長野県特集

長野県知事から医師の皆様方へ

「信州・長野県」は、3000メートル級の山々と清流が織りなす雄大な自然に包まれています。県内の77市町村には、気候風土に個性があり、雪の降り方や花の咲き方も異なります。長い歴史の中で育んできた文化や農山村の営みは、美しさと躍動にあふれています。

また、進取の精神に満ちたモノづくり産業、豊富な森林資源とバラエティに富んだ農畜産物、一人ひとりの力を引き出す信州教育など、暮らしを支える生活環境も本県の大きな魅力です。

さらには、平成22年(2010年)の本県の平均寿命は、男性が80・88年、女性が87・18年となり、男性は平成2年から全国1位を保ち続け、女性も初めて1位になるなど、日本一の長寿県としても全国から注目されています。

四季折々の美しく豊かな自然環境や地域性豊かな文化・伝統に恵まれるとともに、大都市圏とも近い長野県は、10年連続して「移住したい都道府県」第1位に選ばれているところです。

一方、人口減少社会の中で、本県では、その歯止めと地域社会の維持・活性化を図るため「長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略~信州創生戦略~」を策定し、様々な取り組みを進めており、その信州創生を実現する基盤として県内の医療提供体制を充実させることが重要であると考えています。

長野県における人口10万人当たりの従事医師数は、平成26年12月末現在で216・8人と増加傾向にあるものの、残念ながら、全国平均(233・6人)を下回っているうえ、診療科や地域間における医師の偏在が課題となっています。特に、産科については医師の不足により分娩を取り扱う産科医療機関が急速に減少しており、産科医を確保し、地域において安心して出産できる体制を確保・維持していくことが喫緊の課題となっています。

こうしたことから、本県では「信州医師確保総合支援センター」において、県内での就労を希望する医師に医療機関を紹介するドクターバンク事業を実施するとともに、県内で一定期間従事していただける産科医等に対して研究資金を貸与するなど、県外からお越しいただいた医師の皆様がこれまでの経験や技術を最大限生かせるよう全力でサポートしているところです。

医師の皆様方には、是非とも温かい地域の絆や健康長寿の風土が息づく「信州・長野県」にご家族でお越しいただき、信州ならではのライフスタイルのもと、本県の地域医療を支える医師としてご活躍いただきますよう御検討をお願い申し上げます。

「信州保健医療総合計画」の狙い

少子高齢化等による社会保障費用の増大など、近年の保健医療を取り巻く状況の変化に対応するため、限られた資源を重点的・効率的に活用し、一体的なサービスの提供体制の構築に向けて、保健医療に関連する7つの計画が一体的に策定された。

一体化された7つの計画
  • 第6次長野県保健医療計画
  • 健康グレードアップながの21
  • 第2期長野県医療費適正化計画
  • 長野県歯科保健推進計画
  • 長野県がん対策推進計画
  • 長野県自殺対策推進計画
  •  
  • 長野県の感染症の予防のための施策の実施に関する計画

「健康で長生き」を各施策の共通目標に

策定ではすべてに共通する基本方針と目指すべき姿として、「健康で長生き」の実現が設定された。男女ともに「長生き」全国1位(2010年都道府県別生命表)を実現し、今後は住み慣れた環境で、健康で長く暮らせるよう、健康寿命の延伸のために各施策の展開を図っていく。

  • 予防活動の充実と健康づくり
    生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に努めるとともに、高齢期における日常生活の自立を目指した身体機能の強化・維持、子どもの頃からの健康づくり、働く世代のこころの健康対策等を推進する。
  • 共助(ソーシャルキャピタル)を基礎とした支援体制の整備
    時間的にゆとりのない者や、健康づくりに無関心な者も含め、社会全体として相互に支え合いながら、県民一人ひとりが健康づくりに向けて取り組み、健康を守る環境を整備することを重視する。
  • 医療提供体制の充実・強化
    医療機能の適切な分化と連携を進め、地域全体で医療を支える体制の構築を目指す。また、各医療圏における医療提供体制を充実・強化するとともに、必要に応じ、隣接する医療圏との連携を図り、県民が身近なところで安全で質の高い医療サービスを享受できる体制を目指す。
  • 医療と介護(福祉)との連携
    社会全体の変化に対応し、保健・医療・介護(福祉)が相互に連携した切れ目のない保健医療体制を目指す。

資料提供:長野県

阿部 守一
長野県知事
1984年東京大学法学部卒業後、自治省(現:総務省)入省。2001年から長野県企画局長、長野県副知事、総務省過疎対策室長を歴任。2010年8月の長野県知事選挙で初当選し、同年9月に知事就任。2014年の選挙で再選され、現在2期目。

阿部 守一氏

県全体の基本方針に「健康で長生き」を掲げ、時代を先取る保健医療施策を進める長野県。

長寿を目指す取り組みをもとに今後は「健康で長生き」へ

男性80・88歳、女性87・18歳と、長野県は男女ともに平均寿命で全国1位(2010年 厚生労働省 都道府県別生命表)。その理由として野菜摂取量の多さ、高齢者の就業率が高く、生きがいを持って生活しているなどのほか、早くから減塩運動や地域での保健予防活動に取り組み、医療機関による保健活動も活発だったことが挙げられる。

