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医療職に関する英語表現

皆さんは「コメディカル」を、英語でどのように表現しますか?
日本語で使われる「コメディカル」や「パラメディカル」をそのまま英語にしても、これらは和製英語ですので、英語で表現する際には注意が必要です。
そこで今月は日本人にあまり知られていない医療職に関する英語表現をご紹介します。

気をつけたい「コメディカル」の英語表現

では下記の2つの医療職名を英語で考えてみてください。

1 .コメディカル 2 .指導医

いかがでしたか? では一つずつ見ていきましょう。

1.allied healthcare professionals

英語圏のオフィスでは “I am an ally.” というサインを見かけます。この場合のally(「アラィ」のように発音します)は「LGBT支持者」を意味しています。このように ally には「目的を同じにして共同する」というイメージがあります。ここから転じて「医師、歯科医師、看護師以外の医療職」には allied healthcare (health) professionals という表現が使われます。ただ英語圏ではこういった allied healthcare professionals は医師と全く対等な立場でコミュニケーションを取るため、「コメディカル」のようにひとまとめにして表現されることは稀で、それぞれ physiotherapist「理学療法士」や social worker「ソーシャルワーカー」のように独立して言及されることが一般的です。日本語をそのまま英語にした co-medical というのは和製英語で英語ではありませんし、paramedical は「救急救命士」emergency medical technician (EMT) の最上級の資格である EMT-Paramedic と誤解される表現ですので、使わないようにしましょう。

2.attending doctor/consultant

米国では「研修医」residentとしての研修を終えた後、chief resident を経験してから「専門医」fellow としてさらに研修を積みます。その後「指導医」になるわけですが、米国ではこの「指導医」を「患者に寄り添う担当医」を意味する attending doctor と表現します。実際に患者に寄り添うのは「医学生」student doctor や「研修医」 resident であり、attending doctor はチームの指導と他科へのコンサルティングが主な業務となります。ですので英国の「指導医」は実際の業務内容に沿ってそのまま consultant と呼ばれています。

PA, NP, RN, and DO? 日本では馴染みのない医療職の肩書き

では次に下記の2つの英語での医療職名が実際にどのような業務を担当するか、考えてみてください。

3 .Chaplain 4 .PA

いかがでしたか? ではこちらも一つずつご説明しましょう。

3.チャプレン

英語では「チャプラン」のように発音されますが、これは英語圏の医療現場では「スピリチュアルケアの専門家」として認識されています。日本語で「スピリチュアルケア」と聞くと、一部には「新興宗教による気休め」のようなイメージを持たれがちですが、英語圏では「宗教の専門知識を持つグリーフケアの専門職」として、病院では欠かすことのできない医療職と認識されています。同じように日本ではまだ認知度が低いものの、英語圏では欠かせない医療職として CLS というものもあります。これは child life specialist の略で、入院などで医療機関に滞在する子どもに対して心理的、社会的なサポートを提供する専門職です。

4.physician assistant: フィジシャンアシスタント

こちらも日本にはない米国の医療職です。高校を卒業した後、4年間の専門教育を経て獲得することができる医療職で、医師の指導の元で日本の研修医とほぼ同じような内容の医療行為ができます。このPAとほぼ同じような医療行為ができるのが NP です。これは nurse practitioner の略で、こちらは「正看護師」 registered nurse (RN) の資格を得た後、さらに専門的な教育を受けてから獲得できる資格です。米国などの英語圏では医師の確保が難しい地域で primary care を行うことができる医療専門職として重宝されています。ちなみに「医師」の肩書き(学位)としては Medical Doctor (MD) というのが日本では一般的ですが、これは米国での表現で、英国では Bachelor of Medicine, Bachelor of Surgery を意味する MBBS という表現が使われます。また米国では MD だけでなく、Doctor of Osteopathic Medicine の略語であるDO という肩書きも、医師の学位として使われていますのでご注意を。