群馬県の医療提供体制の推移としては、2004年に病院と診療所合わせての総医師数が4094人（人口10万人当たり202人（全国平均212人））であったところ、2018年に4457人（人口10万人当たり226人（全国平均245人））となり、363人が増加しました。人口10万人当たりの医師数は全国平均を下回っているものの、絶対数は増えており、もう少しで標準レベルに達するところまできています。医療施設の数に注目すると、2004年の病院数が144（人口10万人当たり7.1病院（全国平均7.1））であったところ、2018年に130（人口10万人当たり6.6病院（全国平均6.6））となり、14年間で14病院が減少しました。また、2004年の診療所数が1511（人口10万人当たり75診療所（全国平均76））であったところ、2018年に1550（人口10万人当たり79診療所（全国平均80））となり、39診療所が増加しました。人口10万人当たりの医療施設の数はほぼ全国平均レベルであり、特に病院数が全国的に減少する傾向にある中で踏みとどまっていることは注目に値するといえそうです。臨床研修必修化がスタートして以降、徐々に県内の研修医数が減少。小児科や産婦人科だけでなく内科や外科でも医師数が減少し、基幹病院でも大学病院の派遣医師停止や開業などによる医師の減少により診療科の縮小や休止が生じています。そのため、県内に定着する医師の養成に本格的に乗り出しています。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
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群馬県知事 大澤 正明氏
群馬県は、関東平野の北西部、日本のほぼ中央に位置しています。尾瀬や谷川岳などの豊かな自然や、草津、伊香保、水上をはじめとする多彩で魅力的な温泉に恵まれているだけでなく、世界遺産である富岡製糸場と絹産業遺産群などの歴史文化遺産も数多く存在しています。
地理的にも、東京から１００ｋｍ圏、新幹線で１時間という恵まれた環境である上、高速道と新幹線など交通の結節点となっており、全国へのアクセスも優れています。
保健医療の面では、中学卒業までの子どもの医療費無料化にいち早く取り組み、全国トップレベルの手厚い内容で子育て世帯を支援するなど、県民が暮らしやすい環境の実現に取り組んできたほか、近隣県と連携したドクターヘリの運航などにより、救命率の向上や後遺障害の軽減に成果を上げてきました。
また、「群馬がん治療技術地域活性化総合特区」を推進し、大学、病院、企業の連携強化や、県内企業の医療分野への参入を促進するなど、医療・ヘルスケア産業の創出・育成や支援にも力を入れています。
一方で、本県の人口10万人当たりの医療施設従事医師数は２１８・９人であり（平成26年12月31日現在）、全国第30位にとどまっています。また、県庁所在地である前橋市の医療圏とその他の医療圏との差が大きいなど、医師の確保に加えて、地域偏在・診療科偏在の解消も大きな課題となっております。...
群馬県の医師の平均年収は、1759万3500円となっています（労働者数118人、年齢44.2歳、勤続年数6.2年）。そのうち、「きまって支給する現金給与額」（所定内給与額＋超過労働給与額）は1570万800円、「年間賞与その他特別給与額」は189万2700円です。なお、全国の医師の平均年収は1378万2900円であり、その内訳は「きまって支給する現金給与額」1260万4800円、「年間賞与その他特別給与額」117万8100円となっています。群馬県は、医師の県内医療機関への就業を支援するために積極的な施策を展開しています。小児科医や産婦人科を目指す医師への奨学金の貸与、後期研修で産科を選択する若手医師への支援、救急救命センターでの休日夜間勤務手当への補助、産科医の処遇改善のための分娩取り扱い機関への支援など、さまざまな方策が取られています。
（出典：厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」）
群馬県の20～30代の医師数は1135人となっています。そのうち、病院勤務は1071人、診療所勤務は64人です。全体に占める20～30代の比率は25.0％で、全国平均（30.2％）を大きく下回る割合となっています。群馬県では、出産などで離職した女性医師の現場復帰を支援するための再教育研修の整備や、院内保育所の整備なども行われています。また、中学生までの医療費を無料化。所得制限なし、自己負担なしで、入院・通院ともに中学校卒業までを対象とする都道府県の制度は全国で初めての取り組みで、トップレベルの手厚い内容となっています。
（出典：厚生労働省「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」）
群馬県の65歳以上の医師数は973人となっています。そのうち、病院勤務は317人、診療所勤務は656人です。全体に占める65歳以上の比率は21.5％で、全国平均（18.1％）を上回る割合となっています。なお、群馬県の医師の平均年齢は52.1歳です。
（出典：厚生労働省「令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計」）
群馬県の総人口（2015年）は約197万3000人ですが、2040年には163万8000人へ減少すると予測されています。一方、75歳以上人口は、2015年の26万2000人が、2040年には35万8000人へ増加すると予測されています。県西・県北の県境には豊かな自然があり、県南東には関東平野が開ける内陸県です。近年医師数は増加傾向にありますが、診療科目や地域によっては医師不足が依然として課題となっています。なお、県内には新幹線を含む複数の鉄道が走っていて、東京、北関東2県への交通アクセスは良好です。高崎市から東京駅は新幹線で約50分の近さです。前橋駅からは、新幹線を乗り継いで栃木県の宇都宮駅まで約1時間半、茨城の水戸駅まではJRで約1時間50分の距離です。車での首都圏へのアクセスも良好です。関越自動車道ならば前橋ICから練馬ICまで約60分、東北自動車道ならば館林ICから浦和ICまで約30分で到着します。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
群馬県の1人当たり医療費（国保）は33万2000円、介護給付費は25万7000円であり、医療費はやや低めです。入院医療に関しては、急性期・慢性期いずれも水準以上となっています。全身麻酔数はやや少ないものの、医師や看護師、療法士の数、一般病床や療養病床、回復期病床の数、診療所数などは全般的に充実しています。
（出典：日本医師会総合政策研究機構「地域の医療提供体制の現状（2020年）」）
群馬県では、医師の確保や、地域偏在、診療科偏在の解消を目的として、県、医師会、大学、県内医療機関などが連携したオール群馬体制で「ぐんま総合医会」を立ち上げ、研修医や若手医師の育成をサポートしています。地域医療の担い手となる医師を支援するため、地域医療枠制度（緊急医師確保修学資金）や、医学生や研修医を対象とした就学研修資金制度、ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパスの作成、子育て中の医師と保育サポーターの連携による仕事と家庭の両立支援など、多彩な方策を打ち出しています。