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新型コロナウイルスに関する英語表現

新型コロナウイルス感染拡大で世界が揺れています。我々の生活全般が大きな影響を受ける中、英語圏でもこれまであまり使われなかったような表現がメディアで数多く使われたり、新たな表現も生まれています。そこで今月は「新型コロナウイルス」に関する英語表現をご紹介します。

SARS-CoV-2 はどう発音する?

まずは基本的な表現から見ていきましょう。「新型コロナウイルス」は英語では novel coronavirus となり、「新型コロナウイルス感染症」は COrona-VIrus Disease-2019 の省略形である COVID-19 となります。

なぜこのウイルスが coronavirus という名前かというと、表面にある無数の突起が corona(「王冠」や「太陽の周りの光の輪」の意味)を想起するところから coronavirus と呼ばれるようになったのです。(皆さんご存じの「冠動脈」の coronary artery も同じ由来です。)

また今回の「新型コロナウイルス」自体には Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2SARS-CoV-2) という名称もついています。ただこの SARSは日本語の文脈では「サーズ」と発音されるので、Systemic Inflammatory Response Syndrome の略語である SIRS と同じように発音されてしまいます。しかし英語の SARS と SIRS の発音は異なるので注意してください。誌面でこの2つの発音を説明するのは難しいですが、敢えて言えば SARS は日本語の「サーズ」に近く(同じではありません!)、SIRS は男性への呼びかけに使われる Sir に「ズ」をつけるような発音になります。またCoV-2 は「コゥヴィートゥー」のような発音となります。

「オーバーシュート」は overshoot でいいの?

最初に武漢 Wuhan で感染が広がった際、メディアではzoonotic transfer「動物由来感染」という表現が頻繁に使われていました。そこでは感染の原因となった動物を culprit として探していました。この culprit には「罪をとがめられるべき対象」というイメージの単語で、今回の coronavirus pandemicでよく目にするようになった印象があります。

世界中で death roll死者数」の数が拡大するにつれ、日本では「オーバーシュートを防ぐ」という表現が使われるようになりました。ただ英語の overshoot は「的を上方に大きく外す」というイメージの動詞で、英語圏の人にもわかりづらい表現です。英語圏では「オーバーシュートを防ぐ」という意味としてはむしろ flattening the curve 「カーブを平らにする=上昇率を低下させる」という表現の方がよく使われている印象があります。

また「基本再生産数」である reproductive rate という表現もよく目にするようになりました。この略語である R0 ですが、英語では r zero や r oh ではなく、「ゼロ」を意味する nought を使ってr nought と発音されるのが一般的です。

「外出自粛」や「買い占め」って英語で何と言うの?

日本では「外出自粛」という表現が名詞としてよく使われますが、英語圏では stay at home という動詞がよく使われています。ここから海外で発令されている「自宅待機命令」には stay-at-home order という表現が使われています。

また「自宅待機」には self-quarantineself-isolation という表現が使われます。この2つはほとんど同じように使われるのですが、前者には「自分が感染しているかわからないので自宅で様子を見る」という意味があるのに対して、後者の方には「自分が感染している可能性が高いので他の人に感染させないために自宅隔離する」という意味があります。

最近では日本語でも使われるようになった social distancing ですが、これは「周囲の人と一定の距離を取る」という意味です。日本では「人との距離」として2 meters が目安とされていますが、feet を用いる米国では 6 feet(約1.8 m) が目安となり、レジを待っている際には 6 ft 間隔で並ぶように目印がつけられています。

日本でも見られた「買い占め」ですが、これは hoarding と呼ばれ、「スーパーマーケットで買い占めをする人」は supermarket hoarder のように呼ばれます。最近ではこういった買い占めをする人や、自宅待機をせずに自由に外出するような人を揶揄して covidiot という造語まで現れました。これは COVID に「愚か者」を意味する idiot を組み合わせた表現です。

このように様々な形で我々の社会に大きな影響を与えている COVID-19 ではありますが、healthcare collapse医療崩壊」を防ぐためにも、現在は一人ひとりの行動が問われている重要な局面と言えます。