記事公開日:2025年10月27日
目次
株式会社リクルートメディカルキャリアは、「医師の60代以降のキャリアと年収の展望」に関する調査(※)を実施しました。本調査では、医師が60代以降で希望する働き方や年収の見通し、不安の実態を明らかにしました。
(※)「リクルートドクターズキャリア」に登録している全国の医師393名を対象に調査を実施。
実施期間:2025年6月23日~2025年7月7日
医師の約4人に1人が「70代前半まで働きたい」と回答
「何歳まで働きたいと考えているか」を尋ねたところ、最も多かったのは「70代前半まで(24.2%)」という回答でした。さらに「70代後半まで(12.0%)」「80代まで(5.9%)」「生涯現役で働きたい(20.4%)」を合わせると、70代以降も働き続けたいと考える医師は全体の6割を超えることが明らかとなりました。
年代別に見ると、30代以下では約半数が「60代まで」と回答しました。その一方で「生涯現役で働きたい」という声も3割近くを占めています。
40代では「60代後半まで(24.7%)」が最多、50代では「70代前半まで(22.7%)」「60代後半まで(19.6%)」と、具体的な年齢を意識している回答が目立つ一方、「生涯現役」を望む層も一定数存在しています。
医師の働き方はどのように変化するのか? 年代ごとに見る現状と将来意向
現在の医師の働き方に注目すると、若年層ほど「常勤勤務(週4日以上)」の割合が高く、30代以下で78.6%、40代で78.8%、50代で74.2%と、常勤が主流となっています。
一方で60代になると「常勤勤務(週4日以上)」は64.1%、「定期非常勤勤務(16.4%)」をはじめとした、より多様な働き方が目立つようになります。70代以上では「常勤勤務(週4日以上)」は24.4%にとどまり、「定期非常勤勤務(46.3%)」や「スポット勤務中心(9.8%)」など、柔軟な勤務形態が中心となっています。
※複数の勤務先がある場合は、最も多く勤務している形態で回答
次に「60代以降も今の働き方を続けたいか」という問いに対して、40代以下では「このまま続けたい」と回答した割合は2割程度にとどまり、約半数が「今後は変えたい/変える予定がある」と答えています。
一方で50代では「このまま続けたい」が44.3%、「今後は変えたい/変える予定がある」が33.0%と、意見が二分しました。60代では「このまま続けたい(50.8%)」が過半数を占め、今の働き方を維持したいという意向が最も強くなっています。70代以上でも53.7%が「このまま続けたい」と回答しました。
6割の医師が「通勤の利便性」と「身体への負担軽減」を重視
今後の勤務形態を考えるうえで、医師はどのような点を重要視しているのでしょうか。最も多かった回答は、「自宅からの距離や通勤の負担面(60.8%)」と「業務内容が身体的に楽であること(60.8%)」でした。次いで、「自由な勤務日・時間の調整(56.0%)」「人間関係・雰囲気の良さ(51.1%)」も上位に挙がっています。
60代以降、望まれる収入水準とは?
現在の年収分布を見ると、30代以下では「1401万〜1600万円(23.8%)」が最多ながら、「1000万円未満」も1割以上存在しています。40代では「2401万円以上(24.7%)」が最も多く、50代ではさらにその割合が高まり28.9%が「2401万円以上」と回答しました。
一方で、60代では「1000万円未満(24.2%)」が最多、70代以上では過半数(58.5%)が「1000万円未満」となり、年齢が上がるほど収入が減少していく実情が浮かび上がります。
※複数の勤務先がある場合は、すべての収入を合算した額で回答
60歳未満の医師に「60代以降に希望する年収」を尋ねたところ、いずれの年代でも最も多かったのは「1000万〜1200万円」で、全体の2~3割を占めました。また、40代以下では「1000万円未満」を希望する回答も1割を超えており、収入だけではなくワークライフバランスを意識する姿勢もうかがえます。
※60歳未満のみ聴取
さらに、希望額を現在の年収と比較すると、「現在の年収維持」もしくは「現在より高い年収」を希望する医師は、どの年代でも合わせて約半数に達しました。
医師が“収入を維持したい”と考える理由とは
60代以降も現状と同等、もしくはそれ以上の収入を望む医師に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「生活レベルを維持するため(57.1%)」でした。次いで「生活費・教育費など、現実的に減らせない支出があるため(45.7%)」「将来の生活に不安があるため(42.9%)」と、日常の暮らしの維持や老後への懸念を背景とする回答が多数を占めました。
“減収でも許容”の裏にある働き方の価値観は?
