三重県特集 若手医師の登用、ICT活用、積極的な子育て支援など医師の負担を軽減しながら地域医療を充実させる取組が進む。

三重県知事から医師の皆様方へ 魅力あふれる三重県で地域の医療を
ともに考えてみませんか

三重県は、日本のほぼ中央の太平洋側に位置します。豊かな自然のもと一年を通して海・山・川の豊富な食材に恵まれ、古来より奥深い食文化を持つ「美し国」と称されています。豊かな自然の中で育まれた伊勢海老や牡蠣などの海の幸、世界に誇るブランド「松阪牛」などの特産品は、世界の人々を惹きつけてやみません。

また、三重県には、魅力あふれる観光スポットが数多くあり、観光で三重県を訪れる方は、1年間で4261万人にのぼります。悠久の歴史を紡ぐ、日本人の心のふるさと「伊勢神宮」、世界でも珍しい道の世界遺産「熊野古道伊勢路」、モータースポーツの聖地「鈴鹿サーキット」、三重県独自の伝統や文化を残す「海女」や「忍者」は、海外からも大いに注目を集めています。

三重県では、これまで医学部における地域枠の設定や医師修学資金貸与制度などの医師確保対策を進めてきた結果、過去10年間の医師の増加数(人口10万人あたり)は、全国平均が33・8人に対し、三重県は40・9人(全国11位)となるなど、県内の医師数は着実に増加しているところですが、三重県の医師数(人口10万人あたり)は223・4人と、全国平均の246・7人を下回るなど医師の確保は早急に対応すべき課題となっています。(厚生労働省平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計より)

医師の不足と偏在の解消には、勤務医負担軽減等の「医師不足の影響を当面緩和する取組」と医師修学資金貸与制度の運用や地域医療教育の推進等の「中長期的な視点に立った取組」を組み合わせた医師確保対策を総合的に進めていく必要があると考えています。

具体的には、2020年3月に策定した「三重県医師確保計画」に基づき、医師不足や地域偏在等の解消に向けた取組を進めており、「三重県地域医療支援センター」では体制の強化、充実を図りながら、県内の医療機関で勤務する若手医師のキャリア形成支援や専門医資格取得のサポート、医師不足地域への医師派遣調整を行っています。

また、地域医療の担い手の育成に向けて、「三重県地域医療研修センター」【METCH(Mie Education and Training Center for Community Health)】を紀南病院(所在地:御浜町)に設置し、「へき地は医者をステキにする」をテーマとして、医学生、研修医を対象に実践的な地域医療研修の機会を提供しています。

さらに、勤務環境改善に向けた取組として、三重県医療勤務環境改善支援センターを設置し、アドバイザー派遣などを行うことにより、医療機関の働き方改革を支援しています。

医師数に占める女性医師の割合が高まっている中、出産や育児、介護等により、医療現場を離れる医師も多いことから、保育施設の整備や短時間勤務制度の導入など、女性が働きやすい勤務環境への改善を促進するため、全国に先駆けて、2015年度に県の公的な認証制度である「女性が働きやすい医療機関」認証制度を創設しました。これまでに、18医療機関に対し認証を行っており、認証された医療機関からは、定年退職以外での離職者がいなくなった事例等、職場のモチベーションが上がり離職率が低下したといった声が聞かれるなど、男性も女性も働きやすい職場づくりを支援しています。

歴史・文化、観光、自然など魅力あふれる三重県で、地域の医療をともに考え、ご活躍いただける医師の皆様を、心よりお待ちしています。

三重県知事 鈴木 英敬氏
1998年3月東京大学経済学部卒業後、同年4月に通商産業省(現 経済産業省)入省。2008年2月から自由民主党三重県第二選挙区支部長となり、2011年4月三重県知事に就任。2015年4月および2019年4月に再選され、現在三期目を務める。

