石川県の医療提供体制の推移としては、2004年に病院と診療所合わせての総医師数が2981人（人口10万人当たり254人（全国平均212人））であったところ、2018年に3247人（人口10万人当たり281人（全国平均245人））となり、266人が増加しました。人口10万人当たりの医師数は全国平均を上回っており、かなり高いレベルにあります。医療施設の数に注目すると、2004年の病院数が111（人口10万人当たり9.5病院（全国平均7.1））であったところ、2018年に94（人口10万人当たり8.1病院（全国平均6.6））となり、14年間で17病院が減少しました。また、2004年の診療所数が843（人口10万人当たり72診療所（全国平均76））であったところ、2018年に873（人口10万人当たり76診療所（全国平均80））となり、30診療所が増加しました。人口10万人当たりの病院数は全国平均を上回っており、診療所の数はほぼ全国平均レベルで、充足した医師数と合わせて盤石の医療提供体制にあるといえそうです。石川県の老人医療費は全国平均よりも高くなっており、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病対策など県民に対する予防医学の啓蒙と推進が課題で、予防医学分野に興味がある医師や地域医療に取り組みたい医師が求められています。産婦人科では女性医師の占める割合が圧倒的に多く、ライフステージに合わせて女性医師が辞めずに働き続けられる柔軟な勤務体制の整備に注力しています。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
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石川県の医師の平均年収は、2003万5800円となっています（労働者数193人、年齢50.7歳、勤続年数5.7年）。そのうち、「きまって支給する現金給与額」（所定内給与額＋超過労働給与額）は1967万8800円、「年間賞与その他特別給与額」は35万7000円です。なお、全国の医師の平均年収は1378万2900円であり、その内訳は「きまって支給する現金給与額」1260万4800円、「年間賞与その他特別給与額」117万8100円となっています。石川県には脳神経外科、眼科、皮膚科などの診療科がない地域もあり、小児科医、産科医、麻酔科医、精神科、外科、循環器内科のニーズも高くなっています。そうした医師を強く求める病院では、リフレッシュ休暇を含む福利厚生を充実させたり、スキルや貢献度による給与の交渉制度の実施、専門医資格を考慮した年棒加算、役職待遇の用意などを行ったりしているところもあります。
（出典：厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」）
石川県の20～30代の医師数は1046人となっています。そのうち、病院勤務は1016人、診療所勤務は30人です。全体に占める20～30代の比率は31.7％で、全国平均（30.2％）を上回る割合となっています。石川県には、金沢大学附属高校、金沢泉丘高校、小松高校などの進学実績に優れた教育機関があります。金沢大学医学部には石川県緊急医師確保修学資金貸与制度による募集枠があり、大学卒業後9年間（2年間の臨床研修を含む）、医師が不足している地域を中心に石川県知事が指定する石川県内の公立病院などに勤務した場合には、返還が免除されます。
（出典：厚生労働省「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」）
石川県の65歳以上の医師数は632人となっています。そのうち、病院勤務は277人、診療所勤務は355人です。全体に占める65歳以上の比率は19.1％で、全国平均（18.1％）を上回る割合となっています。なお、石川県の医師の平均年齢は50.1歳です。
（出典：厚生労働省「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」）
石川県の総人口（2015年）は約115万4000人ですが、2040年には99万人へ減少すると予測されています。一方、75歳以上人口は、2015年の15万3000人が、2025年にかけて20万7000人へと増加し、2040年には20万5000人へ減少すると予測されています。石川県は、金沢を中心に伝統文化と豊かな自然に恵まれた環境です。人口10万人対医師数では全国平均を上回っていますが、地域格差が大きく無医地区も存在する実状があり、医療環境の改善に向けた努力がなされています。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
石川県の1人当たり医療費（国保）は40万4000円、介護給付費は27万4000円であり、いずれも高くなっています。入院医療に関しては急性期・慢性期とも水準以上で、病院医師や看護師の数、一般病床や療養病床、精神病床の数の充実ぶりが目につきます。また、総医師数、全身麻酔数、療法士数、回復期病床数、診療所数も全国平均レベルであり、水準の低いカテゴリーが存在しない状況となっています。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
石川県の地域医療支援センターでは、金沢大学などと連携し、UターンおよびIターン就職、子育てが一段落した女性医師の復帰、定年退職した医師の再就職などを推進しています。また、県ではへき地における医師の募集・確保を含めた医療体制の支援が喫緊の課題となっており、地域医療を志す若手から中堅の医師を対象に、「石川県地域医療支援医師養成研修プログラム」を実施しています。能登北部地区をはじめとする自治体病院での2年の勤務を含んだ4年間のプログラムで、残り2年は県立中央病院や高度医療機関での研修となります。4年間を通して県立中央病院のバックアップが受けられ、期間終了後に継続して勤務することも可能です。