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喉に関する英語表現

今年も「喉の痛み」を訴える患者さんが増える季節を迎えました。
英語で「喉の痛み」は pain in the throat ではなく、sore throat と表現します。
この sore には「ひりひりと痛む」というイメージがあり、sore muscles 「筋肉痛」や sore eyes 「目の痛み」のようにも使われます。
この sore throat はかなり有名な表現ではありますが、「喉」に関しては他にも日本人にはあまり知られていないたくさんの英語表現があります。
そこで今月は「喉」に関する英語表現をいくつかご紹介します。

まずは一般の人が使う throat を使った慣用句 idiomsをいくつかご紹介しましょう。下記の2つの表現の意味を下線部に注意して考えてみてください。

1. No matter how much we go at each other's throat,
  we always get back together.
2. Doctor, I have a frog in my throat.

いかがですか?では順にご紹介していきましょう。

1.「どんなにいがみ合っても、結局いつも俺たちはヨリを戻しちゃうんだよ。」

英語の throat には「弱い所」「急所」というイメージがあります。したがってこの at each other’s throat には「互いの弱いところを狙う」、つまり「激しくいがみ合う」というイメージがあるのです。同じように to jump down one’s throat という表現もあり、これには「(強い者が弱いものを)激しく叱りつける」というイメージがあります。

2.「先生、喉の調子が悪くて声が出ないんです。」

この to have a frog in one’s throat と聞いて、「カエルが喉にいるのだから、喉に何か詰まっている」という意味だと考えた人が多いのではないでしょうか?
実はこれ「カエルの泣き声のような声しか出ない」というイメージの表現で、具体的には「嗄声hoarseness や「phlegm/sputum が絡んだ状態を意味します。(ちなみに phlegm が一般英語で、sputum は医療者が使う医学英語です。)
これに対して「喉に何か詰まっている」感覚は globus sensation 「喉に globus(球)が入っている感覚」と表現します。
英語で「しこり」のことを lump と表現しますが、これを使った to have a lump in one’s throat という表現もあります。これも「喉に何か詰まっている」という意味になるのですが、どちらかというと「感動や悲しみのあまり喉が詰まって声が出ない」というイメージで使われて、日本語でいう「胸がいっぱいで声が出ない」という表現と近いものになります。

では次に「喉の痛み」 sore throat に関する英語表現をいくつかご紹介しましょう。
この sore throat の鑑別として重要になるのが「溶連菌咽頭炎」ですが、これは一般的に strep throat と呼ばれます。streptococcal pharyngitis の一般英語で、英語圏では幅広く使われている表現です。
この strep throat 以外にも様々な疾患が sore throat を引き起こしますが、もし原因が「喉頭蓋炎」 epiglottitis の場合には stridormuffled voice などの症状を引き起こします。
前者は「上気道が狭くなっている際に聞こえる異常呼吸音」として有名ですが、後者は「何かで口を覆う(muffle)ように聞こえる声」という意味になります。
ただし日本語の「マフラー」は英語では scarf となります。日本語のままに muffler と表現しても、それは車の後ろについている「マフラー」の意味にしかなりませんのでご注意を。
もし sore throat が「扁桃周囲蜂窩織炎・膿瘍」 peritonsillar cellulitis/abscess が原因であった場合、患者さんは痛みを和らげるために口を開けたまま話す独特の声の出し方をします。この声の出し方を英語では hot potato voice と表現します。「口の中に熱いジャガイモを入れたまま話す時の声」というイメージで、一度覚えたら忘れない英語表現と言えますね。