記事公開日:2025年12月23日
目次
株式会社リクルートメディカルキャリアは、「医療DXの導入実態と今後への期待」に関する調査(※)を実施しました。本調査では、導入状況や効果実感、働き方改革への影響、今後への期待や課題を多角的に明らかにします。
(※)「株式会社マクロミル」に登録している全国の医師873名を対象に調査を実施。
実施期間:2025年8月4日(月)~2025年8月12日(火)
医療DXの導入状況
医療DXに関する取り組みについて、勤務先医療機関で導入されているものを尋ねたところ、最も多かったのは「電子カルテ(56.7%)」で過半数となりました。次いで「e-learning/オンライン学習(18.3%)」「予約システム/診断スケジュールの電子化(16.7%)」「電子処方箋(15.8%)」が上位に並びました。一方で、「VR技術を活用した技術継承(1.9%)」「AIによる医療文書作成支援(4.5%)」「医療ロボット(8.6%)」の導入などの先進的な取り組みは1割未満にとどまっています。また、「あてはまるものはない」と回答した医師は27.9%に上り、約3割が「DX未導入」と認識している状況も明らかになりました。
しかし、これらの結果は制度上の普及率とは乖離している可能性があります。例えば、「オンライン資格確認」は厚生労働省によれば医療機関の9割以上で導入済み※ですが、本調査では13.7%にとどまりました。この差は、制度としては導入されていても、現場の医師には十分に活用されていない可能性があることを示しています。つまり、制度の普及と現場の運用状況との間にギャップが存在していることが、本調査から明らかになりました。
※出所:厚生労働省「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」(2024年12月22日時点)
※複数の勤務先がある場合、最も多く勤務されている医療機関で導入しているものを聴取
医療DXによる効果実感
先述したように、医療DXは制度上では広く普及しているものの、医療現場での導入状況は限定的でした。では、勤務先で医療DXが導入されているという医師は、どのような効果を感じているのでしょうか。医療DX導入による変化・効果を尋ねたところ、最も多かったのは「スタッフ間での情報共有の効率化(39.0%)」でした。次いで「書類等の入力時間の削減(34.7%)」「病病連携・病診連携の向上(31.8%)」と、医療DXが現場の情報伝達や事務作業の効率化、組織間の連携強化に一定の成果をもたらしていることが分かりました。一方で、「自身のスキル向上(17.6%)」や「患者対応の質の向上(21.5%)」は相対的に低く、医療DXもたらす効果は、まだ限定的であることもうかがえました。
※各項目の数値は「変化・効果をとても実感している」+「変化・効果を実感している」の割合
医療DXの働き方改革へのつながり
医療DXの働き方改革へのつながりについて尋ねたところ、全体では「とてもつながった(4.9%)」「つながった(33.9%)」を合わせて38.8%となりました。一方、「つながっていない(48.3%)」「全くつながっていない(12.9%)」を合わせると61.2%となり、働き方の改善を実感していない医師が多数派であることが分かりました。
年代別に見ると、30代以下では53.4%が働き方改革につながったと感じており、比較的高い割合を示しました。キャリア形成や子育てなどライフイベントが重なる時期において、医療DXの恩恵が働き方の改善に直結している様子がうかがえます。一方で、50代では67.0%がつながっていないと感じており、全年代で最も高い割合となりました。60代でもつながっていないと感じる割合が63.7%に上り、ベテランにとっては医療DXが必ずしも労働環境改善につながっていない現状が浮き彫りになっています。
医療DXが働き方改革につながったと感じる理由
医療DXが働き方改革につながったと感じている医師244人に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「業務分担が容易になった(33.6%)」でした。次いで「属人化された作業が減少した(30.3%)」「残業時間が減少した(27.9%)」「業務時間が短くなった(25.4%)」が続き、医療DX導入によって「業務の平準化」や「時間的な負担軽減」といった改善が一定程度進んでいる様子が明らかになりました。とりわけ、分担のしづらさや属人化は以前から医療現場で解消すべき大きな課題であり、デジタル技術の導入がそれを補完していることが分かります。
