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妊娠に関する英語表現

外国人患者さんが訪れる頻度の高い診療科の一つが Obstetrics/Gynecology (OBGYN) 「産婦人科」です。
また pregnancy/childbirth は文化による影響が大きい医療分野であり、そこで使われている英語表現にも様々な慣用表現が存在します。
そこで今月は日本の医療者にはあまり知られていない「妊娠」に関する英語の表現をいくつかご紹介します。

いくつ知ってる? 「妊娠する」の英語表現

妊娠する」はご存知の通り getting pregnant と表現します。「ご懐妊ですよ」と伝えたい場合には “You are pregnant.” という表現の他にも “You have a baby on the way.” のような表現もあります。患者さんに出産の希望を尋ねたい場合、 “Are you happy with this?” のように直接的に尋ねる表現以外にも “Has this pregnancy come at a good time for you?” と間接的に尋ねる表現もありますので、それぞれ使い分けるといいでしょう。

ご主人は協力的ですか?」と尋ねたい場合、妊婦さんが必ずしも結婚している、もしくは男性のパートナーがいるわけではありませんので、 “Is your partner supportive of this pregnancy?” のように partner という表現を使うことをお勧めします。

この他にも「妊娠する」には様々な慣用表現が存在します。形容詞の pregnant には preggers の他にも、 knocked upup the duff というような慣用的な形容詞が存在します。特に後者の2つは unplanned pregnancy のニュアンスがある、かなりカジュアルな表現です。この他にも expecting や having a bun in the oven (「オーブンにパンが入った状態」=「妊娠している」)や、 eating for two (「自分と胎児の2人分食べている」=「妊娠している」)のような表現があります。

Padsicle って何?

日本では妊娠・出産においてOBGYN doctor 「産婦人科医」や midwife 「助産師」がそのケアに当たりますが、英語圏では doula という childbirth/delivery 「出産」のサポートを行う非医療者が存在し、近年日本でも「ドゥーラ」として、民間での認定が行われています。

日本では一般の人が妊娠週数ではなく、妊娠月数を使うことが一般的ですが、英語圏では妊娠週数に加え、「3ヶ月」を意味する trimester が広く使われています。妊娠期間である 40 weeks を 9 months と捉え、それを3分割して first trimester (Week 1-12), second trimester (Week 13-27), and third trimester (Week 28-40) と呼んでいます。

First trimester の代表的な症状である「つわり」は英語で morning sickness となりますが、吐き気が朝に限らず起こることは英語圏でもよく知られています。特に強いつわりは hyperemesis gravidarum妊娠悪阻」と呼ばれますが、英語圏では略語の HG が妊婦さんには使われます。つわりの対症療法として色々な食べ物が勧められますが、英語圏では ginger が特に有名です。

Second trimester では「お腹の張り」という症状が出てきますが、それが子宮の収縮によるものであれば cramping と、子宮を支えている円靭帯が引っ張られることによるものであれば round ligament pains と表現されます。この round ligament pains が鼠蹊部に至れば lightening crotch(crotch は groin を意味する名詞) のようにも表現されます。

Third trimester では pregnancy-induced hypertension (PIH)「妊娠高血圧症候群」が重要になりますが、英語圏ではこれを gestational hypertension とも呼びます。またPIHで蛋白尿を伴うものを日本では「妊娠高血圧腎症」と呼びますが、英語圏では preeclampsia子癇前症」という表現が広く使われています。

陣痛」は英語で labor contractionsですが、false labor contractions である「前駆陣痛」は英語圏では Braxton-Hicks contractions と呼ばれ、妊婦さんへの説明にも普通に使われています。

出産後の postpartum産褥期」では lochia悪露」が問題となりますが、英語圏ではこの対策として padsicle というものが使われます。これは「生理用ナプキン」である sanitary pad と「アイスキャンディー・アイスバー」を意味する popsicle を組み合わせた造語で、「冷凍庫で冷やした生理用ナプキン」のことです。

赤ちゃんが生まれたら「ベビーカー」が必要となりますが、これをそのまま baby car と表現すると「子供が乗るような小さなおもちゃの車」となります。英語ではこの「ベビーカー」を stroller などと表現するので気をつけてくださいね。