大多数の構想区域で医師数が全国平均を下回るなか
医師派遣やICT活用等で地域医療の充実を図る

救急医療に従事する若手医師の確保を急ぐ

三重県は4つの二次医療圏を8つの構想区域に分け、地域に密着した医療の提供を目指している(下図参照)。

同県の医療施設に従事する医師数は223・4人(人口10万人あたり)と全国平均を下回っており、診療所勤務の医師数よりも、病院勤務の医師数の方が全国平均との差は広がっている。こうした状況は二次救急をはじめとした救急医療に従事する医師の不足につながるとし、同県は医師修学資金を利用した医学生に対し、貸与額全額の返還を免除する条件に「救急告示病院を主とした病院での勤務」を加えるなど、若手医師の確保に向けて尽力している。

一方、構想区域別の医師数では、津区域以外はすべて全国平均を下回り、なかでも東紀州区域(東紀州医療圏)は厚生労働省の医師偏在指標で医師少数区域に分類されている。県も同区域を「三重県医師確保計画」において、特に医師の確保を図るべき区域と位置づけ、医師の派遣調整を最優先に行うほか、各種施策を実施している。

さらに伊賀区域(全域)や伊勢志摩区域の一部区域等を医師少数スポットに設定。地域枠出身の若手医師の活用など対策を進めている。

地域の中核となる急性期病院を既設医療機関の再編で設置

同県では、こうした区域の病院がICTを活用して大学病院等と連携し、遠隔地からのカンファレンス参加、CTやMRI画像の遠隔画像診断支援を行うといった取組に対し、環境整備を推進する補助制度を新たに導入する。

また、中小病院が多い桑員区域では大規模な急性期病院が必要とされ、公立1病院と民間2病院の段階的な再編・統合により、2018年に桑員地区の中核病院となる桑名市総合医療センターが開設されている(下図参照)。

このほか三重県ドクターヘリは、三重大学医学部附属病院と伊勢赤十字病院が2カ月交代で運航しているが、2018年度に和歌山県および奈良県と相互応援協定を締結し、ドクターヘリの要請が重複した場合に対応する多重のセーフティーネットを構築した。

三重県の構想区域と
医師偏在の状況

同県は南北に長く、一定の人口規模を持つ都市が分散しているため、より地域に密着した医療の充実を図る目的で、4つの二次医療圏(北勢、中勢伊賀、南勢志摩、東紀州)をベースに8つの構想区域を設定している。

構想区域ごとの人口10万人あたりの医師数

三重県の医師数(人口10万人あたり)は全国36位、病院では37位、診療所では20位。県南部の東紀州医療圏は、厚生労働省の医師偏在指標で医師少数区域に分類され、同県では三重大学医学部附属病院からの医師派遣、自治医科大学卒業医師や三重大学医学部出身の地域枠医師をはじめとした若手医師の配置など、 同地域の医療を支える施策に力を入れている。医師少数スポットは医師数が県内で最も少ない伊賀区域の全域のほか、伊勢志摩区域の一部にも見られる。

また、診療科で人口10万人あたりの医師数が特に少ない科は、麻酔科4.1人(全国47位)、救急科1.7人(全国43位)、小児科12.2人(全国35位)など。同県は医師の総数確保を図ると同時に、こうした診療科の専攻医の確保に向けて取り組むとしている。

(資料提供:三重県 『平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計』による)

桑員区域では公立病院と民間病院の統合で
地域の中核病院を開設

県独自の病床機能分析で医療機関の実態を把握
へき地の医師への支援や後継者育成にも力を入れる

「地域急性期」の概念を導入し医療機関ごとの役割を明確化

同県では、各地域の医療機関の診療実態に即した医療体制の構築を目指し、2018年度から病床機能に県独自の「地域急性期」の概念を加えている。

これは同県への病床機能報告で「急性期」と報告された病棟でも、高度な医療が中心の病棟、比較的軽症の救急患者も受け入れて在宅復帰に向けた支援を行っている病棟など、医療機関ごとに状況が異なっていたためだ。

そこで在宅復帰に向けた支援、比較的軽症の救急患者(在宅療養患者の急変時を含む)などが多い病棟を「地域急性期」と位置づけ、診療実績等をもとに再評価する同県独自の定量的基準を導入。これにより、高度急性期・急性期中心の病院、地域急性期・回復期中心の病院、慢性期中心の病院などの役割をより明確化できたとしている。