年代別に見ると、「業務分担が容易になった」はどの年代でも一定数選ばれており、年代を問わず幅広く効果が感じられていることがうかがえます。「業務時間が短くなった」は30代以下が43.6%と突出して高く、時間の短縮を強く実感していることが分かります。一方で、「属人化された作業が減少した」は50代以上が他の年代より高く、長年の経験や個人のスキルに頼ってきた業務がDX導入によって平準化されつつある実態が浮かび上がりました
医療DXは年代によって異なる側面で働き方の改善に寄与しており、若手にとっては「時間の短縮」、ベテランにとっては「属人化の解消」が主な実感として現れていることは、単なる業務効率化にとどまらず、それぞれのキャリア段階に応じた課題解決に役立っていることを示しています。
医療DXが働き方改革につながっていないと感じる理由
医療DXが働き方改革につながっていないと感じている医師385人に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「業務フローはほとんど変わっていない(68.1%)」、次いで「属人化された作業は減少していない(42.1%)」でした。これらは年代を問わず多く選ばれており、医療DXの導入が部分的な改善にとどまり、現場全体の働き方改革には十分に結び付いていない実態が浮き彫りになりました。
さらに、「業務時間が長くなった(13.0%)」「ITリテラシーの差による業務の混乱が起きた(10.6%)」に加えて、自由回答では「マシントラブルへの対応にかえって手が取られるようになった」といった声も寄せられました。このような結果から、医療DXの制度の普及と現場の運用状況との間のギャップを解消するためには、単なるツールの整備にとどまらず、導入後のトラブル対応やサポート体制を含めて、業務プロセス全体を見直すことが不可欠であることが分かりました。
今後の医療DXへの期待
医療DXの今後の発展について尋ねたところ、「非常に期待している(8.8%)」「ある程度期待している(46.8%)」を合わせた55.7%が「期待している」と回答し、医師の半数以上が医療DXの進展を前向きに捉えていることが分かりました。一方で、「あまり期待していない(31.4%)」「全く期待していない(12.9%)」は合計で44.3%という結果となり、期待が広がる一方で、現状の効果に物足りなさを感じたり、導入コストや運用負担を懸念したりする声が根強くあることがうかがえます。
年代別に見ると、40代は期待している割合が62.7%と最も高く、30代以下(58.2%)も全体を上回るなど、若手〜中堅層で期待が強い傾向が見られます。一方で、60代(51.6%)・70代(50.7%)は期待と非期待で二分される結果となりました。
また、数字だけでは見えにくい、医師の率直な思いも多く寄せられました。期待の多くは業務効率化やAIによる支援に向けられる一方で、費用負担や操作性など、日常の診療に直結する課題も少なくありません。以下、その一部を紹介します。
医療DXに対する医師の自由回答(一部抜粋)
- 事務作業が減り患者との対話が増える
- 全国で共有できるシステムだと良い
- AIが医師のサポートをしてくれる時代になる
- もっと使い勝手が良くなれば
- 機器に慣れていない高齢の医師の仕事を、若手がカバーしなくて済むような方策が欲しい
- 本当なら電子カルテデータは国内統一し共有してもらいたい
- 以前に比べればだいぶ改善されてきている気もしますが、「医療DX」は基本的に「事務方」の業務を楽にすることがメインで、現場の使いやすさが考慮されていないのが問題だと思っています
医療DXを「導入から活用へ」
厚生労働省が推進する医療DXの各施策により制度的な導入は広がりを見せている一方で、現場の医師には十分に活用されておらず、「働き方改革につながった」と感じている割合は限定的であることが本調査で明らかになりました。すなわち、制度の普及と現場での運用状況の間にギャップが存在しており、その解消こそが今後の重要な課題と言えます。今後はAIによる文書作成支援を通じたさらなる事務作業の負担軽減や、データ連携による病病・病診連携の強化、そしてオンライン診療や予約システムによる患者対応の効率化を現場で「使える」形に進化させていくことが求められます。また、ITリテラシーの差の解消やマシントラブルの対応といった課題を踏まえ、操作性の向上やサポート体制の整備も不可欠であると考えられます。こうした取り組みを積み重ねることが、医師の負担軽減や時間創出につながり、働き方改革と医療の質向上の両立を実現していくカギとなるのではないでしょうか。
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