次に「年収が減ったとしても許容できる理由」を回答者全員に尋ねた結果、70代を除くすべての年代で「無理なく働き続けられる環境の方が大事だから」「収入よりも自由な時間やライフスタイルを重視したいから」が高い割合を占めました。30代以下では「無理なく働き続けられる環境の方が大事だから」が7割を超えており、仮に年収が減ったとしても、“持続可能な働き方”ができれば許容できるという医師も少なからずいるようです。
また「収入よりも自由な時間やライフスタイルを重視したい」との回答はいずれの年代でも5〜6割と高く、特に40代では63.5%と最も高い結果となりました。70代以上では「医師としてできることで社会貢献をしていきたい」との回答が他年代に比べ際立って高く、61.0%に上りました。
一方で、「医師としての仕事に“やりがい”を感じており、収入は二の次だから」とした割合は、60代以下では2割未満にとどまりました。
医師の半数以上が抱える「60代以降のキャリア」への不安
医師に60代以降のキャリアに対し、不安があるかを尋ねたところ、「はい(55.0%)」と答えた医師が過半数を占め、「いいえ(22.9%)」や「分からない(22.1%)」を大きく上回りました。
不安の内容を具体的に尋ねると、最も多かったのは「体力や集中力の低下により、これまでと同じ働き方が難しくなること(64.4%)」でした。次いで「自分に合った働き方が見つかるかどうか(56.9%)」「収入面での不安(50.9%)」が上位を占め、これまでの働き方を変える必要性や、それに伴う収入変動への懸念が表れました。
いつまでも働き続けたい医師、悩む医師
医師として“働き続ける”ことについての率直な思いや希望を自由記述形式で尋ねました。多くの医師が、経験やスキルを活かして社会に貢献し続けたいという強い思いを抱く一方で、体力的・精神的負担、制度面の変化などへの不安も少なくないことが浮き彫りとなりました。
働き続けることに前向きな医師の声
- 自身の希望である医師という職業に就けた以上、自分の気が済むまで医師として生きていきたいと思うから。(30代/消化器内科)
- 医療福祉業界での人手不足が続くなかで、心身共に健康である間は、自分の体力や気力の続く限り、さらには必要とされる限りは働き続けたい。(60代/一般内科)
- 長年培った技術や知識は定年という区切りで投げ捨てるべきではなく、その後も活かしていく方が、社会的貢献になると考える。(60代/循環器内科)
将来に向けて懸念を抱く医師の声
- 医師の労働環境や待遇の改善が見込めないため働き続けるかは疑問。(40代/乳腺外科)
- 将来仕事があるか不安。(40代/呼吸器内科)
- 常に、医療知識の更新ができているか、不安はある。また、年とともに正確に判断できなくなるのではという不安もある。(60代/その他)
要望や提言
- 急性期ではなく、地域の患者さんに寄り添う医療をしたいと思っています。(30代/腎臓内科)
- 医師としての知識経験を活かせる場は、保険診療とは限らない。(60代/リハビリテーション科)
- 若い医師が優遇されるのは仕方がないが、医師としての実力、経験を評価してほしい。(60代/リハビリテーション科)
今回の調査からは、60代以降も自身のスキルや経験を活かして働きたいという強い希望と、年齢による変化に対する現実的な不安が並存していることが浮き彫りとなりました。 医師が長期的に無理なく働き続けるためには、柔軟な勤務形態の導入や年代に合わせた役割の再構築、さらに経験や専門性をきちんと評価する仕組みが不可欠です。60代以降も納得感を持って働き方を選び、次世代を支える存在として活躍し続けられるような環境を整えることが、今後の医療現場の持続可能性を高める鍵となるでしょう。
医師の転職サポート歴40年のリクルートドクターズキャリアでは、専任のキャリアアドバイザーがお一人お一人に伴走し、ご自身のキャリアを自ら主体的に考え、自律的に歩んでいけるようサポートしています。満足のいく転職、そして思い通りのキャリアを実現するためにも、リクルートドクターズキャリアの活用をぜひご検討ください。
※本調査の詳しい調査結果は、こちらからご覧ください
https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news250909.pdf
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