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身体名を使った英語の慣用表現

日本語には「足を引っ張る」という表現があるため、英語で “I was just pulling your leg!” と聞くと「お前の足を引っ張ろうとしたんだよ」と誤解する人が多いのですが、実はこれは「からかっただけだよ」という意味なんです。
英語の to pull one’s leg には「歩いている人に足を出してつまずかせる」というイメージがあり、そこから「人をからかう」という意味の慣用表現として使われています。
このように英語には身体の名称を使った慣用表現が数多く存在します。
今回は医師が知っておくと役に立ちそうなものをいくつかご紹介しましょう。

「経験則」は何の法則?

ではクイズです。次の4つの文のカッコに入る身体名を考えてみてください。いくつわかりますか?

1. As a rule of (   ), I don’t eat past 9.
2. He’s such a pain in the (   )!
3. Keep trying until it is accepted. Put your (   ) into it!
4. The new chief resident is known to be pretty hard-(   ).

1. As a rule of (thumb), I don’t eat past 9.
「自分は一般的に言って、夜9時以降は食べないんだ。」
rule of thumb は「親指の法則」、つまり親指を使って長さを測るような「大雑把な経験則」を意味します。会話の中で頻度がかなり高い慣用句と言えます。

2. He’s such a pain in the (neck)!
「あいつ、本当に面倒くさい!」
日本語でいう「悩みからくる頭痛」に一番近いのが、このpain in the neck という表現です。この neck には他にも「お尻」を意味する ass なども使われますが、皆さんは使わないようにしてくださいね。

3 .Keep trying until it is accepted. Put your (back) into it!
「アクセプトされるまでやってみろよ。本腰入れろ!」
この to put your back into it は a tug and a pull「綱引き」をイメージするとわかりやすいでしょう。腕や脚だけで綱を引いている状態から to put your back into it 「背中を後に傾けることで綱を引く力に加える」ことでより力が入ります。つまり「これから本気を出す」「本腰を入れる」という意味になるのです。

4. The new chief resident is known to be pretty hard-(nosed).
「新しいチーフレジデントは押しが強くて有名なんだよ。」
この hard-nosed という表現は「(弾丸のようなものの)先端が硬い」というイメージを持つとわかりやすいでしょう。そこから「最後までやり遂げるくらい意志が強い」「問題を解決するために現実的な手段を取る」「なかなか引き下がらない」という意味で使われます。

身体の中で「高価」な部位は?

ではもう4つ考えてみてください。

5. I don’t really have a plan this weekend, I’m just going to play it by (   ).
6. The school fees for the kids must be costing an (   ) and a (   ).
7. The patient needed to talk about his financial concerns and get it off his (   ).
8. Don't be afraid to ask the senior for help if you feel you are in over your (   ).

5. I don’t really have a plan this weekend, I’m just going to play it by (ear).
「週末は特に予定がないので、適当に過ごすよ。」
to play it by ear は「音符を見ないで演奏する」、つまり「耳コピをする」という意味です。そこから「臨機応変に行動する」という意味でも使われます。

6. The school fees for the kids must be costing an (arm) and a (leg).
「あの家の子たちの学費はとんでもなく高いと思うよ。」
英語ではとんでもなく高価なものへの代償の例えとしてan arm and a leg「腕一本と脚一本」が使われます。

7.The patient needed to talk about his financial concerns and get it off his (chest).
「患者さんはお金の心配について話してスッキリしたかったんだよ。」
日本語でも「胸のつかえが取れる」と表現しますが、to get it off one’s chest はまさにそのようなイメージの表現です。

8.Don't be afraid to ask the senior for help if you feel you are in over your (head).
「自分の手に負えない時は遠慮せずに先輩に聞いてくださいね。」
日本語では「手に負えない」と表現しますが、英語では in over one’s head と表現します。また “That went straight over my head. Could you say that again?” となると「右の耳から入って左の耳へ抜けていく」「頭に全く入らない」という意味になりますのでご注意を。