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骨に関する英語表現

「骨身に染みる」「骨と皮だけになる」「肉を切らせて骨を断つ」など、「骨」という単語は日本語の慣用句では数多く使われています。それは英語でも同じことで、 bone という単語は医学的な骨としての意味だけでなく、色々な意味で使われています。そこで今月はこの「骨」に関する英語表現をご紹介しましょう。

“To make no bones about it” ってどんな意味?

まずは日本語と英語でほとんど変わらない慣用表現をご紹介しましょう。日本語では「非常に痩せている」状態を「骨と皮」のように表現しますが、英語ではこの順番が逆になってskin and bones と表現します。また日本語の「骨の髄まで」という表現は、英語では to the backbone のように「背骨まで」と表現されます。日本語の「骨身に染みる」という表現は「寒さ」に関しては英語でも chilled to the bone のように「骨に染みるくらい寒い」として使われますが、 “Feel it in your bone.” のように使われた場合には「直感で理解しろ。」という意味になり、 “That was close to the bone.” と言えば「さっきの話はきわどかったよね」のように「核心に迫りすぎている」のような意味になります。

また日本語と英語で骨に関する印象が異なるために、日本人にはわかりにくい英語表現もあります。英語の bone には「乾いている」というイメージもあるため、「ひどく乾いている」様子は dry as a bone のように「骨のように乾いている」と表現されます。また「論争の元」のことを英語では bone of contention 「論争の骨」のように表現します。おそらくは「犬が骨を巡って争う」という様子から生じた表現だと思いますが、これもまた日本語にはないイメージの表現と言えます。わかりづらいと言えば「正直に言うと」という意味で使われる “To make no bones about it,” という表現でしょう。これは英語母国語話者でも語源のイメージが湧かない表現ですが、日常会話の中ではよく使われる慣用表現です。

“You’ve tickled my funny bone.” ってどんな意味?

では次に代表的な骨の「一般名」をご紹介しましょう。「頭蓋骨」 cranium は skull となります。「胸骨」 sternum は chest の真ん中に位置するにもかかわらず breastbone となります。「肩甲骨」 scapula は「肩にある刃物のような骨」であることから shoulder blade となり、「鎖骨」 clavicle は「襟にある骨」ということで collarbone と呼ばれます。「上腕骨」 humerus は humor という言葉に近いこともあり funny bone と呼ばれ、tickle one’s funny bone は「笑わせる」という意味になります。この funny bone のちょうど下には「尺骨神経」があって、肘をドアなどにぶつける際に痺れることがありますが、この上腕骨の下にある尺骨神経をぶつける動作も英語では hit one’s funny bone のように表現します。

この他にも「大腿骨」 femur は「太腿の骨」ということで thigh bone と、「脛骨」 tibia は「脛の骨」ということで shinbone と呼ばれます。ちなみに英語で leg と言うと解剖学的には「膝」 knee から「足首」 ankle までの部位を指しますが、英語圏の一般の方は「下肢全体」のことを leg と表現しますので注意してください。

「シーネ」は英語で何と言う?

では最後に骨に関する医学的な表現をご紹介しましょう。「骨折」は fracture もしくは bone fracture と表現されます。「毛髪骨折」 hairline fracture は一般の方には日本語で「骨にヒビが入る」のように表現されますが、英語でも同じように a crack/break in a bone のように表現されます。

骨折の治療には一般的に「内固定」と「外固定」が行われます。「内固定」である「観血的整復固定術」は open reduction and internal fixation となり、この頭文字から ORIF (「オリフ」のように発音)と呼ばれます。また「外固定」の 「ギプス」「シーネ」「装具」はそれぞれ cast, splint, and brace のような英語となります。特に「ギプス」と「シーネ」はカタカナとして定着しているためか、これらの英語表現は日本の医療現場では普及していない印象がありますので、これを機会に覚えておいてくださいね。