群馬県特集 地域別求人情報 先進医療から在宅医療まで多彩な取り組みが注目。首都圏とのアクセスも良好な群馬県で自分らしい活躍の場を見つける。

群馬県知事から医師の皆様へ

群馬県は、関東平野の北西部、日本のほぼ中央に位置しています。尾瀬や谷川岳などの豊かな自然や、草津、伊香保、水上をはじめとする多彩で魅力的な温泉に恵まれているだけでなく、世界遺産である富岡製糸場と絹産業遺産群などの歴史文化遺産も数多く存在しています。

地理的にも、東京から100km圏、新幹線で1時間という恵まれた環境である上、高速道と新幹線など交通の結節点となっており、全国へのアクセスも優れています。

保健医療の面では、中学卒業までの子どもの医療費無料化にいち早く取り組み、全国トップレベルの手厚い内容で子育て世帯を支援するなど、県民が暮らしやすい環境の実現に取り組んできたほか、近隣県と連携したドクターヘリの運航などにより、救命率の向上や後遺障害の軽減に成果を上げてきました。

また、「群馬がん治療技術地域活性化総合特区」を推進し、大学、病院、企業の連携強化や、県内企業の医療分野への参入を促進するなど、医療・ヘルスケア産業の創出・育成や支援にも力を入れています。

一方で、本県の人口10万人当たりの医療施設従事医師数は218・9人であり(平成26年12月31日現在)、全国第30位にとどまっています。また、県庁所在地である前橋市の医療圏とその他の医療圏との差が大きいなど、医師の確保に加えて、地域偏在・診療科偏在の解消も大きな課題となっております。

そのような中で、第15次群馬県総合計画では、「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」を基本目標として掲げ、医療・福祉の充実に力を入れているところです。

具体的には、県内のどこに住んでいても安心して医療や福祉サービスを受けられるよう、医療・福祉人材の育成・確保を目指し、地域医療に従事する医師が技術、知識、経験をしっかりと身に付けることができる環境の整備、子育て等をしながら従事する医師の負担軽減、さらには高校生や大学生といった医師を目指す若者の支援などを行っています。

また、「医療先進県ぐんま」を推進するため、群馬大学医学部附属病院に設置した重粒子線治療施設による最先端のがん治療やDMAT活動の充実を図るなど、県民ニーズに対応した高度・専門医療や救急・災害医療の提供に力を入れています。

これらの施策を実行するためには、何をおいても、医療現場で活躍してくださる医師の皆様の力が必要です。皆様方には是非一度群馬県にお越しの上、豊かな自然や温かい県民性といった本県の魅力を存分に感じていただき、県内での勤務を御検討いただければ幸いです。「魅力あふれる群馬」の実現のため、地域医療の担い手として御活躍くださる医師の皆様を、心よりお待ちしております。

群馬県知事 大澤 正明氏
1969年慶應義塾大学工学部卒業、1970年海上自衛隊幹部候補生学校卒業。尾島町議会議員(2期)、群馬県議会議員(4期)を務め、2006年に群馬県議会議長に就任。2007年7月に群馬県知事に就任し、現在3期目。
群馬県の構想区域
出典 : 群馬県「群馬県年齢別人口統計調査(平成26年)」

群馬県保健医療計画、地域医療構想のもと、地域に根ざした“顔の見える関係”をつくる

県内地域ごとにおける医療資源偏在の解決が課題

群馬県の人口は既に減少の局面にあり、2014年から2025年までのおよそ10年間で、県総人口は11・8万人減少、一方、2025年までに75歳以上人口は9・2万人増加することが予測されている。この10年は人口構成が大きく変化する転換期であり、疾病構造も変化。今後、慢性的な疾患や複数の疾病を抱える患者の増加が見込まれることから、将来の医療需要に対応した体制の整備が必要となってくる。

群馬県では既に『群馬県保健医療計画』(現在第7次)のもと、現状および将来への予測を鑑みつつ、県民への質の高い医療の提供を行っているが、さらに昨年、この医療計画に組み込む形で『群馬県地域医療構想』を策定。今後への課題解決を踏まえ、各種取り組みを開始した。

