育児支援サービス(外科系/心臓血管外科)
  • 夜間の勤務や拘束時間が多いのは仕方ないが、休みは休みとしてしっかり取れる取り組みが必要と思う(外科系/産婦人科・婦人科)

本調査のまとめ

本調査により、診療科を問わず多くの医師が、日々の診療や勤務の中で診療科偏在を実感している実態が明らかになりました。また、その感じ方や背景には診療科ごとの違いがあり、偏在の表れ方が一様ではないことも確認されました。診療科偏在の要因としては、勤務負担や待遇、医療行為の特性やリスクといった複数の側面が挙げられ、診療科選択の理由においても、「専門性への興味・関心」「やりがい」を重視する傾向が共通して見られる一方、診療科ごとに重視点の違いが見られました。さらに、是正に向けて求められる支援や取り組みとしては、給与や評価の在り方に関する意見を中心に、「人員配置」や「働き方・環境整備」など幅広い論点が提示されました。
今後、診療科偏在を考える上では、こうした医療現場の実感や診療科選択の背景に目を向けながら、医師一人ひとりのキャリアや働き方の在り方を丁寧に捉えていく視点が重要になると考えられます。
医師の転職サポート歴40年のリクルートドクターズキャリアでは、専任のキャリアアドバイザーがお一人お一人に伴走し、ご自身のキャリアを自ら主体的に考え、自律的に歩んでいけるようサポートしています。満足のいく転職、そして思い通りのキャリアを実現するためにも、リクルートドクターズキャリアの活用をぜひご検討ください。

※本調査の詳しい調査結果は、こちらからご覧ください
https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news260224.pdf

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