さらに同県は病床の機能転換等への支援制度も充実させ、実態にもとづいた医療機能の適切な分化・連携を促進するとしている。これは勤務する医師にとっても、職場の方向性や診療の目的がクリアになる効果も期待できる。

このほか前述のICT活用による地域医療支援、ドクターヘリの相互運用、病院再編による地域の診療水準の向上など医療体制の充実は、同県に勤務する医師の負担軽減につながっている。

へき地の医師が安心して働ける支援体制づくりに取り組む

地域医療の中でもへき地医療に従事する医師に対し、同県はへき地医療支援機構を通じて支援を進めている。
その一例が、へき地診療所に勤務する医師が休暇を希望する際に、代診医派遣の支援を行うもの。同機構がへき地診療所からの代診依頼の窓口となり、へき地医療拠点病院と調整し、同病院から代診医を派遣する形をとっている。

なお、代診の協力を申し出ている医師に対して、同機構から直接依頼するケースもある(下図参照)。

さらに県内にある無医地区およびそれに準ずる地区に対しては、へき地医療拠点病院等が隔週等のペースで巡回診療を行って医療を提供する。

オール三重で研修の充実を図るMMC卒後臨床研修センター

同県は次世代の医療を担う人材育成のため、臨床研修および専門研修の質の向上にも力を入れている。

臨床研修は、オール三重で研修の充実を図る目的でMMC卒後臨床研修センターを設立(下図下参照)。施設ごとの特長を生かしたプログラムを県内統一のシステムで管理して省力化を図り、指導医の負担軽減ときめ細かな指導の実現を目指している。さらに研修医が希望すれば、研修中の選択期間に他の病院でも研修が受けられ、これは病院の運営母体(民間・国立・公立・大学)に関わらず選べる点も特色だ。

また同県の専門研修は、形成外科を除く18基本領域のプログラムが用意され、三重県地域医療支援センターによるキャリア形成支援をはじめとした個別指導を充実させている。

へき地医療支援機構が
へき地診療所への代診医派遣を支援

実践的で多様性にとんだ臨床研修プログラムや
専門医取得プログラム

臨床研修プログラム

三重県内すべての基幹型臨床研修病院と関連病院、各種団体などが協力して運営するMMC(Mie Medical Complex)卒後臨床研修センターを中心に、臨床研修用にMMCプログラムを提供する。各施設の特色を生かした教育プログラムに加え、研修中に設けられた選択期間では、県内基幹型研修病院と一部の協力型病院で研修を受けることができる。

専門研修プログラム

三重県地域医療支援センターの専任医師が専攻医等の若手医師の相談に乗り、アドバイスを行うなど、専門医取得を支援する。また、同センターが調整役となり、地域の医療機関と中核病院とのローテーションで専門医を取得するプログラムも提供する。

医療従事者が働きやすい環境を目指し
医療機関への補助や認証制度で支援

県の補助制度で労働時間短縮や超過勤務抑制が実現した事例も

男女を問わず子育て中の勤務医がなるべく離職せずに済み、離職後も復職しやすい環境づくりに取り組む医療機関に対し、同県では選考のうえで補助金を交付するなどの支援を行っている(下図参照)。交付を受けた医療機関からは労働時間の短縮や超過勤務の抑制、職場環境の改善等、制度を利用した医師からは「子育てと仕事の両立につながった」などの報告もあったという。

また年々増加する女性医師をはじめ医療従事者には女性が多いことから、保育施設の整備や短時間勤務制度の導入など、女性が働きやすい勤務環境への改善を促進するため、同県は2015年度に全国に先駆けて「女性が働きやすい医療機関」認証制度を創設。

該当する医療機関を県が認証し、同県ホームページでも公表するなど社会的に評価される仕組みを整え、そうした環境の広がりを後押ししている。

2019年度末までに18医療機関を認証しており、認証された医療機関からは「職員のモチベーションが上がり離職率が低下した」といった声が多く聞かれ、なかには定年退職以外での離職者がいなくなった事例もあるという。