群馬県健康福祉部長の川原武男氏に、構想および群馬県における医療の現状と取り組みについて話を聞いた。

「本構想は、限られた医療資源を効率的・効果的に活用するため、将来の人口や医療需要の動向、あるべき医療提供体制の方向性について共有し、地域の実情に応じて主体的な取り組みを推進するものです。具体的には県内に10地域ある二次保健医療圏を構想区域として設定。各区域における病床機能区分ごとの必要病床数や在宅医療数等を推計し、地域医療構想調整会議の設置・運営を行うなどして、実情に応じた地域医療の充実を図っていくものです。既に本県では中山間部における医師不足など、医療資源の偏在も課題となっています。本構想への取り組みを通じて解決を目指したいと考えています」

顔の見えるネットワークで働きやすい環境づくりを目指す

地域医療構想への取り組みを含め、県の医療施策においては、『顔の見える関係の構築』が大切であると語る川原氏。

「地域における病病連携や病診連携、医療関係者と福祉関係者の連携など、ネットワークを活用した体制が今後の医療には欠かせません。さらに地域を越えた連携、時にはドクターヘリの運用等で県を越えた連携も必要です。そうした際には、お互いの顔が見えていることが非常に重要。県としては積極的にそれぞれが交流できる場を設け、顔を合わせる機会をつくりたいと考えています。地域医療構想調整会議もそうした場にしていきたいですし、各地域においても細やかに対応していきたいと思います。それにより医療に従事する方がストレスなく、効率的に仕事ができることで、より働きやすい環境づくりに寄与することを目指しています」

群馬県では、地域に根ざしつつ、県民の健康を守るため、急性期から慢性期にいたる幅広い分野で、注目すべき取り組みを多数行っている。さらに全体としては、中学校卒業までの子どもの医療費の無料化や、がん診療連携拠点病院の整備、健診受診率の向上等、幅広い領域で各種事業を推進している。

人口及び人口構成の推計
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来人口推計」
主な疾患の医療需要の推計
出典 : 群馬県地域医療構想(2015年を100とする)

群馬県健康福祉部長 川原 武男氏

先進医療、救急医療から在宅医療まで、多彩な取り組みで広がる医師の活躍のフィールド

重粒子線がん治療の推進統合型医療情報システムの運用も

2010年6月1日から、群馬大学重粒子線医学研究センターにおいて、一般向けの先進医療提供が開始された。同センターは県と群馬大学が共同で整備を進めてきたもので、国内では3カ所目(現在国内では5カ所)、大学病院に併設されるものとしては国内で唯一の施設となる。大学病院が有する多くの診療科や医療チームと密な連携を取れるのが、群馬県の重粒子線がん治療の特徴だ。

また同県では救急医療や災害時の救護活動を情報面で支えるものとして『統合型医療情報システム』を早くから運用している。これは24時間体制で医療情報を総合的に収集し提供するもので、中心となって運用を推進した川原氏は次のように語る。

「本県では救急搬送件数が右肩上がりで、かかる時間も増加傾向でした。そこでまず、病床の機能分担を推進。一般病床や療養病床への患者の振り分けを促進しました。そして医療機関や血液センター、救急車にタブレット端末を配備。医療機関が診療可能な科目や手術の可否、空きベッド数、特殊医療の情報、保管血液の有無等を入力し、救急車側と情報を共有。これによる救急搬送の効率化により、重症以上の搬送事案に占める4回以上の照会件数の割合も着実に減少しています。このシステムの活用で、各医療機関の救急医や当直医が孤立することなく、負担が軽減され、安心して働ける環境を構築できればと考えています」

この他、救急医療に関しては前橋赤十字病院を拠点にドクターヘリ1機を運用。重複要請時には栃木県や埼玉県との広域連携で対応している。さらにDMATも充実しており、中越沖地震や東日本大震災でも出動。全国トップクラスの実績を残している。

重症以上の搬送事案に占める4回以上の照会件数(不可3回以上)の割合
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来人口推計」