長生きを実現した実績をもとに、同県が今後目指すのは「健康で長生き」できる体制作りだ。基本となるのは保健医療に関連する7つの計画を一体的に策定した『信州保健医療総合計画』(右下図参照)で、県全体の目標「健康で長生き」の実現に向けた保健医療施策を網羅する。

同県健康福祉部長で、医師でもある山本英紀氏は特に医療機能の分化について次のように話す。

「当県は地域全体で医療を支えるために医療機能の分化と連携を積極的に進め、2025年に必要とされるレベルに達した地域も出ています」

将来に向けた体制が整う中、同県は左下の医療施策などで、医師数の不足等の問題にも着手している。

長野県と全国の平均寿命の推移

資料提供:長野県

山本 英紀
長野県 健康福祉部長

山本 英紀氏

医療従事者が無理をしない勤務体制を整える

同県は都道府県の面積で全国4位の広さ。少子高齢化も進んでいる。

「この慢性的な医師不足の状況で医療を適切に提供するのは難しく、ともすれば医師の皆さんに負担をかけがち。しかし当県ではそれをなくし、より良い環境で働いてもらえる体制を整える施策を進めています」

現在、同県は待遇の充実に加え、業務外の精神的・肉体的負担の削減にも力を注いでいると山本氏。通常の勤務環境の改善に向けた取り組みに加えて、子育て中の医師へのサポートが手厚い医療機関には県が個別に補助を行っている。

「最近はお子さんが保育園で熱を出したら保護者の代わりにベビーシッターが迎えに行き、その方が勤める病院の病児保育に届ける『お迎え制度』を持つ病院もあり、そうした病院について、県が支援を行う取り組みを開始しました。今後も医師の負担を軽減する制度などを設けた医療機関を県が支援し、働きやすい環境を後押ししていきます」

自らも首都圏から長野県に家族で移住してきたという山本氏。

「自然が豊かで、本当に暮らしやすく子育てに最適な環境。皆さんにも当県での勤務を検討していただければと思います」

「信州保健医療総合計画」における医療施策

※主なものを抜粋

資料提供:長野県

地域により病院の数や機能が偏在 全医療圏で医師の絶対数が不足

地域医療構想が分析した各医療圏の特色とは

同県健康福祉部で医療施策全般の立案等を担う医療推進課によれば、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年、長野県では総人口のうち75歳以上が20%を超える見込みだという。この超高齢社会に向け、同課は二次医療圏をもとに「地域医療構想」の策定に動いている。

その資料から医療機関の分布を概観すると、県内を10に分けた二次医療圏のうち、佐久、松本、長野などには高度急性期・急性期を担う病院が多く分布し、上小には複数の回復期リハビリテーション病棟と療養病床を持つ大規模な病院が分布している。上伊那では地域医療再生事業により、公立3病院を中心に機能分化・連携が進んでいる。

その一方で、人口10万人当たりの医療施設従事医師数(下表参照)は、最も多い松本の346・4人に対し、最も少ない木曽は117・2人で、同医療圏では急性期から慢 性期までを一つの病院が担っている。このほか上小、上伊那、北信も少なく、これらの医師不足への対応が課題といえる。

しかし、これらの医師数を全国平均の233・6人と比べた場合、松本以外の医療圏はすべて平均を下回っており、松本も信州大学医学部の影響を除くと全国平均を割り込むため、全医療圏で医師が不足している状況といえる。

また在宅医療は、多くの医療圏で「訪問診療・往診のいずれか、または双方を実施している医療機関」が、「それらを実施していない医療機関」より多くなっており、特に木曽ではすべての医療機関が在宅医療を実施しているという。

同県に転任する医師には手厚い支援策を用意

このため同県では独自の人材育成制度を設けると同時に、即戦力となる医師を幅広く求めている。

その施策の一つが医師研究資金貸与事業で、これは県外から転任する分娩を取り扱う産科、循環器内科、脳神経外科などの専門医に対して研究資金を貸与し、一定期間を県内医療機関に従事することで返済を免除するものだ。

また女性医師には同県内でのキャリア形成に関する相談窓口、離職者への復職研修なども用意している。

最後に健康福祉部長の山本氏に、改めて今後の見通しを聞いた。

「当県は初期臨床研修先として人気があり、基幹施設の質も高く、地域医療に積極的に取り組んでいる医療機関も多いと自負しています。医師の皆さんの意識も大都市・大病院志向から、個人の価値観を重視した働き方へと変わってきています。当県での勤務を考える方は大歓迎で、円滑な転職や転居をきめ細かに支援します」

長野県の二次医療圏ごとの医療施設従事医師数

(単位:人)