地域急性期を加えた適切な病床機能評価の試み、MMC卒後臨床研修センターによる実践的で多様性のある臨床研修の提供、「女性が働きやすい医療機関」認証制度の創設など、同県には独自の取組が多く見られ、地域医療の充実と医師の働きやすさを両立させるための施策に力を入れているといえるだろう。

子育て中などの勤務医が働きやすい環境を整備

子育て医師等への復帰支援に取り組む
医療機関に対して補助金を交付

県内の医療機関が行う子育て医師等復帰支援の取組に対し、県が選考のうえで、職場環境の整備等にかかる経費の一部を助成するための補助金を交付している。
取組例:短時間勤務の導入、子育て中の医師への宿日直の免除等を実現するための代替職員の確保、勤務時間中のベビーシッター雇用等の育児支援 など

女性が働きやすい医療機関認証制度の運用

女性が働きやすい勤務環境の改善に積極的に取り組んでいる医療機関を県が認証し、同県ホームページなどで広く周知している。当直免除、短時間勤務といった支援制度、保育施設の整備のほか、こうした制度・施設の活用を促す職場の雰囲気づくりなども評価の対象としている。

地域ごとに多彩な自然が楽しめる三重県での暮らし
中京圏・関西圏への良好なアクセスも魅力!

●北勢エリア
四日市市、鈴鹿市など製造業が盛んな都市がある一方、旧東海道の街道沿いには関宿(亀山市)のような古い街並みが残る地域も多い。北西部には鈴鹿山脈に代表される山地が連なり、登山や観光でも人気が高い。都市部での暮らしと自然豊かな環境の両方が楽しめ、アミューズメントスポットも充実。名古屋をはじめ中京圏へのアクセスも良好なエリア。
冬の御在所岳には樹氷や氷瀑が出現(菰野町)
●中勢エリア
エリア北部に同県の行政の中心地・津市、中部はブランド牛「松阪牛」の発祥地の松阪市があり、南部はユネスコエコパーク認定地域を持つ大台町のほか、美しい川や峡谷など豊かな自然に囲まれた町々が広がる。天皇に代わって伊勢神宮に仕えたとされる斎王の宮・斎宮跡(明和町)など貴重な日本遺産も。高速道路や鉄道で名古屋方面や関西エリアへの移動も便利。
紅葉と緑の湖面が美しい宮川ダム湖(大台町)
●伊勢志摩エリア
伊勢神宮を筆頭に歴史ある観光名所や貴重な自然が魅力。紀伊半島東部の沿岸部に位置する伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町にはリアス海岸の志摩半島や熊野灘、伊勢神宮の宮域林があり、伊勢志摩国立公園を形成する。エリア西部の玉城町、度会町は田園風景、清流や緑の山々が残り、川遊びも盛ん。伊勢えびからジビエまで海と山の恵みに満ちたエリア。
リアス海岸が広がる英虞(あご)湾(志摩市)
●伊賀エリア
県西部の山に囲まれた伊賀市、名張市は自然の豊かさとともに、滋賀県、京都府、奈良県と隣接するため関西圏のベッドタウンとしても人気。伊賀市は伊賀忍者や松尾芭蕉に縁の深い地域で、伊賀焼も有名。伊賀上野城を取り巻く城下町には歴史的建物も多く残る。名張市は赤目四十八滝、青蓮寺湖、香落渓など大自然が身近で、四季折々の景観が楽しめる地域。
高い石垣が見事な伊賀上野城(伊賀市)
●東紀州エリア
県最南部は熊野灘沿いに並ぶ紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町で構成され、伊勢神宮と熊野三山を結ぶ熊野古道伊勢路が南北を貫く。海も山もすぐ近くにあるエリアで自然とふれ合うレジャーが楽しめ、さんま寿司、えごま餅などの郷土食にも独自の文化が薫る。漁業や数十種類もの柑橘類の栽培が盛んなほか、国内有数の多雨地域で育つ尾鷲ヒノキも名産の一つ。
九鬼水軍発祥の地、九鬼町の魚港(尾鷲市)

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