退院調整ルールを策定小児在宅医療も推進

同県では将来の医療需要に対応し、在宅医療へのスムーズな移行にも注力している。その取り組みの一つが『退院調整ルール』の策定だ。これは2015年度の国のモデル事業で、その後県事業とし継続している。

「策定にあたっては、各地域で医師会や病院等の医療関係者、ケアマネジャーなどの介護関係者双方の方に集まって顔を合わせていただき、県が取り持つ形で推進していきました。ここで“顔の見える関係”をつくったことで、地域における医療と介護の連携が非常にスムーズになったと実感しています。患者さんを受け渡す側の医師にとっても、安心できるのではないでしょうか」と語る川原氏。さらに群馬県では高齢者だけではなく、小児在宅医療の整備にも積極的に取り組んでいる。

「高齢者の在宅医療と違い、小児の在宅医療を必要とする患者さんは県内全域に点在しています。人工呼吸器を装着するなど、高度医療が必要な患者さんは、主に県立小児医療センターへ各地から通院している状況です。そうした方を地域でサポートできる体制の整備を目指し、医療・保健・福祉・教育・行政等の多職種連携強化のためのワークショップや、看護実習モデルを利用した実技研修等を行っています。なかなか一般の小児科医の方にも触れる機会の少ない分野だと思いますので、挑戦してみたいという小児科医にとっては、やりがいのあるフィールドではないでしょうか」

群馬県渋川地域における退院調整状況調査結果の推移
※資料提供:群馬県
群馬がはばたくための7つの交通軸構想

群馬県では各地域の自立促進と活性化を支援。持続的にはばたける地域づくりを図るために、高速交通網の効果を県内すべての地域や産業の発展に活かせるよう、高速交通網を補完する7つの交通軸の整備・強化を推進している。それが7つの交通軸構想だ。これにより交通渋滞の緩和とともに、経済・産業活動の基盤を強化。医療面では、県内4カ所の救命救急を担う三次救急医療機関(前橋赤十字病院・高崎総合医療センター・群馬大学医学部附属病院・太田記念病院)へのアクセスが強化され、所要時間が短縮する。また、中西部地域で実施しているドクターカーの効率もアップする。

群馬県ドクターズバンク(https://www.gunma-doctor.jp/drbank/)

レジデントサポート協議会を設置医師のキャリア形成も支援

医師のサポートに関し、同県では様々な取り組みを行っているが、その一つとしてレジデントサポート協議会がある。これは2011年に設置、臨床研修病院、群馬大学医学部附属病院、医師会、そして県が一体となった“オール群馬”の体制で、県内の臨床研修体制を充実させ、県内における臨床研修医や後期研修医の積極的な確保・支援を図るものだ。

「協議会では研修医の合同研修や世界的に著名な医師を招いての講演などを計画し、都心部の病院に負けない研修環境の整備に取り組んでいます。さらに若手医師のキャリア形成と、医師の県内定着や地域偏在の解消を図るため、群馬大学医学部附属病院と連携して地域医療支援センターを設置しました」

同センターでは若手医師のキャリア形成に関し、専任医師等が相談に乗るほか、医学生や高校生向けに病院見学・体験等を行っている。

「重症心身障害者の施設の見学や、訪問診療への同行も実施しています。60年間寝たきりの患者さんに接した若手医師から、自身が想像していなかった医療の現場を見て『目からウロコが落ちた』という声も聞かれました」

このほか、子育て世代の医師の支援のため、群馬県医師会が保育サポーターバンクを運営。ボランティアのサポーターを活用する取り組みは全国的にも注目されている。

「群馬県には幅広い医師の活躍の場があります。ぜひ本県で力を発揮していただきたいと思います」

群馬県の魅力満載スポット

群馬県は美しい山々や清流に恵まれた自然豊かな風土。それらを利用したトレッキングやラフティング、美しい紅葉散策、スキーなどのウインタースポーツ、さらにはゴルフ等、四季を通じて多彩なレジャーが身近で楽しめる。また古くから育まれた歴史文化遺産も多く、充実したオフを過ごすには好適な環境だ。