※松本医療圏の信州大学を除いた人口10万人当たりの医師数 224.2人

長野県では二次医療圏として10の地域に分けて医療施策を進めている。例えば老年人口の増加には地域差が見られ、一部では老年人口が減少期に入っている地域もあるなど、それぞれの実情に応じた医療と介護の提供体制が求められる。しかし、ほとんどの地域で医師は不足しており、また地域偏在も進んでいるため、県主導での医師確保体制の強化も図られている。

人口10万人当たり医療施設従事医師数の状況

資料提供:長野県

出典:厚生労働省『医師・歯科医師・薬剤師調査』(平成26年12月31日時点)
二次医療圏の人口は、長野県『毎月人口異動調査』による

丁寧な行政サポートで40代以下の移住希望者も増加

新幹線の開通や延伸でアクセスがよくなり、首都圏からの通勤も可能な長野県だが、移住を検討する場合は県や市町村などが主催する移住セミナー参加のほか、東京、大阪、名古屋に常設の相談窓口の利用が便利だ。

「こうした行政サポートを利用した移住者は、2011年の456人から2015年は927人と倍増。またセミナーや窓口の相談も近年は40代以下の方が2/3を占めています」

丹羽氏がこう語るように、働きながら、子育てをしながら、自然が豊かな長野県で暮らす若年層は着実に増えている。

「相談では、気候や文化が多様な当県の中で、その方やご家族が希望される暮らしに合致した地域のご紹介もします」

さらに県内全域の空き家物件の情報を掲載した「楽園信州空き家バンク」の提供、移住や二地域居住の前後に役立つ特典やサービスなどが受けられる「楽園信州ファミリー制度」など、受け入れ体制はさらに充実。

「また移住・二地域居住の方が地域に溶け込むための支援を行う窓口として移住コンシェルジュを設け、行事や慣習の紹介もしています」

移住相談窓口

(相談は事前予約がお勧め)

東京
長野県移住・交流センター(銀座NAGANO 4階)
TEL:03-6274-6016
月〜日 10:00〜18:00
大阪
長野県大阪移住・交流サポートデスク(長野県大阪観光情報センター内)
TEL:06-6341-7006
月〜金 9:30〜17:00
名古屋
長野県名古屋移住・交流サポートデスク(長野県名古屋観光情報センター内)
TEL:052-251-1441
月〜金 9:30〜17:00

いずれも祝日、年末年始などは休業

移住希望者向けポータルサイト「楽園信州」

http://www.rakuen-shinsyu.jp/
丹羽 克寿
長野県企画振興部 地域振興課 楽園信州・移住推進室 室長

丹羽 克寿氏

観光お勧めポイント

移住したい都道府県ランキング10年連続1位に輝く「長野県」。日本のほぼ中央に位置しており、三大都市圏からのアクセスも抜群です。豊かな自然環境のもと「りんご」をはじめ様々な農産物が収穫されています。

なかでも注目を浴びているのが「NAGANO WINE」。県の中央に位置する「桔梗ヶ原」をはじめ、各地でワイン用ブドウが栽培され、生産量は日本一、またワイナリー数は全国第2位を誇ります。休日には個性がキラリと光るとっておきのワインを探し、ワイナリーに出かけてみてはいかがでしょう。(荻原誠信氏/長野県観光部観光誘客課)

(※)上記データは『意外と頑張ってます長野県』(長野県提供)より

世界級リゾートへ、ようこそ。山の信州

長野県では「世界級リゾートへ、ようこそ。山の信州」をキャッチフレーズに、世界レベルの長野県ならではの山岳高原観光や長野県の魅力を全国に向けて情報を発信し、県内への誘客を図っています。地域の郷土料理や旬の食材を使った料理を「信州山ごはん」として提供、宿泊・周遊キャンペーンを展開しています。この機会に長野県の魅力を体感ください。

この自然が日本一
  • 3000m級の峰の数(web site 信州 長野県公式ホームページ/長野県魅力発信ブログ 長野県は日本一)
  • 日本百名山の数(web site 信州 長野県公式ホームページ/長野県魅力発信ブログ 長野県は日本一)
  • 「癒し効果」がある森林数(NPO法人 森林セラピーソサエティ調べ(平成28年))
こんな楽しみが日本一
  • スキー場の数全国トップクラス(山岳高原観光課調べ(平成28年度))
  • 日帰り温泉施設数(環境省『平成26年温泉利用状況』)
クリーンな環境も日本一
  • 空気のきれいさ(環境省『大気汚染状況報告書』)
  • 1人1日当たりのごみ排出量全国最少(環境省『平成26年度一般廃棄物処理事業実態調査』)

のんびり、ゆったり、こんな楽しみも長野県ならでは

  • 「うさぎ平テラス」/白馬村の八方ゴンドラリフト兎平駅横、標高1400mの絶景テラスはゴンドラで行けて便利。

  • 湧水都市「松本市」/環境省「平成の名水選」に認定。市街地を散歩しながら「水巡り」が楽しめる。

  • 「とうじそば」/松本市奈川で親しまれる、とうじかごにそばを入れてつゆ(鍋)に浸して食べる冬の味覚。

(写真中・下 提供:長野県観光機構)